CYCLE MODEでe-BIKEを見てきた

日本最大のスポーツ自転車の展示会といわれるサイクルモード・インターナショナル2017(CYCLE MODE international)に行ってきた。個人的な関心はスポーツバイクだが、今回の視察目的はe-BIKEと呼ばれる電動自転車(日本では電動アシスト自転車)。日本のシェアバイクの流れの重要なポイントは、電動アシストだと考えている。中国のように平らな環境が多い街と違い坂道が多い日本。(それでも、中国は一括りにはできず、大連や青島のように坂道が多い場所もある。)

最初から話がずれるが、マラソン人口がこれだけ日本で増えたあと、一定程度のランナーが「自転車に行く」と思っている。マラソンを走り続ける楽しみを覚えた人以外に、長距離・長時間自分と向き合うスポーツの中ではバイク・トライアスロンの声がまわりから否応なしに聞こえてくるものである。大きなマラソン大会では相変わらず抽選の倍率も高い。マラソンを数年から5年ぐらい続けたランナーがその1割でも自転車に興味を持ったら…。

話しを戻すと、今回は、前回のイベントにも出ていた中国のTSINOVA、小米の出資を受けて開発されているQiCYCLE、台湾の達方電子(DARFON)のBESVなど、e-BIKEと呼ばれるものが日本でまとめて見られるチャンス。BESVは最近都内でもチラホラと見かけるようになってきたところだし、TSINOVAは今週からちょうどリテールの販売が始まったところ。中目黒に専門ショップが出来たらしい。

小米のQiCYCLE

そのQiCYCLEは1年ほど前に小米が売り出したときに個人輸入で中国から買ってきている人もチラホラとblogなどで見かける。折り畳み式の電動アシストで、中国では同じくEF1という型番で2999元(5.5万円弱)で売られている。日本向けの代理店も決まり、日本仕様にあわせたマイナーチェンジを経て来春日本発売の予定。レッド、マッドブラック、レッドの3色で展開されるそう。

QiCYCLEのEF1。日本では来春発売予定とのこと。

QiCYCLEのEF1。日本市場向けの仕様で来春発売予定とのこと。

タイヤは16×1.75、シマノのギアとDCブラシレスモーターの仕様などは中国と変わらず。一方、ディスプレイは日本語化したり一部日本仕様にあわせる対応をしているとのこと。認証まわりはこれからと聞いた。気になる値段はパンフレットに定価128,000円(税抜)と書かれているが、このとおり13万円前後になる見込みだという。TSINOVAが同程度の価格でTS01を出してきているので似たレンジでの競争になるのだろうか。

QiCYCLEもベルトドライブを採用。TSINOVAなど中国メーカーでも採用が増えている。

QiCYCLEもベルトドライブを採用。TSINOVAなど中国メーカーでも採用が増えている。

TSINOVA

一方のTSINOVAはTS01という型番の販売が始まっている。ほかにも折り畳み式電動アシストのALIAS、「ママチャリ」と言い切っているMIRAIが展示されていた。TSINOVAは北京に本社がある電動車・電動アシスト電車のスタートアップで、仕事での機会もあって先日訪問してきた。

TSINOVAのTS01

TSINOVAのMIRAI。いわゆるママチャリ。

TSINOVAの折り畳み電動アシスト「ALIAS」

TSINOVAの折り畳み電動アシスト「ALIAS」

日本では既にいくつかのチャネルで販売が始まっている。実物に触れたいのであれば中目黒のsneecleがおすすめ(回し者ではない)。sneecleでしか扱われていないTSUYAという赤いモデルと、ブルー、ブラックの3種類が実際においてある。お願いすれば試乗もさせてくれる。

中目黒のsneecle。中目黒駅から徒歩5分ぐらい。

中目黒のsneecle。中目黒駅から徒歩5分ぐらい。

店舗ならではの発想もあった。TS01の標準のサドルをBROOKSの黒いレザータイプのサドルに変えてしまうのもどう?と。確かにかっこいい。また、カゴもTSINOVAにあわせたデザインのオプションを検討しているという。とはいえ、ここまで来るとシェアバイクラボの範囲からは超えてしまう。私は個人的には自転車は大好きだが、あくまでこれを書いているときには仕事。

