Mobikeのネジの変化に注目する

Mobikeの初期型はサドルの高さが調整できなかった

中国のシェアバイクの最大手「Mobike」には、投入時期などによって様々な種類の自転車が存在しています。このうち、初期型のMobikeと、Mobike Liteのすべてのモデルはサドルの高さの調節ができません。

初期型の後に出てきたMobike はクイックリリース式のシートクランプがついていたり、油圧で上下するタイプが出てきたりしています。なお、Ofoは初期普及型以降すべてでクイックリリース式です。このようなサドルまわりの改善の話はいずれ書きます。

Mobikeのサドル

Mobikeのサドル。クイックリリース型のシートクランプ。油圧で上下する。

サドルの高さが低くて困った

初期型Mobike、そしてMobike Liteはサドルの高さの調整ができず、私の身長(177センチ)ではどうしても低く感じていました。そのため、周りを見渡して他にあればサドルの高さを変えられるものを選んでいました。上に書いたとおりOfoは当初からシートクランプがついており、しかもかなり高くできるので、一時期はOfoばかり乗っていたのです。

初期型のMobikeは完全にシートポストが固定されていたのでどうにもなりませんが、Mobike Liteはサドルの部分が動かせたので、ユーザの中には工具をもってきて触る人も。それが最初は六角ナットだったため、ソケットレンチを持ってきて簡単に触ることができました。

六角ナットだった初期のMobike Lite。

六角ナットだった初期のMobike Lite。

Mobike Lite。

Mobike Lite。六角ナットと六角ボルトの様子が分かります。

なお上のMobike Liteの写真は、2016年10月に最初に投入されたMobike Liteではなく、その後に続いて投入されたモデルです(違いはフレームとカゴの色で見分けられます。パーツの違いはほぼ見当たりません)。

六角ナットからヘクサロビュラへ

しかし、ユーザに勝手にサドルの高さを変えられても困ってしまうわけで、この「六角ナット」がこの1年間で変化してきました。先に結論をご説明すると、今は、いわゆるトルクス(トルクスは商標ですので「ヘクサロビュラ」などといいます)のいたずら防止のピンがついているタイプのボルトが使われています。

ヘクサロビュラ型のピン付きボタンボルトが使われている

ヘクサロビュラ型のピン付きボタンボルトが使われている

ヘクサロビュラでは一般的に流通している工具でも開けられてしまうので、一般的にはこうして真ん中にピンが立っているものがいたずら防止を目的に用いられています。日本で売られている街乗り用の自転車でピン付きのヘクサロビュラのボルトを見ることはなかなかありません。「いたずらを避けるための工夫」が伝わってきます。

なお、Mobike以外にもピン付きのヘクサロビュラをシートポストの部分に採用しているのは、確認している限りでは永安行(youon)だけ。他の自転車はほぼ全てサドルの高さは可変で、クイックリリース型のシートクランプが採用されています(Ofo、bluegogo、U-Bicycle、Unibikeなどなど…。例えば上海だとクランプではないものが見当たりません)。

ヘクサロビュラの前にはトライウイング時代があった

さて、調べていくうちに、ヘクサロビュラの前にはトライウイングのボルトだった時代が挟まっていたことが分かりました。私は中国にいるときにはひたすら自転車の様子をつぶさに見て何か工夫しているところがないかと上から横から下から斜めから見ているわけですが、ちょうどヘクサロビュラのボルトが採用される前に投入されていた自転車では、トライウイングだったようです。

なお、いたずら防止で使われるボルトの穴形状ではトライウイング以外にもトライクル、ワンサイド、ツーホールなどと色々とありますが、穴形状によっては締め付けトルクのバランスで壊れます。

しかしなぜトライウィングが採用されなくなったのだろうと街中を探していたところ、見つけました。イタズラの跡。

トライウイングの穴をイジられた結果、穴が壊れ錆びている。

トライウイングの穴をイジられた結果、穴が壊れ錆びている。

しっかりとイジられたんでしょう、この潰れ方を見ると、まともな工具ではなくマイナスドライバーぐらいを使われたのだと思います。もうしっかりと錆びていて、いわゆるネジ穴はボロボロです。ここまでくるともうお手上げです。

一方、この元の形状は下の写真です。まだキレイでした。

Mobike Liteのトライウイングのネジ。

Mobike Liteのトライウイングのネジ。

ただ、この穴形状ではマイナスやプラスのドライバーを突っ込もうとする人がでてくるわけで、結果、上の写真のように穴がボロボロになってしまいます。こうした事態を避けるためには、穴に関係ない形状のドライバービットがそもそも入らないよう、真ん中に「ピン」が立っている形状のネジを用いるわけです。

