中国のシェアバイクを支える自転車メーカーたち – ofo編

自転車メーカーとシェアバイク

2017年は、中国の自転車史上、最も多くの自転車が製造されたのではないだろうか。1930年代に中国に自転車産業が根付き始めて以来、2016年に起きたシェアバイクブームで一気に街の自転車はカラフルになり、そして早くもこれらはオレンジ色と黄色の二色に落ち着こうとしている。

既に中国は世界最大の自転車生産国であり、GIANTやMERIDAといった台湾メーカーでさえその製造は中国が中心。一方、中国のシェアバイク業界は、mobikeの無錫や、もともと自転車メーカーである上海の永久によるGONBIKEを除き、そのほとんどを委託生産で行ってきた。ここしばらくは多くの自転車工場を視察してきたが、実際、多くの自転車工場のラインには街中で見たことがあるシェアバイクが並んでいる。

他方で、中国には自転車メーカー(正確には完成車の組み立てができるラインを持つ企業)は大小あわせて数百あるとされるが、その全ての自転車メーカーがシェアバイクの製造を請け負っているわけではない。もちろん、飛鴿、永久、鳳凰、富士達といった従来からの歴史ある大手メーカーは相当量の自転車製造を請け負ってきた。このうち飛鴿は天津、鳳凰と永久は上海の老舗メーカーで、80年代までの中国の自転車はほぼこの3社で占められてきた歴史がある(なお、正確には飛鴿は1999年に業績悪化により事業が行き詰まり、新たな法人格に飛鴿ブランドを引き継いだ。よって現在の飛鴿はこちらである)。その後深圳で香港・台湾メーカーによる生産が進んだことにより、中国の自転車産業は天津・上海・深圳の3エリアにまとまってきた歴史がある。

ところで天津は天津で面白い。北京からほど近い武清をはじめ北辰、東麗、西青などのエリアに自転車産業が長年集積している。いずれ天津、上海、深圳の三大自転車産地の歴史についてもまとめてみたい。

話題がそれすぎた。シェアバイクの話に戻る。

作りたくないというメーカーも

先日、ある準大手自転車メーカーの社長は「安く質の悪い自転車はつくりたくない。唯一、mobikeだけはしっかりしていたので請け負うことにした。」と語った。シェアバイクと一口にいってもコストはバラバラだが、中国全土で小さなシェアバイク企業が乱立した中では、そうした企業に対してはいわば100元、200元単位の自転車が求められた。必然的に、質は落とさざるを得ない。

そうした中、前述の大手メーカーの中には「他ブランドのシェアバイクの製造はこれ以上はやらない」と言っているところも出てきている。個人的にはbluegogo pro (bluegogoの変速付きタイプ)ぐらいの出来が好きだった。

中国向けだけではない

決して中国市場向けだけではない。自転車の型を見ても分かるが、アメリカやヨーロッパ、アジアなど世界各地で展開しているシェアバイク企業の自転車の大半も中国製だ。大手の工場では世界各地に向けた自転車が出荷を待っている。むしろ今や中国製ではない自転車を探すほうが難しい。こうした自転車は、展開先の地域によって自転車の規格や規制、そして乗る人の体型も異なるため、一部分はカスタマイズされて出ている。

体型の話はわかりやすい。アジア向けではなく欧米向けにはシートとハンドルバーの高さを上げたデザインが多い。また、中国はライトの装着が義務付けられていないが、大半の国向けには当然LEDのライトが装着されている。

では、どのメーカーが作っているのか

さて、ではいったいどのメーカーがシェアバイクの製造を請け負ってきたのだろう。以前このblogではスマートロックや通信用のチップの話については触れてきたが、完成車の話については触れてこなかった。

中国のネットにはいくつかメーカーの情報が載っているが、残念ながら網羅されている様子はない。また、mobikeは、シャフト型以外の自転車は委託先で製造しているが、現在6社と言われている委託先(もともとmobike Liteは委託生産だった)については全てを見たわけではないので明言しにくい。(工場で生産工程を見たメーカーについても残念ながら言えない。)

そこで、委託先が「自転車を見ればわかる」ofoについて、下にリストを作ってみた。私がコツコツためた写真によるものなので完全に網羅しきれている自信はないが、ほぼカバーできているはずである。

そして結論から言うと、驚きである。ここまで多いとは思わなかった。この1ヶ月、ひたすら自転車を覗きこみ続けてみてきたところ、13社が見つかった。mobikeの6社という数字が先に頭にあったため、せいぜい同程度ではないかと思っていたため、調べるにつれて「まだ出てくるか」と。しゃがんで自転車をひたすら見続け写真を撮る怪しさは、まわりから見ればただ滑稽かもしれない(わかっている)。ただ、こちらはその見えにくいところに貼られているラベルに関心があるのである。

