Mobikeのネジの変化に注目する

Mobikeの初期型はサドルの高さが調整できなかった

中国のシェアバイクの最大手「Mobike」には、投入時期などによって様々な種類の自転車が存在しています。このうち、初期型のMobikeと、Mobike Liteのすべてのモデルはサドルの高さの調節ができません。

初期型の後に出てきたMobike はクイックリリース式のシートクランプがついていたり、油圧で上下するタイプが出てきたりしています。なお、Ofoは初期普及型以降すべてでクイックリリース式です。このようなサドルまわりの改善の話はいずれ書きます。

Mobikeのサドル

Mobikeのサドル。クイックリリース型のシートクランプ。油圧で上下する。

サドルの高さが低くて困った

初期型Mobike、そしてMobike Liteはサドルの高さの調整ができず、私の身長(177センチ)ではどうしても低く感じていました。そのため、周りを見渡して他にあればサドルの高さを変えられるものを選んでいました。上に書いたとおりOfoは当初からシートクランプがついており、しかもかなり高くできるので、一時期はOfoばかり乗っていたのです。

初期型のMobikeは完全にシートポストが固定されていたのでどうにもなりませんが、Mobike Liteはサドルの部分が動かせたので、ユーザの中には工具をもってきて触る人も。それが最初は六角ナットだったため、ソケットレンチを持ってきて簡単に触ることができました。

六角ナットだった初期のMobike Lite。

六角ナットだった初期のMobike Lite。

Mobike Lite。

Mobike Lite。六角ナットと六角ボルトの様子が分かります。

なお上のMobike Liteの写真は、2016年10月に最初に投入されたMobike Liteではなく、その後に続いて投入されたモデルです(違いはフレームとカゴの色で見分けられます。パーツの違いはほぼ見当たりません)。

六角ナットからヘクサロビュラへ

しかし、ユーザに勝手にサドルの高さを変えられても困ってしまうわけで、この「六角ナット」がこの1年間で変化してきました。先に結論をご説明すると、今は、いわゆるトルクス(トルクスは商標ですので「ヘクサロビュラ」などといいます)のいたずら防止のピンがついているタイプのボルトが使われています。

ヘクサロビュラ型のピン付きボタンボルトが使われている

ヘクサロビュラ型のピン付きボタンボルトが使われている

ヘクサロビュラでは一般的に流通している工具でも開けられてしまうので、一般的にはこうして真ん中にピンが立っているものがいたずら防止を目的に用いられています。日本で売られている街乗り用の自転車でピン付きのヘクサロビュラのボルトを見ることはなかなかありません。「いたずらを避けるための工夫」が伝わってきます。

なお、Mobike以外にもピン付きのヘクサロビュラをシートポストの部分に採用しているのは、確認している限りでは永安行(youon)だけ。他の自転車はほぼ全てサドルの高さは可変で、クイックリリース型のシートクランプが採用されています(Ofo、bluegogo、U-Bicycle、Unibikeなどなど…。例えば上海だとクランプではないものが見当たりません)。

ヘクサロビュラの前にはトライウイング時代があった

さて、調べていくうちに、ヘクサロビュラの前にはトライウイングのボルトだった時代が挟まっていたことが分かりました。私は中国にいるときにはひたすら自転車の様子をつぶさに見て何か工夫しているところがないかと上から横から下から斜めから見ているわけですが、ちょうどヘクサロビュラのボルトが採用される前に投入されていた自転車では、トライウイングだったようです。

なお、いたずら防止で使われるボルトの穴形状ではトライウイング以外にもトライクル、ワンサイド、ツーホールなどと色々とありますが、穴形状によっては締め付けトルクのバランスで壊れます。

しかしなぜトライウィングが採用されなくなったのだろうと街中を探していたところ、見つけました。イタズラの跡。

トライウイングの穴をイジられた結果、穴が壊れ錆びている。

トライウイングの穴をイジられた結果、穴が壊れ錆びている。

しっかりとイジられたんでしょう、この潰れ方を見ると、まともな工具ではなくマイナスドライバーぐらいを使われたのだと思います。もうしっかりと錆びていて、いわゆるネジ穴はボロボロです。ここまでくるともうお手上げです。