苦労と改善が見える

ここまでで僅か11ヶ月(Mobike Liteが出たのが昨年の10月という意味で)。100万台単位の自転車を、おそらくは数ヶ月単位でこのように細かく仕様を変えてきているMobikeのスピードに興味がわきます。

はじめからイタズラ防止に気を配っていたらヘクサロビュラのネジを採用できていたのではないか、との指摘を考えつくこともできるでしょう。しかし私はそうは思いません。市場に出してみてどのように使われるのか、仮にイタズラがあるとして、それが本当に困ることなのか、それともサービスの維持に影響するものなのか。これはやってみないと判断できないわけです。

ここまでのことは私が中国で見続けてきたことからの推測でしかありませんからMobikeの公式な見解ではありません。しかしおそらくは、

  1. まずは最もコストの安い六角ナット・六角ボルトで展開した
  2. そして、それではだめだと気づいたのでトライウイングにしてみた
  3. なおもさらにイタズラされるので、ヘクサロビュラにした

といった経緯があったとみられます。

一方、Mobike LiteではなくMobike の方も、単純なシートクランプから油圧式になる改善がされています。日本に投入されているタイプもこの油圧式。改めてサドルのシートピンなどの変化についても取り上げたいと思います。

中国のシェアバイクの「再配置」事情

利用ニーズにあわせた自転車の再配置

MobikeとOfoは、シェアバイクの自転車が溜まったエリアから必要と見込まれる場所へ移動させる「再配置」をしています。

例えば朝の通勤時間帯に駅からオフィス街に移動が集中すると、いったん昼間は稼動が減るのでまた別のエリアに持っていくわけです。そして夕方になるとまたオフィス街に集中的に移動させてきます。単に朝昼晩の時間帯だけでなく、量を見ながら細かく配置を工夫している様子が伺えます。

移動をしているのは

北京で見ていると、再配置をしている様子を見かける量は圧倒的にMobikeの比率が高く、その半分ぐらいの量でOfo。移動させる手段に用いられているのは写真のような電動三輪車が主です。

Mobikeの自転車を移動している。比較的綺麗に載せているほう。だいたい何台かの自転車がピーピー鳴ってる。

必ずしもユニフォームや電動三輪車のデザインは統一されておらず、電動三輪車にMobikeのシールをつけて走っている様子もいれば、Mobikeのビブスを着ているだけの人も。つまり、これらの作業を請け負っている人たちがいるわけです。最近、OfoのTシャツを着ている人を初めて見かけました。あのTシャツ、欲しいです。

Ofoの自転車を移動している様子

Ofoの自転車を移動している様子。はみ出しているのはどこも同じ。

Mobikeのビブスを着ているオジサマ

Mobikeのビブスを着ているオジサマ。これも欲しいなぁ。

Mobike

夕方のお仕事。これから移動させにいくようです。写真、ブレてる。

何度か大型のトラックで移動しているのを見ましたが、どうやら「投下」作業が中心で、再配置には細かく電動三輪車が活躍しているようです。

再配置の単位

一台あたりで再配置できる量はせいぜい10台。人によってきれいに積んでいる人もいれば、下のOfoの写真のようにとにかく詰め込んだぜという人も。さすがにステキな乗せ方で興奮したのであわてて写真を撮ろうにも手がブレました。

いつもよりたくさんのっておりまーす

そう、ワタクシ、この再配置をしているオジサマを見るのが好きで必ず写真を撮っています。そういえばこの仕事をしているのはオジサマしか見ていません。

 当社のオフィスの周りでよく見かける再配置オジサン。

当社のオフィスの周りでよく見かけるオジサマ。

他社はどうしているのか

一方、この2社以外のシェアバイクでの再配置の様子は見えません。bluegogoは一度だけ移動しているオジサマがいましたが、それ以来ありません。ほかの自転車は「ユーザお任せ」のようです。

ところで、Mobikeの方によれば移動・再配置は利用データに基づいているとのことですが、正直、本当にほしいときにはすべて移動させられているときがあり(特に、夜でタクシーが捕まりにくい時間帯)、「あれだけ昼間にダブついてんのに今ここに一台も無いの!持っていきすぎだよ!」と思うことも。そういうときに限って、「見つかった!やった!」と思ったら自転車が壊れているというガッカリに出会い、コノヤローと思うわけです。よってオジサマ、全部持っていかずに、もう少しだけ残しておいてください。

敷地の入口に「共享自行车禁止进入本小区」「共享单车禁止入园」と書いてあったり建物の正面に「禁止停放共享自行车」という看板が出てたりと、一気に「ここ入るなよ・置くなよ」という文字を目にすることが増えました。また、歩道がこの写真のようにほぼ自転車で埋め尽くされている場面もあります。

歩道の様子

歩道埋まっちゃってるよ!