深圳市台峰自行车有限公司

これは「深圳市台峰自行车有限公司」だと分かる。

ofoのメーカーラベルの一覧

台峰以外の12社分のofoのメーカーラベルの一覧

  • 深圳市台峰自行车有限公司
  • 天津飞鸽自行车业发展有限公司
  • 凤凰(天津)自行车有限公司
  • 天津富士达自行车有限公司
  • 深圳市聚创车业有限公司
  • 深圳信宝自行车有限公司
  • 深圳雷克斯自行车有限公司
  • 深圳市泰丰永达自行车有限公司
  • 深圳市南盾科技有限公司
  • 爱地雅(东莞)自行车有限公司
  • 天津科林自行车有限公司
  • 宁波途锐达休闲用品有限公司
  • 深圳麦可斯车业有限公司

当初、ofoの自転車にはメーカー名は書いていなかった。むしろほぼ中国のシェアバイクでは製造メーカー名は判別しない。ただ、ofoの自転車では今年のある時期からメーカー名が分かるようになってきた。現時点では投下されているうちおよそ8割はメーカー名が記載されているシールが貼ってある。

初期のofoにはメーカー名は書かれていなかった。

初期のofoにはメーカー名は書かれていなかった。

他にシールで分かるのはu-bicycleや赳赳单车(99bicycle)ぐらいで、あとはフレームなどを見て「同じ型だ」と気づくしかない。

この赳赳单车(99bicycle)は浙江佳捷时电子科技有限公司が作っているとわかる。

この赳赳单车(99bicycle)は浙江佳捷时电子科技有限公司が作っているとわかる。

同じようにこのu-bicycleは永久が作っていると分かる。

同じようにこのu-bicycleは永久が作っていると分かる。

なお、上のリストについては現時点でも請け負っているかは定かではないので予めおことわりしておく。

ofoが韓国向けに準備していた?

興味を引かれたのは、「韓国」の文字を見つけたことだ。今回しばらくの期間ひたすら調べて続けていたところ、上記のofoのシールで「韓国線」と書いてある自転車を発見したことだ。これは完全に推測だが、韓国向けに製造するラインがあった可能性がある(ofoは現時点では韓国には出ていない)。ただ、一見したところでは富士达が作っている他のofoと外形上の違いは見当たらなかった。

富士达にofoの韓国向けのラインがあったのか?

富士达にofoの韓国向けのラインがあったのか?

一方、ofoが日本向けに持ってきた自転車が一部で公開され、その際に実車を見たところ、メーカー名がわかるシールは貼付されていない。ただ、KENT (Kent International はアメリカの自転車メーカー)のエンブレムが前面に付いている。他の国向けのofoの自転車でKENT のエンブレムがついているものは見つけられていないが、どうもこの日本向けの自転車はKENT の委託先の中国工場で作られているとみるのがよいだろう。

天津の古い自転車製造メーカーが厳しい状況に追い込まれているという報道がつい最近あったが、実際にあちこちの工場を見てみると、新たなトレンドに追いつこうとしているメーカーや、付加価値の高い自転車をつくろうとしているところは依然元気である。最近は20代、30代の若い経営者が自転車業界に入ってきている。新しいメーカーの話はいずれご紹介する。

ofo のベルトドライブモデルの自転車

中国のシェアバイクにベルトドライブの自転車が投入

ofo にベルトドライブモデルの自転車が出てきた。電動アシストのシェアバイク用自転車には既に永久が上海で展開している自転車(GONBIKE)にベルトドライブが採用されているが、自転車タイプのものでシェアバイクに採用してきたのは初めてだとみられる。

ofo のベルトドライブを採用した自転車

ofo のベルトドライブを採用した自転車

ベルトドライブの採用の一番のメリットはチェーンと違ってメンテナンス性。チェーンは使い続けていると磨耗で伸びてくるし、そもそも雨にさらされ続ければ注油しないと錆びてくる。1年近く投下され続けているシェアバイクの車両に乗ってみれば、まぁチェーンがガリガリ言うこともよくある。

その点、ベルトドライブは優秀だが、ベルト自体のコストだけでなくスプロケットやクランクセットもベルト専用になり、全体でコスト面にも跳ね返ってくる。もっとも、シェアバイク用に大量生産することになれば、一台あたりの製造コスト差は小さくなるはず。