一方、この元の形状は下の写真です。まだキレイでした。

Mobike Liteのトライウイングのネジ。

Mobike Liteのトライウイングのネジ。

ただ、この穴形状ではマイナスやプラスのドライバーを突っ込もうとする人がでてくるわけで、結果、上の写真のように穴がボロボロになってしまいます。こうした事態を避けるためには、穴に関係ない形状のドライバービットがそもそも入らないよう、真ん中に「ピン」が立っている形状のネジを用いるわけです。

苦労と改善が見える

ここまでで僅か11ヶ月(Mobike Liteが出たのが昨年の10月という意味で)。100万台単位の自転車を、おそらくは数ヶ月単位でこのように細かく仕様を変えてきているMobikeのスピードに興味がわきます。

はじめからイタズラ防止に気を配っていたらヘクサロビュラのネジを採用できていたのではないか、との指摘を考えつくこともできるでしょう。しかし私はそうは思いません。市場に出してみてどのように使われるのか、仮にイタズラがあるとして、それが本当に困ることなのか、それともサービスの維持に影響するものなのか。これはやってみないと判断できないわけです。

ここまでのことは私が中国で見続けてきたことからの推測でしかありませんからMobikeの公式な見解ではありません。しかしおそらくは、

  1. まずは最もコストの安い六角ナット・六角ボルトで展開した
  2. そして、それではだめだと気づいたのでトライウイングにしてみた
  3. なおもさらにイタズラされるので、ヘクサロビュラにした

といった経緯があったとみられます。

一方、Mobike LiteではなくMobike の方も、単純なシートクランプから油圧式になる改善がされています。日本に投入されているタイプもこの油圧式。改めてサドルのシートピンなどの変化についても取り上げたいと思います。

MobikeとOfo以外に勝ち目はあるのか – 中国のシェアバイク

勝ち目のない競争に突っ込んできていないか

中国のシェアバイク(自転車のシェアリング)は完全に混沌としてきました。Mobikeは2000万利用/日を突破、その少し前にはofoが1000万利用/日を突破、という、頭がクラクラするような数をさっさとクリアしてきています。

最初に少しだけ冷静に考えてください。人口が多いから利用数が多い、とはあながち言えません。10:1ぐらいの人口比として日本での様子が想像できるかといえば、日本で1日にシェアバイクが100万利用される姿は到底想像できません。この1年で中国の移動習慣が明らかに変化してきたのです。急速に。劇的に。写真ではどうやっても伝わらないぐらい。

一方でそんな資本力勝負の市場に未だに新しいプレイヤーが毎月参戦してくるという、「さぁ君はどのような勝ち目をもって参入してきたんだ」と聞いてみたいぐらいのわけのわからない状況です。そろそろ自転車のカラーバリュエーションが会社間で被り始めてる気もします。黄緑とか!黄緑とか!!

MobikeとOfoに絞られるのではないか

さて、ここにきての私の疑問は、MobikeとOfo以外に誰に勝ち目があるのかということです。この1ヶ月弱の間でも北京の街の中には「Unibike」「U-bicycle」など3社の自転車が出てきました。

Unibike

U-bicycle

酷骑単車(Coolqi)

概ね全国で3番手に位置しているとみられるbluegogoは、少し前から「bluegogo pro」という、何がproだかは正直何もわからない自転車もばら撒き始めています。Ofoの最新型とほぼ同じ印象だけど、デザインが好きなので許す!

bluegogo pro

先月、決済と利用を一本にする仕組みが2社から立て続けに発表され、「アリババ一派とOfo」、「Tencent一派とMobike」という組み方になった時点でほぼ固まったと思います。もちろんここまできたとしてもタクシー予約アプリのように「最後は一つ」という固め方もあるので油断はできません。(ちなみにbluegogoやU-bicycleなどもアリババ側に)

3位以下はどうなるのか

北京は北京、上海は上海なので、もはやここまで来るとプレイヤーの話は一まとめにはし難いものの、中国全体でみるとMobike、Ofoは勝ち抜けられる位置まできました。そこにさぁ次点で誰かが残れるのかというと3番手ぐらいまではありうるでしょうが、上にあげたUnibike、U-bicycleなどのような新興プレイヤーの勝ち目はどう考えても見えないのです。押金、つまり保証金を無料にするといったことではユーザはなびかないし、価格設定も既にギリギリのところ。もはや競争するポイントが無いわけです。さらに2番手と3番手の差も大きく開いています。

