シェアバイク用自転車のグリップ

グリップ部分に注目する

今回は中国のシェアバイクの自転車の「にぎり」という部分に注目する。その名のとおりハンドル部分の握る部分、グリップなどと言われるところである。「にぎり」という表現は一般には分かりにくいのでここでは全てグリップと表現する。

横から見たmobikeのグリップ

横から見たmobikeの自転車のグリップ。この写真では2種類が見える。

mobikeやofoに限らず中国のシェアバイクの最近の自転車を見ていただきたい。グリップの形状がストレート(円筒形)だけではなく、握りやすさを考えたものが多くみられるようになった。各社は様々な形状のグリップデザインを投入してユーザの反応を得てきたようだが、どうやら特にmobikeやofoの2社の自転車では車種は違えど各々デザインが落ち着きはじめているようにも見える。(ほかの会社は事業が落ち着いていない)

一方、私たちが日本でよく見てきた日本のシティサイクル(いわゆる「ママチャリ」)として売られている一般用自転車を見るとグリップはほぼすべてが円筒形のもの。これをベースにした日本のシェアバイク・レンタサイクルでも、あえて形状を変えた動きはない。

中国の動きを見ていると、mobike liteとしてチェーン型の自転車の料金設計を分けていた世代の初期では円筒形のグリップだったが、その後はほぼ握りやすさを考慮した形状に変わってきた。

ただこれらのグリップ形状は決して珍しいものではなく、日本でも各自転車メーカーがオプションで販売していたり、パーツだけでパーツメーカーが扱っているものが多くある。人間工学設計、エルゴノミックというあたりでグリップを検索すれば商品はたくさん出てくる。一般車ではわざわざ取り替える人は少ないようにも思うが、クロスバイクに乗る人の中には様々な形状のものの中から選ぶ人もみられる。

(なお、今回の話題はあくまで一般用自転車のグリップの話に対象を絞っているため、ロードのバーテープの話やクロス用のグリップの話はあえてスコープからは外している。あくまでシェアバイク用の自転車のお話し、ということでご理解を。)

なぜグリップが必要か

言うまでもなく、金属で出来ている自転車のハンドルバーはそのままではツルッツルである。そのままでは雨や汗で手が滑ってしまうことも考えられ危険である。

日本における自転車規格は、主として標準化を目的としたJIS以外にも安全性などを目的としてJISをベースにしたものが複数あり、ここでは個別に詳述はしないが、にぎりについても一部触れられている。その中でも主だったものとしては

  • JIS規格(自転車 にぎり、JIS D 9413:2011)
  • SGマークにおける安全性品質のうち操縦部における規定

などがある。

JISではその形状についてまでは細かく定めてはいないが、にぎりの口が裂けないか、引っ張っても抜けないか(離脱力)、構造的にくるくるとグリップが回らないようになっているか、エンドは丸みがあるかという点などに限られる。サイズは円筒形のものが複数例表示されているが、推奨寸法でしかなく決まりがあるわけではない。すなわち各メーカーによる工夫・デザインの余地が存在する。

一方のSGマークでは例えば「一般車では、ハンドルバーの両端はグリップ(にぎり)、エンドキャップで覆われていること」とし、その他の規格はJIS準拠としている。一部の自転車を除けば一般車ではグリップのないものを販売店で見ることは無いので、はじめから「ある」ものである。

まずは今の中国のシェアバイクから見てみよう

mobikeは、車種の違いがあっても2017年秋以降に最近投入されている車両は全てこの形状になってきている。mobikeの車両の系譜は主にシャフトとチェーンの2モデルに大別され、このうちシャフトは現在までに3世代、チェーンはmobike liteの初期モデル、中期モデル(現在最も多くみる車両)、塗装が変わった最新モデルの3世代に分かれている。このグリップはシャフトの2モデルめ以降と、チェーンの中期モデル以降で共通だ。

最近のmobikeで全般的に採用されているグリップ

当初のmobike liteのDNAを引き継ぐ標準仕様車。チェーン。

昨年末から投入が始まった新仕様車。チェーン。上のどちらも同じグリップが採用。

一方、ofo用の車両は製造メーカーの数がmobikeの2倍以上あるのと、そもそも自転車の車種がメーカーごとに細かく分かれており、採用されているパーツも多様である。2017年秋頃までのofo車は円筒形のものが大半だったが、その後変化してきた。

直近の自転車に採用されているグリップは、下の2つのいずれかの写真のグリップが使われ始めている。1枚目のものより2枚目のもののほうが、親指から中指までの3本で「握れている」という感覚がある。逆に手が小さい方ならば1枚目のもののほうが良さそうだ。

ofoの直近のグリップの一つ。やや全体的に太め。

ofoの標準的なグリップのうち一つ。

他のシェアバイクのグリップを見てみると

北京で急速に台数を伸ばしている「便利蜂」の1次車と2次車(1次車は初期に数百台だけ作られ、2次車はほぼ同一デザインで万単位で製造されたもの)は、このように大きめのグリップを採用している。

なかなかここまで大きめのものを使ったことがなかったので最初は違和感があったが、手のひらをちょんと置けるので決して悪くはない。ブレーキの制動力にどの程度影響するのかは分からないが、便利蜂自体が買い物ユーザを意識したサービスであり、大きめの前かごを採用していることから、主として女性を意識しているのではないだろうか。

便利蜂の1次車、2次車で共通のグリップ。

次はbluegogo proに採用されていたグリップである。手元の写真素材では残念ながら全部が写っているものが見当たらなかったが、個人的にはこのグリップが一番握りやすい。もっとも、人によって手の大きさが異なるので握りやすさはかなり個人の主観によるところ。とはいえ、bluegogo 自体は車両には細部にこだわりがあったので色々と本当に惜しい。既に投入が始まっているdidi仕様車の今後に注目である。

bluegogo proに採用されていたグリップ。

bluegogo proと同じく内装三段の変速付き自転車で似ているところでは香港のHobaBikeがあるが、これも似たようなグリップ。シマノのNexusのレボシフトとデザイン的に一体化している。

香港のHobaBike。bluegogo proと同じくシマノの内装三段を採用。

そして比較的見慣れている円筒形のグリップ。7号電単車と享騎の初期車に使われているもの。ただこれらはいずれも電動車で、自転車としてのグリップの意味合いとは異なる。スクーターのスロットルグリップと同じで手首を回転させる必要があり、グリップエンドを太くしたり形状を変えると回転させにくくなる。7号電単車と享騎の電動車は単に自転車の形状に近いだけであり、こうした電動車の車両では大きな形状の変化は今後も考えにくい。

7号電単車と享騎の1次車に共通のグリップ

劣化や傷の影響

普通の自転車にのっていてもグリップは経年劣化でぼろぼろになったりベタベタになることがある。シェアバイクの場合には一年中外に置かれ、さらにはなかなか丁寧に扱われるわけではないために乱暴に扱われやすい。倒れされたり、再配置の際の積み込みなどで傷がつきやすいともいえる。

まだ現時点でそこまで傷だらけのグリップに出会ったことはないが、1-2年のうちに初期投入車から順に目立つものが増える可能性がある。シェアバイク用の自転車という特性上、チェーンやホイールのトラブルだけでなく前かごやグリップの損傷も丁寧に意識する必要があると考えているが、車両自体を次々に交換する方法をとるのか、それとも丁寧にパーツのメンテナンスをするのか、その対応方法も注目している。