月額レンタルのモデルも始めるとのことで、このビジネスモデルが楽しみ。

TS01のブラックにBROOKSを載せるカスタマイズのイメージ。よい。

TS01のブラックにBROOKSを載せるカスタマイズのイメージ。よい。

店舗の方によれば、TS01以外にもALIASが今年中に日本で入ってくるかどうか、またTS01の藍色と白色のモデルはもうまもなく日本に来るのではとのこと。

BESV

一方、もう少し高級路線を行くBESV。台湾メーカーだが台湾というブランディングはほぼ見当たらない。会場ではPS1やPSA1、それからスポーツタイプのSF1などが展示されていた。

BESVのPS1。最近、少しずつ都内で見かける。

BESVのPS1。最近、少しずつ都内で見かける。

メーカーである達方電子(DARFON)は1997年5月設立のメーカー。もとはLCD TVやノートパソコン用キーボードなどの専業メーカーとして大きくなった。私も10年前の印象ではそのようなイメージが残っている。昔はAcer、今はBenQとして知られている明基友達のグループ。台湾最大手の電機・電子部品メーカーである。達方自体はBESV以外にvotaniというe-BIKEのブランドを持っている。

中国・台湾メーカーである印象が見当たらない

このほか、e-BIKEではないが、上海メーカーであるJavaBikesも参考出品。日本での取り扱いは未定とのことだが、イタリアでデザインしたミニベロが展示。電動も中国で展開しているとのこと。

上海のJavaBikes

上海のJavaBikes

BESVにしても展示もパンフレットも完全にヨーロッパデザインのブランディング。この点はTSINOVAも同じような感じ。実際にパンフレットを見ていただきたいが、紙質やデザインテイストは中国メーカーだと分からない。(とはいえ、TSINOVAの一部の動画やパンフレットの翻訳が中国っぽさを残してしまっているのでもったいない。これは日本本格進出時にクリアしておいたほうが絶対にいい)

ま、そもそも自転車の相当程度は中国と台湾で作られているという事実を考えれば、設計・デザイン・ブランディングによる差をつけていくという点に異論はない。その点、イメージを欧米に求めるというのは合理的。

さてさて、こうした新しいスタイルの電動アシスト自転車が日本にも揃い始める2018年。こう書いてる私も一台通勤に揃えたいところで、はやくオフィス周辺の駐輪場問題を解決せねば..。

mobikeとofoの日本向けスマートロックの仕様

mobikeの技適を眺めていた

朝のコーヒーを飲みながら、mobikeのスマートロックの日本での技適(005-101530)を見ていて第2条19号も通しているのを発見。第2条11号の3及び7はWCDMAなので3Gの通信だということはわかるが、19号の2.4GHz帯なのでBluetoothが載っている。へー。

mobikeのスマートロックの技適情報

mobikeのスマートロックの技適情報

空中線電力をみると0.00128Wなので1.28mWだから、Bluetoothの規格でいくとClass3(1mW)よりは強いがClass2ほどでもないので、実際には1メートル強ぐらいが範囲だろうか。日本のmobikeのサービスではBluetoothは使われている様子はないが、何かしらメンテナンスに用いるのか、それともただ単に採用しているチップとして載っていてあわせてとっただけということなのか。

19号は「2.4GHz帯高度化小電力データ通信システム」。Bluetooth。

19号は「2.4GHz帯高度化小電力データ通信システム」。Bluetooth。

mobikeのアメリカの状況は

一方、mobikeはFCCでは3つの認証番号が通っていることが確認できる。今年3月に2AK4SLBC4-5US、9月に2AK4SLBC-CATM01、10月に2AK4SLBC4-5の3つだ。