一方、「ユーザを囲うだけ囲って、マネタイズする手前で他社へ売却」というシナリオが当てはまるかどうかも考えてみる必要があります。ここで考えるべきは、ユーザの利用実態です。様子をみていると MobikeかOfoだけ、もしくはMobikeとOfoだけという人は結構いますが、例えばbluegogoだけという人はほぼ見かけません。あくまで3番手以下は(目の前にそれしか自転車がないときの)予備的位置づけ、またはあればそっちに乗るという好みでしかなく、MobikeかOfoのアカウントも持っていた上でbluegogoも乗ってる、とみられます。

とすると、こうした3番手以下の企業を上位が買い取る必要性は積極的には考えにくく、むしろ「他社に取られないために買う」意義があるかないか、というぐらいではないでしょうか。しかも一度ばら撒かれた自転車を回収する意思があるとも考えられません。ブランドを統一するコストを考えれば、買った会社の自転車はそのまま放置したほうがきっと安いでしょう。

今後の予想

ということで私の勝手な予想では、あと数ヶ月で倒れ始める会社が出始め、今年の年末には潰れた会社の自転車は野ざらしになり、勝手に使われ、一方でユーザのエンゲージメントに成功しマネタイズしきれるのは2社、とよみます。個人的にはOfoの乗り心地、そしてサドルの高さを変えられるのが大変好きなのですが、アプリの出来具合は明らかにMobikeが上。頑張れOfoであります。

一帯一路の大きな会議が間もなく開かれる北京。各国首脳などが泊まるホテルはセキュリティの準備がされつつあります。まさか街の中から自転車をきれいに撤去できるわけはなく(それでも会場周辺はきれいにするのでしょう)、どこかの首脳が見て「あれ何。これうちの国でもできる? 」みたいなノリもあるんではないかと前向きに期待してみたり。

中国のレンタル自転車(自転車シェアリング)事情

中国の主要都市で次々と各社が参入しているレンタル自転車。30分1元の料金は電子決済、スマホで空き自転車がどこにあるかわかる、というステキさ。私が普段いることが多い北京では以前から北京市がやっているレンタル自転車(日本の自治体がやっているような感じ。置き場所にきちんと戻すこと前提のサービス。)はありましたが、出てきてしばらくすると廃れては新しい自転車が配備され、を2-3サイクルぐらい繰り返していました。今のモデルがいいのは、エリア内だったらどこに置きおとしてもいいということ。放置自転車で頭を悩ます日本では果たして同じことが出来るかよくわかりませんが、日本でもやりたいという声もチラチラと聞こえてきます。

パンクや空気入れのメンテナンスをしなくてもよい工夫

さて、レンタル自転車が出だしたころには下の写真のように自転車のタイヤがパンクしているものがよく見つけました。ペコペコになっているタイヤのまま走っているのも見たり。

たまにまとめて自転車をトラックの荷台に積んで回収している場面を見ることがあって、そこで空気を入れたりメンテしているんだろうなーと思っていたんですが、ふと昨日見た別の会社の自転車では、いわゆる「穴あきタイヤ」を採用して空気入れやパンクのメンテナンスをしなくてもすむようにしているタイヤを発見。ノーパンクタイヤとは違うので乗り心地は決してよくないでしょうが、どうせ30分や1時間の短い移動なのできっとこれでよし。この改善、いい!(残念ながら時間がなくてこの自転車は写真を撮っただけ。試すことはできませんでした。)

こういう改善サイクルの早さはすごい。日本だとこれを例にすれば「パンクどうする。空気いれどうする。誰がやる。」と考えているうちにサービスが出てくるのに時間がかかってしまうけれど、とりあえず初めてからイロイロと出てきた問題に対処する。このサイクルのほうが、必要な改善を高速回転させれば確実に短時間でいいサービスが出来上がってきます。安全安心とのバランスはあるでしょうけれども、期待値コントロール次第。

電動自転車も出てきている

上海の享骑出行という会社は、電動自転車で同様のサービスを始めています。アプリの上で自転車のバッテリーの残量も見れます。ステキ。

ちなみにofoなどは保証金が99元ですが、この享骑出行は299元。もとの自転車が高いからでしょうね。

なにせ都市部の渋滞はよくなる傾向にはないし、街は比較的平らなので自転車の環境としても悪くない。そのうち放置された自転車が出てきたりメンテナンスをきちんとしない会社が出てきたりと問題が出てくるんでしょうが、そんなことは(良い意味で)織り込み済みで、このサービス改善を高速回転でやりながら本当によいサービスになればいいのだと思います。