中国中で「問題」として取り上げられることが増えてきていますが、これだけの量を投下した以上、人間の移動だけで自転車が最適化された配置になることは難しいでしょう。私個人は、こうした状況にイライラとするのではなく、きっとすぐに改善策を考えるだろうなとそちらを楽しみにしているところです。今後各社がどのように再配置を工夫するのかに注目しています! ガンバレ!

中国のシェアバイクを支えるConcoxとJimiとSIMComに注目してみる

3社の中国企業に注目

中国で普及し続けるシェアバイク。シェアバイクの仕組みを支える一つの要素は衛星測位システム(GNSS)+自転車施錠システム。スマートフォンで自転車についているQRコードを読み取ると、サーバと自転車が通信して解錠し、さらに利用終了時には自転車を施錠すれば同じく通信によって課金が停止する。あの「鍵」の中には通信機能が搭載されており、GNSSによる位置情報の把握と、サーバとの通信が行われている。

日本では中国のシェアバイクに関する技術的要素について説明される機会が少ないため、まずは簡単に通信まわりについてご紹介する。ここで知っていただくべきブランドは3つ。Concox、Jimi、SIMCom。いずれも中国企業だ。

SIMCom

先ごろスイスのu-bloxが買収したが、もとは中国のチップメーカー「SIMCom」。無線モジュールを作る中国発のトップベンダーの一つ。u-bloxは以前から日本に拠点がある。

シェアバイクに限れば、トップ2社のうち、Mobikeは初期からGNSS+GSM/GPRSでの通信解錠システムを持つ一方、Ofoは当初は通信せずに4桁ダイヤル錠だった。その後、4桁ボタン式に変える際、Mobikeと同様に通信機能を入れている。Ofoに限って言えば、当初投下した4桁ダイヤル錠モデルがそのまま出回っているからか、鍵番号を表示させる方法に今までは寄せてきた。しかしこのあと触れるConcox&Jimiの製品を見ると、4桁ボタンが無いものも検討していたよう。ただ実際にはこのモデルは見たことがない。

先週の展示会では、SIMComはMobikeとOfoの両方の「鍵」を展示。Mobike用にはSIM800L、Ofo用にはSIM868を提供したとのこと。このSIM800LとSIM868の目立った違いは、SIM868にはGNSSが統合されていること。とすると、Mobike用には位置情報は別チップなのかと思い、開けてみたい衝動にかられるところ。AliExpressで調べてみるとSIM800Lは4ドル以下、SIM868は6ドル以下ぐらいで出回っている。実際にはさらに安いと推測できる。もっとも、上のとおりSIM800L単体では位置情報が実装できないようにみえるので、SIM800Lが採用されたシステムの中身を詳しく調べてみたい。

展示されていたMobikeとOfo用のリモートロック

展示されていたMobikeとOfo用のリモートロック。SIMComは通信モジュールを提供している。

なおSIMComの担当者によればNB-IoTでは既に日本向けの型番を用意しているという。

Concox と Jimi

Concox Jimi

次に紹介するConcox(深圳市康凯斯信息技术有限公司)とJimi(深圳市几米电子有限公司)はいずれも深圳に本社のある「兄弟会社」。実際にはそれぞれのWebサイトで同じプロダクトラインナップが並んでいるし、カタログはConcox&Jimiとしてダブルブランド。2015年から今の関係のようだ。そしてConcox&Jimiの製品でシェアバイクに採用されているものが「BL10」。Ofoが採用したとのニュースがあったが20万個と書いてあり、供給はごく一部に限られているようである。

Concox&Jimiの「BL10」

Concox&Jimiの「BL10」

このConcoxとJimi。2社のストラクチャは複雑すぎて登記を見ただけではよくわからないが、流れから見るとConcoxの方が規模は大きい。一方、高行新氏という人物が両社に関与されているようで、Jimiの創業者のようだ。そして今、キーマンはこの人のように見える。写真を見る限り若そうでもある。そしてさらに調べていくとJimi Cloudというプラットフォームビジネスも展開しようとしている。

なお、このBL10。どうもSIM800LやSIM868が採用されているシステムとは違う。スペックを調べるとNewMobi(新移科技。これも深圳の会社)のMTK2503が載っており、このMTK2503はARM7EJが搭載されている。正確にはMTK2503というチップ名の商品がNewMobiのWebサイトには見当たらないが、MT2503の開発用ドキュメントを読むと概ね一致しているのでこの派生だろうと推測できる。ここまで調べてきてわかるのは、「鍵」についてもいろいろな製品が市場に出現してきているということ。

しかし、やはり我慢できない。これはBL10を買って中身をみるしかないと思いAliExpressを調べたら499ドルと出てきた。1個売りにしても高すぎる。好きとはいえ500ドルほどの話しではない。。。残念。