ベルト部分

ベルト部分

もちろんチェーンドライブと比べて自転車がやや軽くなるし、乗り心地もスムースになる。シェアバイクにベルトドライブが出てくる時代になったか、と思うわけである。

ベルトドライブはシェアバイクに向くのか

もっとも完全なメンテナンスフリーではない。ベルトドライブの自転車に乗っておられる方はお分かりだろうが、カーボンベルトから汚れで少しすれるような異音はしてくることもある。カーボンベルトは油はさしてはだめなので水で洗うことが必要。チェーンと比べればメンテナンスは楽だろうが、それでも1年や2年、外で過酷に扱われていれば、個人で大切に扱われる自転車と違う

カーボンベルトは切れないのかという懸念もあるが、実際にベルトドライブの自転車を作っているメーカーの人に質問したところ、「そりゃ、チェーンを切るのと同じように専用の工具があれば切れる」というが、実際には結構硬い。車のタイミングベルトが相当乗らないと切れないのと同じ(だと思う。我が家で一時期乗ってたイタリア車が相当な距離でようやく切れかかったという経験のみ。説明が雑で申し訳ない)。

使っているカーボンベルトはGates

そこで、どこのメーカーのカーボンベルトが使われているのか見ると、Gatesだ。Gatesはドイツのメーカーで、もとは自動車やバイク向けで始まり、そこから名だたる自転車メーカーで使われている有名な「Gates Carbon Drive」というカーボンベルトブランド。

いいベルト使ってるじゃない。

実際のところ乗り心地はどうだ

実際に乗ってみるとスイスイ来る。乗り心地も悪くない。ワーイと言って「乗り心地がよくなった」とTwitterに機嫌よく書いたら、今日になってダメな車両に当たりまくることになる。

問題は乗り心地ではない。それ以外の問題。多いのはシートポストのロックが甘くなっているもの。今日だけで3台。イタズラされたのかブレーキワイヤーが抜かれているものが1台。フロントハブのロックナットがおそらく甘くなっているだろうというのが1台。さらに、スマートロックのレバー部分が早々に壊れているもの1台(壊れにくそうな形状だったのに..)。出たばかりの新車でこれかよーと内心思うところ。

ブレーキのワイヤー部分が壊されている。。。

ブレーキのワイヤー部分が壊されている。。。

壊れていたり故障しているものは1台ずつ丁寧に通報。出たてだから仕方がない。そのうち改良されてくるだろう。しかしシートポストが甘いのはイケてない。サドルをあげて乗った瞬間にがくっとお尻が下がったときのあのガッカリ具合といえば…。

供給は一社だけのよう

この自転車を誰が作っているのかが気になり、手当たり次第メーカーを調べてみたが、どうも「深圳市台峰自行车有限公司」の一社だけのよう。この会社はbanianブランドで自転車を出している深圳のローカルメーカー。

ここで言いたいのは、ベルトドライブがダメだということではない。むしろベルトドライブの自転車を頑張って増やしてほしい。しかし自転車自体の完成度が高くないと、せっかくのベルトドライブが泣いてしまう。

もう少しがんばろう!

そして2モデルあることに気づく

何台か乗っているうちに、カゴ無しのものにあたった。最初はカゴを外されたかかわいそうに、と思ったら、そうではないよう。よく見るとカゴありとカゴなしの2モデルが投下されている。カゴなしのモデルはカゴの取り付け部分がリフレクター(反射板)になっている。カゴありのほうは、カゴの前面部分にリフレクターが付いている。個人的にはカゴありで統一していただいてもよろしいのではないかと思うところ。

カゴありのベルトドライブモデル。

カゴありのベルトドライブモデル。

カゴなしモデル。

カゴなしモデル。

カゴなしモデルは取り付け部分にリフレクター

カゴなしモデルは取り付け部分にリフレクター

一つ気になるのは、ベルトガードをつけていないこと。上に書いた永久の自転車はベルトガードをつけて巻き込みを防いでいるがofoの自転車にはついていない。スカートや裾の巻き込みを防ぐためにはベルトガードがあったほうがよいのでは。

永久が作り展開しているGONBIKEのベルトガード。

永久が作り展開しているGONBIKEのベルトガード。

と、まぁベルトドライブの自転車だけでこれだけもネタを提供してくれるofo は相変わらず楽しい。

正直、ofoの元気が最近なさすぎて、黄緑+金ピカ、青色に続いてどうにかなってしまうのではないかと思っていたので、新しいモデルが出てくるだけで嬉しい。きっと上に書いたような不具合は次のモデルですぐに改良されてくるだろうから期待して待つことにしよう。

