中国のシェアバイクを支える自転車メーカーたち – ofo編

自転車メーカーとシェアバイク

2017年は、中国の自転車史上、最も多くの自転車が製造されたのではないだろうか。1930年代に中国に自転車産業が根付き始めて以来、2016年に起きたシェアバイクブームで一気に街の自転車はカラフルになり、そして早くもこれらはオレンジ色と黄色の二色に落ち着こうとしている。

既に中国は世界最大の自転車生産国であり、GIANTやMERIDAといった台湾メーカーでさえその製造は中国が中心。一方、中国のシェアバイク業界は、mobikeの無錫や、もともと自転車メーカーである上海の永久によるGONBIKEを除き、そのほとんどを委託生産で行ってきた。ここしばらくは多くの自転車工場を視察してきたが、実際、多くの自転車工場のラインには街中で見たことがあるシェアバイクが並んでいる。

他方で、中国には自転車メーカー(正確には完成車の組み立てができるラインを持つ企業)は大小あわせて数百あるとされるが、その全ての自転車メーカーがシェアバイクの製造を請け負っているわけではない。もちろん、飛鴿、永久、鳳凰、富士達といった従来からの歴史ある大手メーカーは相当量の自転車製造を請け負ってきた。このうち飛鴿は天津、鳳凰と永久は上海の老舗メーカーで、80年代までの中国の自転車はほぼこの3社で占められてきた歴史がある(なお、正確には飛鴿は1999年に業績悪化により事業が行き詰まり、新たな法人格に飛鴿ブランドを引き継いだ。よって現在の飛鴿はこちらである)。その後深圳で香港・台湾メーカーによる生産が進んだことにより、中国の自転車産業は天津・上海・深圳の3エリアにまとまってきた歴史がある。

ところで天津は天津で面白い。北京からほど近い武清をはじめ北辰、東麗、西青などのエリアに自転車産業が長年集積している。いずれ天津、上海、深圳の三大自転車産地の歴史についてもまとめてみたい。

話題がそれすぎた。シェアバイクの話に戻る。

作りたくないというメーカーも

先日、ある準大手自転車メーカーの社長は「安く質の悪い自転車はつくりたくない。唯一、mobikeだけはしっかりしていたので請け負うことにした。」と語った。シェアバイクと一口にいってもコストはバラバラだが、中国全土で小さなシェアバイク企業が乱立した中では、そうした企業に対してはいわば100元、200元単位の自転車が求められた。必然的に、質は落とさざるを得ない。

そうした中、前述の大手メーカーの中には「他ブランドのシェアバイクの製造はこれ以上はやらない」と言っているところも出てきている。個人的にはbluegogo pro (bluegogoの変速付きタイプ)ぐらいの出来が好きだった。

中国向けだけではない

決して中国市場向けだけではない。自転車の型を見ても分かるが、アメリカやヨーロッパ、アジアなど世界各地で展開しているシェアバイク企業の自転車の大半も中国製だ。大手の工場では世界各地に向けた自転車が出荷を待っている。むしろ今や中国製ではない自転車を探すほうが難しい。こうした自転車は、展開先の地域によって自転車の規格や規制、そして乗る人の体型も異なるため、一部分はカスタマイズされて出ている。

体型の話はわかりやすい。アジア向けではなく欧米向けにはシートとハンドルバーの高さを上げたデザインが多い。また、中国はライトの装着が義務付けられていないが、大半の国向けには当然LEDのライトが装着されている。

では、どのメーカーが作っているのか

さて、ではいったいどのメーカーがシェアバイクの製造を請け負ってきたのだろう。以前このblogではスマートロックや通信用のチップの話については触れてきたが、完成車の話については触れてこなかった。

中国のネットにはいくつかメーカーの情報が載っているが、残念ながら網羅されている様子はない。また、mobikeは、シャフト型以外の自転車は委託先で製造しているが、現在6社と言われている委託先(もともとmobike Liteは委託生産だった)については全てを見たわけではないので明言しにくい。(工場で生産工程を見たメーカーについても残念ながら言えない。)