後日、手元にある永安行、U-bicycle、bluegogo、七彩単車、GONBIKE、天天騎、99の写真を並べて、どこか同じ機器を採用していそうなところがないか調べてみることにする。

Ofoもよく見ると4桁ダイヤルの次に出てきた電子錠でも異なるタイプのものがある(赤丸部分)。

ソーラーパネルで発電している

ではこうした機器の電力をどのように確保しているかといえば、当然バッテリーから供給しているわけだが、BL10はソーラーパネルからの供給を受けることをインテグレートしている。

Concox&JimiのBL10の説明資料。ソーラーパネルのインテグレートができる。

Concox&JimiのBL10の説明資料。ソーラーパネルのインテグレートができる。

実際、新しい世代のMobikeのカゴを見てほしい。カゴは荷物を置くためにあるだけではない。ここにパネルがある(実はこれが出てきた当初はしばらく気づかなかった。)。よく見るとカゴの下から電源ケーブルが出ているのがわかる。ある意味でOfoの初期は自転車側に電力を必要としないことで良かったのだが、結局、4桁ダイヤルと個人のスマホによる位置情報の限界に当たってしまった。

Mobikeのカゴにつけられているソーラーパネル

Mobikeのカゴにつけられているソーラーパネル

今のGSM+GPRSでの通信でも必要最低限のことは出来ているが、この次にはNB-IoTが出てくる。速度が変わるわけではない。ただしNB-IoTになればバッテリーの問題がかなり解決する。まだまだ中国のシェアバイクとIoTまわりは面白い。

広州で自転車に乗る

広州でもMobikeにもOfoにも乗ってみる

広州に来ています。夕方、中心部へ食事のために移動した時に色々な道を少しだけ走ってきました。ところが広州は北京と上海と比べてシェアバイク率が低い気がします。十分に自転車は(そこらじゅうに)あります。MobikeとOfo、そしてbluegogoが少々。さらに僅かにいくつか。これは標準的な比率構成です。しかし、自転車に乗っている人が少ないのです。いないわけではなく「徒歩:自転車」の比率で自転車比率が低く、ものすごくざっくりいうと1パーセントを切っているように見えます。これが北京や上海だと定点観測すれば3~5パーセントぐらいにはなるのではないでしょうか。

ラウンドアバウトと地下道が自転車を分断している?

最初は単なる違和感でしたが、地下鉄の駅を一駅分、歩いて様子をみてみました。そこで気づいたことが、ラウンドアバウトと地下道の存在です。そして、例えば上海の浦東エリアのように「片側4車線でラウンドアバウトもあるが横断歩道もある」ではなく、歩行者が渡る手段は地下道しかなく(南北と東西のどちらかにだけ横断歩道があることも)、かつ太い通りには中央分離帯ががっちり。よって自転車が道を横切ったり大きな交差点を渡るこどか容易ではないのです。東西南北いくつか見て回りましたが同様でした。

百度地図で目的地に向けて走ろうとしたら逆方向を向き、ぐるっと回れというので、こいつなんで南に行くのに東を向くというのだよと思ったら、つまりそういうことだったわけです。

地下道に自転車を持ち込むこともできますがスムースな移動とは言えません。実際、少し様子をみていたらちょうど自転車から降りて地下道に向かう人がいました。アップダウンがきついわけでもなく、歩道と車道の幅の支障もありません。私が持った違和感が恒常的な状況だとすれば、こうしたことが要因の一つかもしれません。

広州の様子です

地下道に入るために自転車を降りる人。このあと立て続けに5人が同じように。

今日は細かく調べずに書いていますので、改めてデータや規則などを調べておきます。なお、広州は大変広く、私が見た場所はごく一部。少し離れれば様子は違うことでしょう。よって、ある部分を切り取ってみた一視点に過ぎないということをおことわりしておきます。

ソニーは韓国?

ところで、ホテルに荷物をおいて仕事に向かい歩いていたら、たまたま同じ方向に行きたいが道が渡れない(新港東路という道路を前に私も途方にくれていた)というエチオピア人だという男性に話しかけられました。

こちらも10分ぐらい歩く道のり一人じゃつまらないからと、なんで広州きてるんだという話や(ものすごい見た目からの偏見に聞こえるかもしれないけど、アフリカの人のようである時点で広州には商売で来ている人が特に多い)、エチオピアというのは何が特徴があるのかと聞いていたら、話の流れが日本に。そして一言。

「日本の会社もいろいろといっているよ。ソニー。あれ、ソニーは韓国か。 キヤノンとトヨタは日本だよね!と」。おぅ…。ソニーは日本だよ!、Samsungが韓国だよ!と訂正しましたが、遠く離れた場所から見れば日本も韓国も東の外れの小さな国。我々が遠く西の国を見ているのと変わりません。が、軽くショックでした。