このうちLB4-5USとLC4-5US、あるいはLB4-5やLC4-5という二つの型番の違いは、見るとLB4-5/LB4-5USはシャフト型のmobikeに使われている形状と同じ、LC4-5/LC4-5USはmobike Liteや、非シャフト型の最新のmobikeに使われている形状と同じであることがわかる。札幌で展開されているmobike に使われているスマートロックの形状はLB4-5タイプのもの。

mobikeが初期にFCCに申請した2つの型式。

mobikeが初期にFCCに申請した2つの型式。

LC4-5USと同様の形状とみられるもの。mobike Liteや、最新のチェーン式のmobikeで見られる。

チップは何が載っているのか。

  • FCC ID「2AK4SLBC-CATM01」であるLC_CATM01とLB_CATM01は写真や情報が確認できず不明。これ、きちんと調べきれていないものの、どうもLTEのBandなど見ているとNB-IoTではないか。さらに、FCCに提出するときにはRequest for Confidentialityというレターをあわせて出すことができるのだが、この中でExternal Photos、Internal Photos をすべて非公開にするようリクエストしている(Short Termで)。つまり中も外も見せたくないというわけだ。2G/3Gをうかがわせる情報も見当たらない。これは…。
  • FCC ID「2AK4SLBC4-5US」であるLB4-5USとLC4-5USは、チップにGemalto(Cinterion)製が採用されている。2G/3Gに対応しているEHS5のアメリカ用の型番とみられるEHS5-USが載っている。バッテリーは不明。
  • FCC ID「2AK4SLBC4-5」であるLB4-5とLC4-5は、チップにSIMComのSIM800Lが採用されている。バッテリーは、东莞壹凌电子(YiLiNK)製の5800mAh(3.7V/21.46Wh)のリチウムイオンが使われている。下に書くofoのと違い、このタイプは再充電ができる。なおSIMComの話は以前にも記事にしているので詳しくはそちらを(「中国のシェアバイクを支えるConcoxとJimiとSIMComに注目してみる」)。

    ofoのスマートロックは

    一方のofoの日本用の自転車のスマートロックは「022-100027」で技適は既に通っている模様(ofoが東京で展示していた自転車に記載されていた情報より)。ただ、データが総務省のWebでは即時には反映されないためだろう、検索できていない(10月31日現在)。

    よって、先に通っていることが確認できたFCCで探すことにする。FCC IDは「2AMBSTWX5G02-1」。mobikeと違い、型番から見て日本とアメリカは同じスマートロックとみられる。

    バッテリーはER34615。充電は出来ない。

    まず、バッテリーは3.6V 19Ah。提出されたマニュアルの控えを読むと1日10回の使用で1.5年持つ設計だと書いてある。バッテリーの写真がちらっと写っているのを見ると「ER34615」。ER34615は塩化チオニルリチウム電池といい、これは充電は出来ない。組み込み系のモジュールにはよく見られるもので、自己放電が少ないのは特徴だけれども、そうか、一回切りか。

    ER34615が使われている。

    ER34615が使われている。

    ただ、設計上1.5年と書いてあっても(実際の消費電力によるが)、もう少し長く使用できるとみる。

    Quectelのチップ – SORACOMも採用したメーカー

    チップを写真から読み取るとQuectel(上海移远)のUG96が載っている模様。QuectelといえばSORACOMが採用したり、グローバルの無線/GPSのチップメーカーとして急成長している中国メーカーである。

    QuectelのUG96 が載っている。

    QuectelのUG96 が載っている。

    FCCへの資料では「GSM 850/1900 GPRS,EGPRS, WCDMA Band II(1900MHz), Band V(850MHz), BT 4.0 BLE, GPS L1:1575.42MHz」と書いてあり、UG96のスペックシートにあるFrequencyの情報を見ても同様。いわゆるUMTS/HSPA。

    ofoは、現時点ではFCCに持っていってるのはこの一つの型番だけの模様。またofoの外資側の法人であるとみられる东峡大通(北京)管理咨询有限公司の名義で申請している(ofoの名前で検索しても出てこない)。このあとの展開が楽しみ。