そこで、委託先が「自転車を見ればわかる」ofoについて、下にリストを作ってみた。私がコツコツためた写真によるものなので完全に網羅しきれている自信はないが、ほぼカバーできているはずである。

そして結論から言うと、驚きである。ここまで多いとは思わなかった。この1ヶ月、ひたすら自転車を覗きこみ続けてみてきたところ、13社が見つかった。mobikeの6社という数字が先に頭にあったため、せいぜい同程度ではないかと思っていたため、調べるにつれて「まだ出てくるか」と。しゃがんで自転車をひたすら見続け写真を撮る怪しさは、まわりから見ればただ滑稽かもしれない(わかっている)。ただ、こちらはその見えにくいところに貼られているラベルに関心があるのである。

深圳市台峰自行车有限公司

これは「深圳市台峰自行车有限公司」だと分かる。

ofoのメーカーラベルの一覧

台峰以外の12社分のofoのメーカーラベルの一覧

  • 深圳市台峰自行车有限公司
  • 天津飞鸽自行车业发展有限公司
  • 凤凰(天津)自行车有限公司
  • 天津富士达自行车有限公司
  • 深圳市聚创车业有限公司
  • 深圳信宝自行车有限公司
  • 深圳雷克斯自行车有限公司
  • 深圳市泰丰永达自行车有限公司
  • 深圳市南盾科技有限公司
  • 爱地雅(东莞)自行车有限公司
  • 天津科林自行车有限公司
  • 宁波途锐达休闲用品有限公司
  • 深圳麦可斯车业有限公司

当初、ofoの自転車にはメーカー名は書いていなかった。むしろほぼ中国のシェアバイクでは製造メーカー名は判別しない。ただ、ofoの自転車では今年のある時期からメーカー名が分かるようになってきた。現時点では投下されているうちおよそ8割はメーカー名が記載されているシールが貼ってある。

初期のofoにはメーカー名は書かれていなかった。

初期のofoにはメーカー名は書かれていなかった。

他にシールで分かるのはu-bicycleや赳赳单车(99bicycle)ぐらいで、あとはフレームなどを見て「同じ型だ」と気づくしかない。

この赳赳单车(99bicycle)は浙江佳捷时电子科技有限公司が作っているとわかる。

この赳赳单车(99bicycle)は浙江佳捷时电子科技有限公司が作っているとわかる。

同じようにこのu-bicycleは永久が作っていると分かる。

同じようにこのu-bicycleは永久が作っていると分かる。

なお、上のリストについては現時点でも請け負っているかは定かではないので予めおことわりしておく。

ofoが韓国向けに準備していた?

興味を引かれたのは、「韓国」の文字を見つけたことだ。今回しばらくの期間ひたすら調べて続けていたところ、上記のofoのシールで「韓国線」と書いてある自転車を発見したことだ。これは完全に推測だが、韓国向けに製造するラインがあった可能性がある(ofoは現時点では韓国には出ていない)。ただ、一見したところでは富士达が作っている他のofoと外形上の違いは見当たらなかった。

富士达にofoの韓国向けのラインがあったのか?

富士达にofoの韓国向けのラインがあったのか?

一方、ofoが日本向けに持ってきた自転車が一部で公開され、その際に実車を見たところ、メーカー名がわかるシールは貼付されていない。ただ、KENT (Kent International はアメリカの自転車メーカー)のエンブレムが前面に付いている。他の国向けのofoの自転車でKENT のエンブレムがついているものは見つけられていないが、どうもこの日本向けの自転車はKENT の委託先の中国工場で作られているとみるのがよいだろう。

天津の古い自転車製造メーカーが厳しい状況に追い込まれているという報道がつい最近あったが、実際にあちこちの工場を見てみると、新たなトレンドに追いつこうとしているメーカーや、付加価値の高い自転車をつくろうとしているところは依然元気である。最近は20代、30代の若い経営者が自転車業界に入ってきている。新しいメーカーの話はいずれご紹介する。

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