今日の仕事の話はまた今度。広州に来て面白かったのは、中国ではどこでも街で色々なものを売っている人を見かけますが、ここではドローンを飛ばしながら売る人をたくさん見かけました。さすが! そして先ほどテレビで天気予報を見ていたら、また台風が香港・広東に向かってるようですよ…。

享騎電動車 – 上海の電動シェアバイク

自転車のように見えてペダルは使いません

上海に来ると北京と少し違うシェアバイクの風景があります。電動自転車です。北京にも今月からmangoという電動自転車が進出してきましたが、上海はその比ではなく広まっています。外見は日本の電動アシスト自転車に似ていますが、ペダルでもこげても電動「アシスト」機能はなく完全に電動車です。電動スクーターのような感じです。

上海の電動自転車にもいくつか出始めてきていますが、この黄緑色の享骑电动车が先発。もともと享骑出行といっていたのが享骑电动车になり、今は第2世代(家本調べ)の電動車が投下されています。

享騎電動車。黄緑の特徴的なカラー。

この暑すぎる上海で自転車をこぐのは単なる苦行でしかないのですが、電動車はまだマシでありまして、木陰の道などは風が気持ちよく感じ、、、るわけはありません。ただの熱風です。(ちなみに今週の上海は連日40度近い気温が続いています。iPhoneの天気情報によれば体感温度が46度近い日もあります。)

まず享骑电动车は置き場所が比較的集中しています。というのも、そもそも停める場所が他のシェアバイクと違って自由ではなく、ある程度指定されたエリアに置かないと「施錠できない」ようになっています(正確には課金の終了ができない)。ちゃんと指定した場所に停めてねって書いてあるのでそのとおりにしましょう。

指定した区域内に停めてね。って。

享騎電動車が並んでいる様子。よくこの光景を見かけます。

停車して施錠しようとすると、ここには置けねーから「P」に置いてねと。施錠できないので置きに行くしかない。

よって概ね比較的集中しているわけですが、ま、それでもそのあたりに放置されているのも見つけられます。

乗る前のお作法

乗るときにQRをスキャンすることは他と変わりませんが、スキャンすると残りのバッテリー容量と大まかな走行可能距離がわかります。

5キロ以上乗ったことがないのでこの目安の妥当性はわかりませんが、私はだいたい50パーセント以上残っているものを選ぶようにしています。少なくなるとややスピードの出が悪い気がします。しかし、単に気のせいかもしれません。

バッテリー残量と走行可能距離が表示

見分け方

第1世代と第2世代の見分け方は簡単です。第1世代はバッテリー残量メーター兼ライトが真ん中にドン。第2世代はハンドルの右側に。正直なところ、二つの世代で乗り心地にほぼ違いはありません。第2世代の方が(新しいためか)幾分ペダルが軽いかなというぐらい。

期待していたのはね第1世代も第2世代もサドルの高さを変えられないこと。MobikeとOfoで私がOfo派なのはサドルの高さが変えられるってのもあるんですが、全体的にシェアバイクは変えられないのが多いんですよね..。レンチがあれば出来そうな気もするのですが…。

なお第1世代と第2世代という言い方は私が勝手につけた表現です。私は第2世代を選ぶようにしていますか、初めての方はまずはどちらでも良いと思います。

これが第一世代。

これが第二世代。

バッテリーの盗難防止

いわゆるバッテリー盗難問題も第二世代になってカバーがつきはじめています。しかしそれでもバッテリーカバーをこじあけようとしたなという痕跡のあるのも見つけました。いけません。

これが第一世代のバッテリー。強引にやれば確かに盗まれそう。

カバーがついた第二世代。日本の自動販売機にもこういうのある。

痕跡。ドライバーか何かでこじあけようとしたかな。

ナンバー

今では電動自行車扱いでナンバーもついています。初期に投下されたものの中には僅かについていないものもありますが、7-8割の享骑电动车にはもうついています。

ナンバー。もっとも、この位置では周りからは見えません。

ちなみにこのナンバーは、おじちゃんたちが乗っている電動車と同じです。

行政上は同じ扱いということ。

走りやすい上海

上海にきたらぜひ試してください。日本にはない電動車(このカタチのままでは日本ではいけません。あ、警察官の前ではこいでくださいねと売ってた人たちがいましたね…)。決済だけAlipayかWechat Paymentに紐づける必要がありますが、身分証明書がなくともパスポートで実名認証はクリアできます。

こんな感じでスーイスイと。下の写真では歩道がすいてたので歩道を走ってますが、右側車線の路側帯(自転車のマークが結構書いてある)を走るのが基本。なお、左側を走ると逆走です。ぶつかります。