CYCLE MODEでe-BIKEを見てきた

日本最大のスポーツ自転車の展示会といわれるサイクルモード・インターナショナル2017(CYCLE MODE international)に行ってきた。個人的な関心はスポーツバイクだが、今回の視察目的はe-BIKEと呼ばれる電動自転車(日本では電動アシスト自転車)。日本のシェアバイクの流れの重要なポイントは、電動アシストだと考えている。中国のように平らな環境が多い街と違い坂道が多い日本。(それでも、中国は一括りにはできず、大連や青島のように坂道が多い場所もある。)

最初から話がずれるが、マラソン人口がこれだけ日本で増えたあと、一定程度のランナーが「自転車に行く」と思っている。マラソンを走り続ける楽しみを覚えた人以外に、長距離・長時間自分と向き合うスポーツの中ではバイク・トライアスロンの声がまわりから否応なしに聞こえてくるものである。大きなマラソン大会では相変わらず抽選の倍率も高い。マラソンを数年から5年ぐらい続けたランナーがその1割でも自転車に興味を持ったら…。

話しを戻すと、今回は、前回のイベントにも出ていた中国のTSINOVA、小米の出資を受けて開発されているQiCYCLE、台湾の達方電子(DARFON)のBESVなど、e-BIKEと呼ばれるものが日本でまとめて見られるチャンス。BESVは最近都内でもチラホラと見かけるようになってきたところだし、TSINOVAは今週からちょうどリテールの販売が始まったところ。中目黒に専門ショップが出来たらしい。

小米のQiCYCLE

そのQiCYCLEは1年ほど前に小米が売り出したときに個人輸入で中国から買ってきている人もチラホラとblogなどで見かける。折り畳み式の電動アシストで、中国では同じくEF1という型番で2999元(5.5万円弱)で売られている。日本向けの代理店も決まり、日本仕様にあわせたマイナーチェンジを経て来春日本発売の予定。レッド、マッドブラック、レッドの3色で展開されるそう。

QiCYCLEのEF1。日本では来春発売予定とのこと。

QiCYCLEのEF1。日本市場向けの仕様で来春発売予定とのこと。

タイヤは16×1.75、シマノのギアとDCブラシレスモーターの仕様などは中国と変わらず。一方、ディスプレイは日本語化したり一部日本仕様にあわせる対応をしているとのこと。認証まわりはこれからと聞いた。気になる値段はパンフレットに定価128,000円(税抜)と書かれているが、このとおり13万円前後になる見込みだという。TSINOVAが同程度の価格でTS01を出してきているので似たレンジでの競争になるのだろうか。

QiCYCLEもベルトドライブを採用。TSINOVAなど中国メーカーでも採用が増えている。

QiCYCLEもベルトドライブを採用。TSINOVAなど中国メーカーでも採用が増えている。

TSINOVA

一方のTSINOVAはTS01という型番の販売が始まっている。ほかにも折り畳み式電動アシストのALIAS、「ママチャリ」と言い切っているMIRAIが展示されていた。TSINOVAは北京に本社がある電動車・電動アシスト電車のスタートアップで、仕事での機会もあって先日訪問してきた。

TSINOVAのTS01

TSINOVAのMIRAI。いわゆるママチャリ。

TSINOVAの折り畳み電動アシスト「ALIAS」

TSINOVAの折り畳み電動アシスト「ALIAS」

日本では既にいくつかのチャネルで販売が始まっている。実物に触れたいのであれば中目黒のsneecleがおすすめ(回し者ではない)。sneecleでしか扱われていないTSUYAという赤いモデルと、ブルー、ブラックの3種類が実際においてある。お願いすれば試乗もさせてくれる。

中目黒のsneecle。中目黒駅から徒歩5分ぐらい。

中目黒のsneecle。中目黒駅から徒歩5分ぐらい。

店舗ならではの発想もあった。TS01の標準のサドルをBROOKSの黒いレザータイプのサドルに変えてしまうのもどう?と。確かにかっこいい。また、カゴもTSINOVAにあわせたデザインのオプションを検討しているという。とはいえ、ここまで来るとシェアバイクラボの範囲からは超えてしまう。私は個人的には自転車は大好きだが、あくまでこれを書いているときには仕事。

月額レンタルのモデルも始めるとのことで、このビジネスモデルが楽しみ。

TS01のブラックにBROOKSを載せるカスタマイズのイメージ。よい。

TS01のブラックにBROOKSを載せるカスタマイズのイメージ。よい。

店舗の方によれば、TS01以外にもALIASが今年中に日本で入ってくるかどうか、またTS01の藍色と白色のモデルはもうまもなく日本に来るのではとのこと。

BESV

一方、もう少し高級路線を行くBESV。台湾メーカーだが台湾というブランディングはほぼ見当たらない。会場ではPS1やPSA1、それからスポーツタイプのSF1などが展示されていた。