中国のシェアバイクの「再配置」事情

利用ニーズにあわせた自転車の再配置

MobikeとOfoは、シェアバイクの自転車が溜まったエリアから必要と見込まれる場所へ移動させる「再配置」をしています。

例えば朝の通勤時間帯に駅からオフィス街に移動が集中すると、いったん昼間は稼動が減るのでまた別のエリアに持っていくわけです。そして夕方になるとまたオフィス街に集中的に移動させてきます。単に朝昼晩の時間帯だけでなく、量を見ながら細かく配置を工夫している様子が伺えます。

移動をしているのは

北京で見ていると、再配置をしている様子を見かける量は圧倒的にMobikeの比率が高く、その半分ぐらいの量でOfo。移動させる手段に用いられているのは写真のような電動三輪車が主です。

Mobikeの自転車を移動している。比較的綺麗に載せているほう。だいたい何台かの自転車がピーピー鳴ってる。

必ずしもユニフォームや電動三輪車のデザインは統一されておらず、電動三輪車にMobikeのシールをつけて走っている様子もいれば、Mobikeのビブスを着ているだけの人も。つまり、これらの作業を請け負っている人たちがいるわけです。最近、OfoのTシャツを着ている人を初めて見かけました。あのTシャツ、欲しいです。

Ofoの自転車を移動している様子

Ofoの自転車を移動している様子。はみ出しているのはどこも同じ。

Mobikeのビブスを着ているオジサマ

Mobikeのビブスを着ているオジサマ。これも欲しいなぁ。

Mobike

夕方のお仕事。これから移動させにいくようです。写真、ブレてる。

何度か大型のトラックで移動しているのを見ましたが、どうやら「投下」作業が中心で、再配置には細かく電動三輪車が活躍しているようです。

再配置の単位

一台あたりで再配置できる量はせいぜい10台。人によってきれいに積んでいる人もいれば、下のOfoの写真のようにとにかく詰め込んだぜという人も。さすがにステキな乗せ方で興奮したのであわてて写真を撮ろうにも手がブレました。

いつもよりたくさんのっておりまーす

そう、ワタクシ、この再配置をしているオジサマを見るのが好きで必ず写真を撮っています。そういえばこの仕事をしているのはオジサマしか見ていません。

 当社のオフィスの周りでよく見かける再配置オジサン。

当社のオフィスの周りでよく見かけるオジサマ。

他社はどうしているのか

一方、この2社以外のシェアバイクでの再配置の様子は見えません。bluegogoは一度だけ移動しているオジサマがいましたが、それ以来ありません。ほかの自転車は「ユーザお任せ」のようです。

ところで、Mobikeの方によれば移動・再配置は利用データに基づいているとのことですが、正直、本当にほしいときにはすべて移動させられているときがあり(特に、夜でタクシーが捕まりにくい時間帯)、「あれだけ昼間にダブついてんのに今ここに一台も無いの!持っていきすぎだよ!」と思うことも。そういうときに限って、「見つかった!やった!」と思ったら自転車が壊れているというガッカリに出会い、コノヤローと思うわけです。よってオジサマ、全部持っていかずに、もう少しだけ残しておいてください。

敷地の入口に「共享自行车禁止进入本小区」「共享单车禁止入园」と書いてあったり建物の正面に「禁止停放共享自行车」という看板が出てたりと、一気に「ここ入るなよ・置くなよ」という文字を目にすることが増えました。また、歩道がこの写真のようにほぼ自転車で埋め尽くされている場面もあります。

歩道の様子

歩道埋まっちゃってるよ!

中国中で「問題」として取り上げられることが増えてきていますが、これだけの量を投下した以上、人間の移動だけで自転車が最適化された配置になることは難しいでしょう。私個人は、こうした状況にイライラとするのではなく、きっとすぐに改善策を考えるだろうなとそちらを楽しみにしているところです。今後各社がどのように再配置を工夫するのかに注目しています! ガンバレ!