スーイスイ

木陰になっているところも多いです。スーイスイ。

それでも油断してると前から三輪車がきます。お気をつけください。

自転車のベルではなくブザーがついてるので「気づいているよ」という意味でもプップーと。

「全ての人はセンサーに、アクチュエーターになった」- Mobikeと大連で出会った話

サマーダボス参加のため大連へ

大連で開催されていたサマーダボスに参加してきました。World Economic Forum(世界経済会議)の主催で、冬のダボス会議はスイスのダボス、夏は天津と大連で隔年で交互に開催されています。計3日間、普段接しないテーマにも積極的に関わってみました。

大連はクララオンラインが2006年に中国に初めてランディングした地であり、その時のなんとも言えぬ苦しかった記憶が色々と思い出されます。ただ、あの時代があったからこそ中国の仕事を続けられています。ありがとう大連。ちなみに当時の夏徳仁市長に会場でお会いしました。

大連にシェアバイク

ところでいきなり話は変わりますが、いま中国中に普及しているシェアバイク(乗り捨てOKの自転車)、実は大連には存在していませんでした。二級都市どころか三級都市にまで各社が面を取りにいっています。Mobikeは500万台以上を中国で投下しています。今までの中国での年間の生産量はどれぐらいだったんでしょう。。いずれにしても、隣の旅順にはあったものの、この規模の都市にしては珍しく大連は空白地帯でした。

その大連に、どうやらサマーダボスにあわせてか、いまから4日前、Mobikeとofoの上位2社が自転車を「投下」したのです。しかもごく僅かな台数。私は大連に着いた一昨日の時点ではこの話を知らず、空港からの道で、ofoの黄色い自転車を一台だけ見つけ、「あれ、なぜここにあるんだ」と思ったわけですが、どうせ誰かが遠くから持ってきたんだろうぐらいにしか感じなかったわけです。

ところが微博(Weibo)を見ていると大連人がMobikeやofoを見つけている投稿が。おおっと思い、初日の夜にパーティを終えてその足で宿のまわりを探します。Mobikeは自転車に内蔵されているGPSと通信機器で位置情報をアプリ上に示してくれるのですが、大連全体でも空いているのは数台。ofoに至ってはそもそも位置情報が大連の中で見つかりません(結局、今日に至るまで一台もofoは表示されませんでした)。

なかなか出会えぬ

初日にようやくの思いで見つけたMobikeは、タッチの差で別の人に乗られてしまい(Mobikeは予約を15分間だけ出来るのですが、探している間に予約が切れ、次の予約をいれる間に次の人にとられてしまいました)残念。もう一台を見つけに歩きましたが、GPSで示される位置にはありませんでした。

そして次の日。セッションの合間に中山広場方面にタクシーで移動し、その車中からofoを一台見つけました。「やったー」と興奮してタクシーを降り、まずは写真を撮って、と興奮したわけです。個人的にはofoの「黄色のデザイン」がすきなのです。さぁ、と解錠して漕ごうとしたら、スカッと。ほんと、スカッと。

なんだと思ったら、チェーンがない!!! ofo。。。悲しいofo。。。この時点でこの自転車は大連に投下されてから僅か2日の命だったわけです。悲しすぎました。

出会えたMobike。

そしてその夜。つまり昨日(6月30日)。もう諦めきれません。夜はパーティとイベントを4つ駆け足で回ったあと、アプリでMobikeの位置を探します。宿の近くにMobikeが2台いそうなのは分かりました。しかし、明らかに位置情報が「建物の中」。とはいえ位置情報がズレているのかもと思い行ってみましたが、どうも本当に「建物の中」に持っていかれてしまっていたようです。(周辺をそれぞれ二周しました…)

それでも諦められぬ私。なぜにここまで捜し求めるのかは私も良く分かりません。アプリで次に近い自転車を探すと、労働公園の中。公園の中。。。公園といっても中国の「公園」はデカイわけです。大連をご存知の方であれば規模がわかると思いますが、そこそこの広さです。タクシーに乗って労働公園を目指してもらい(夜もそこそこの時間なのでタクシーの運転手さんからは怪しさ満点。外国人が一人夜遅くに公園に行くってね…)、着く直前あたりで予約いれ、他の人に取られないようにブロックします。心の中では「誰だよ労働公園のど真ん中に置いたのは!」と叫んでいるわけですが、ここで会えなければ叶わぬ恋だと思い諦めようとも覚悟します。

そ、し、て。

出会えました! Mobike in Dalian!

Mobikeは駆動がチェーン式ではないので上にあるようなofoのようにチェーンがとられている心配もありません。予約しているとサドル下のLEDが青く光っており、まさにワタクシを待っていただいておりました。ありがとう、君に会いたかった。。

ルンルンで走ります。自分でも何が嬉しいのかもはやわかりません。一方で大連は坂道が多いので、そこそこ良い運動です。

ま、ここから先はどうでもいいのですが、満州時代の旧ヤマトホテルの前まで走り、記念に一枚。十分にこれで満足したので、邪魔にならなさそうなところまで移動し、気持ちよく乗り捨て参りました。

センサーであり、アクチュエーターに

さて、冒頭にこの見出しを書きました。私の言葉ではなく、サマーダボスの金融のセッションに参加したときに登壇者の一人が言った言葉です。シェアバイクに紐づけた話ではありませんでしたが、FinTechの流れで「全ての人はセンサーになった。アクチュエーターになった。」という表現をされました。センサー化という表現まではIoTでは当たり前に言われていることで理解していたつもりです。ただ、アクチュエーターでもあるということに衝撃を受けました。

シェアバイクはまさにセンサーです。自転車を使っているように見えますが、一方で人の流れが極めて広範囲に捕捉できています。何せ中国ではMobikeだけで一日2500万利用、ofoも1000万利用を超えています。一日あたりです。今まで携帯電話単位の位置情報は通信事業者(キャリア)は持っていますが、それをどう使うか/使えるかについては積極的なものは見当たりません。ところがシェアバイクユーザは、解錠してから施錠するまでの利用中、スマホの位置情報がずっと飛んでいます。誰がいつどこへ、というよりも、もっと俯瞰的に見て人はどの時間帯にどう移動しているのかがデータ化できているわけです。実際Mobikeは北京の行政機関などと共にこの研究を始めているとも聞きます。

一方、エネルギーが物理的運動になるという意味で、まさにアクチュエーターでもあるとの指摘はまさにシェアバイクのビジネスにも的確に当てはまります。人のセンサー化、アクチュエーター化は、まったく新しい世界が見えるとの可能性を強く感じました。余談ですが、3日間、ひたすら様々なセッションと聞きましたが、ITやコンテンツのセッションよりも総じてこの金融のセッションがもっとも刺激的でした。

日本にMobikeが来るとの報道

先日、Mobikeが福岡と札幌で準備を始めているという発表がありました。素晴らしいことです。中国で出始めた頃に「どうすれば日本でこれが出来るか」といろんな人に議論を持ちかけました。しかし放置自転車や、そもそも自転車が車道を走るマナーなどの日本での状況を考えると容易ではないので、やるなら地方だねという結論だったわけです。東京は坂も多いし(以前の記事にあるように上海には電動アシストもあります)。

日本で中国ほどの台数を投下するつもりは今のところなさそうですが、大手スーパーで1万円前後で売られているママチャリが、買ってしばらくしたら盗まれたり、放置自転車置き場に山積みになるより(我が家の半径1キロには大きな置き場が2つもあり、いつも一杯。)、私はずっとこういったサービスの方が合理的だという考え方です。1万円ぐらいだと盗まれても仕方ないと思ってしまう感覚もありそうです。我が家には電動アシストが2台ありますが、家-どこか、という移動でなく、出先での移動であれば大いに使うでしょう。初乗りを値下げしたかに見えて決して安くなっていないタクシーよりも。

本当はものすごくこのビジネスを中国から日本に持ち込んでみたかったというのが本音です。今でも何か手伝いたい。やや感傷的になっている節もありますが、登場して1年と少しの間、とにかく外国人が乗れるサービスは乗りまくってきました。中国の社会がここまで一年で変わる姿を見て、日本では感じられないパワーを味わっています。さぁ、私もまた今回の大連でエネルギーをもらいました。アクチュエーターというヒントをもらって、また明日からカラダと頭をきちんと動かしてみます。

そうそう、ちょっと気になっているところとしては、改正測絵法(測量法)が7月1日に施行されるわけですが、年々厳しくなる地図まわり。個人のスマホは除外としても、Mobikeに搭載されているGPSはどのような扱いなのでしょう。

MobikeとOfo以外に勝ち目はあるのか – 中国のシェアバイク

勝ち目のない競争に突っ込んできていないか

中国のシェアバイク(自転車のシェアリング)は完全に混沌としてきました。Mobikeは2000万利用/日を突破、その少し前にはofoが1000万利用/日を突破、という、頭がクラクラするような数をさっさとクリアしてきています。

最初に少しだけ冷静に考えてください。人口が多いから利用数が多い、とはあながち言えません。10:1ぐらいの人口比として日本での様子が想像できるかといえば、日本で1日にシェアバイクが100万利用される姿は到底想像できません。この1年で中国の移動習慣が明らかに変化してきたのです。急速に。劇的に。写真ではどうやっても伝わらないぐらい。

一方でそんな資本力勝負の市場に未だに新しいプレイヤーが毎月参戦してくるという、「さぁ君はどのような勝ち目をもって参入してきたんだ」と聞いてみたいぐらいのわけのわからない状況です。そろそろ自転車のカラーバリュエーションが会社間で被り始めてる気もします。黄緑とか!黄緑とか!!

MobikeとOfoに絞られるのではないか

さて、ここにきての私の疑問は、MobikeとOfo以外に誰に勝ち目があるのかということです。この1ヶ月弱の間でも北京の街の中には「Unibike」「U-bicycle」など3社の自転車が出てきました。

Unibike

U-bicycle

酷骑単車(Coolqi)

概ね全国で3番手に位置しているとみられるbluegogoは、少し前から「bluegogo pro」という、何がproだかは正直何もわからない自転車もばら撒き始めています。Ofoの最新型とほぼ同じ印象だけど、デザインが好きなので許す!

bluegogo pro

先月、決済と利用を一本にする仕組みが2社から立て続けに発表され、「アリババ一派とOfo」、「Tencent一派とMobike」という組み方になった時点でほぼ固まったと思います。もちろんここまできたとしてもタクシー予約アプリのように「最後は一つ」という固め方もあるので油断はできません。(ちなみにbluegogoやU-bicycleなどもアリババ側に)

3位以下はどうなるのか

北京は北京、上海は上海なので、もはやここまで来るとプレイヤーの話は一まとめにはし難いものの、中国全体でみるとMobike、Ofoは勝ち抜けられる位置まできました。そこにさぁ次点で誰かが残れるのかというと3番手ぐらいまではありうるでしょうが、上にあげたUnibike、U-bicycleなどのような新興プレイヤーの勝ち目はどう考えても見えないのです。押金、つまり保証金を無料にするといったことではユーザはなびかないし、価格設定も既にギリギリのところ。もはや競争するポイントが無いわけです。さらに2番手と3番手の差も大きく開いています。

一方、「ユーザを囲うだけ囲って、マネタイズする手前で他社へ売却」というシナリオが当てはまるかどうかも考えてみる必要があります。ここで考えるべきは、ユーザの利用実態です。様子をみていると MobikeかOfoだけ、もしくはMobikeとOfoだけという人は結構いますが、例えばbluegogoだけという人はほぼ見かけません。あくまで3番手以下は(目の前にそれしか自転車がないときの)予備的位置づけ、またはあればそっちに乗るという好みでしかなく、MobikeかOfoのアカウントも持っていた上でbluegogoも乗ってる、とみられます。

とすると、こうした3番手以下の企業を上位が買い取る必要性は積極的には考えにくく、むしろ「他社に取られないために買う」意義があるかないか、というぐらいではないでしょうか。しかも一度ばら撒かれた自転車を回収する意思があるとも考えられません。ブランドを統一するコストを考えれば、買った会社の自転車はそのまま放置したほうがきっと安いでしょう。

今後の予想

ということで私の勝手な予想では、あと数ヶ月で倒れ始める会社が出始め、今年の年末には潰れた会社の自転車は野ざらしになり、勝手に使われ、一方でユーザのエンゲージメントに成功しマネタイズしきれるのは2社、とよみます。個人的にはOfoの乗り心地、そしてサドルの高さを変えられるのが大変好きなのですが、アプリの出来具合は明らかにMobikeが上。頑張れOfoであります。

一帯一路の大きな会議が間もなく開かれる北京。各国首脳などが泊まるホテルはセキュリティの準備がされつつあります。まさか街の中から自転車をきれいに撤去できるわけはなく(それでも会場周辺はきれいにするのでしょう)、どこかの首脳が見て「あれ何。これうちの国でもできる? 」みたいなノリもあるんではないかと前向きに期待してみたり。

追記: 中国のレンタル自転車(シェアバイク)のタイヤ

昨日の朝まで上海にいて、東京にいったん戻ったあと、今日は朝から北京にいます。

昨日書いた「中国のレンタル自転車(自転車シェアリング)事情」の記事のあとに、ふと、MobikeでもOfoでも空気を入れずに使うタイヤの自転車があった気がすると思って北京の街で自転車とニラメッコしていたら、やはり発見しました。逆に、ofoの自転車で空気入れのバルブがあるものも同じく発見しました。

これはmobikeの「穴あきタイヤ」バージョン。泥よけがちょっと曲がってるのはご愛嬌。

mobikeの「穴あきタイヤ」バージョン

これはofoの「ノーパンクタイヤ」バージョン。触ってみると普通の自転車のタイヤと比べて少し硬め。空気を入れるバルブはもちろんありません。mobikeもofoも自転車の種類はいくつかのバージョンがあるので、よくよく見てると楽しいです。

ほんと増えましたね。私が最初に北京のオフィスの前あたりで見つけて写真を撮った記録を探ると昨年の夏なので、半年ちょっとの速度でここまで一気に「社会インフラ」になった気がします。

タイヤになに関心もってんだっていう話ですが…。