BESVのPS1。最近、少しずつ都内で見かける。

BESVのPS1。最近、少しずつ都内で見かける。

メーカーである達方電子(DARFON)は1997年5月設立のメーカー。もとはLCD TVやノートパソコン用キーボードなどの専業メーカーとして大きくなった。私も10年前の印象ではそのようなイメージが残っている。昔はAcer、今はBenQとして知られている明基友達のグループ。台湾最大手の電機・電子部品メーカーである。達方自体はBESV以外にvotaniというe-BIKEのブランドを持っている。

中国・台湾メーカーである印象が見当たらない

このほか、e-BIKEではないが、上海メーカーであるJavaBikesも参考出品。日本での取り扱いは未定とのことだが、イタリアでデザインしたミニベロが展示。電動も中国で展開しているとのこと。

上海のJavaBikes

上海のJavaBikes

BESVにしても展示もパンフレットも完全にヨーロッパデザインのブランディング。この点はTSINOVAも同じような感じ。実際にパンフレットを見ていただきたいが、紙質やデザインテイストは中国メーカーだと分からない。(とはいえ、TSINOVAの一部の動画やパンフレットの翻訳が中国っぽさを残してしまっているのでもったいない。これは日本本格進出時にクリアしておいたほうが絶対にいい)

ま、そもそも自転車の相当程度は中国と台湾で作られているという事実を考えれば、設計・デザイン・ブランディングによる差をつけていくという点に異論はない。その点、イメージを欧米に求めるというのは合理的。

さてさて、こうした新しいスタイルの電動アシスト自転車が日本にも揃い始める2018年。こう書いてる私も一台通勤に揃えたいところで、はやくオフィス周辺の駐輪場問題を解決せねば..。

ドコモのシェアサイクル。予約時にバッテリー残量が分かると嬉しい。

色々と不満はあるようだが、それでも使う人は増えている

ドコモのシェアサイクル。台数が増えることになったり利用数が急増していたりと上向きなのが素敵。ユーザの声を聞いていると、アプリが残念とか地図から自転車が探せないとか乗ってみたら故障している、という声もチラホラ。

ただ、そういう不満はあるにせよ、まあそれはユーザとしては大目に見つつ、少なからずあるだろうこうした声に改善の速度が速いかどうかだけに注目したい。今がダメだから将来もダメと決め付けるのは悪いクセ。

ドコモのシェアサイクル

ドコモのシェアサイクル

最近、東京にいるときには会社からの帰宅時、このドコモのシェアサイクルを使って途中まで移動することを増やしている。バスと電車が通常の通勤手段だが、帰りはそこまで時間に追われるわけでもないので半分ぐらいの距離を自転車移動にしている。

何のことはない、自宅がエリア外なので、オフィスのある港区内で借りて、ぎりぎり港区の区界までいって降りるだけである。走行距離は3キロ弱、時間にして11~12分ぐらい。自転車に乗りたいというより自転車に乗らないことが分からないことがたくさんあるからだ。そんなことを考えていたら道にBESVが置いてあるのを見かけた。欲しい。

自転車ナビマーク・自転車ナビライン

自転車ナビマーク・自転車ナビライン。ちなみに法律上の取り扱いではない。

バッテリーの残量が分からないのが惜しい

ただ、一つだけ早く改善してほしいことがバッテリーの残量表示。予約時にバッテリーの残量が分からない。しかし僅かにでも残っていると予約できてしまう(アプリのUIが悲しくて、ポートに置いてある自転車があると予約できてしまう。しかもポチっといきなり。)

だったらポートまで行って自転車のバッテリー容量を見てから借りればいいじゃないかというあなた。場所によっては1台とか2台しか空いていなくて、争奪戦。20分も予約させてくれるというのならば乗る前から予約したくなるものである。(ちなみにStartボタンを押せば分かる)

今までも「残量15%」「残量20%」、ひぃー足りるかなと思いながら借りることはあれど、数キロならば問題ないのでそのまま続行。ただ、そもそも残量が少ないと出力が落ちている(気がする)。

「残量0%」の自転車に

ところが「予約できるのに残量0%」の自転車に当たることがある。残量0%って何だと思うが、本当にゼロではないはず(実際には単純に電圧と利用可能な電荷を関係を見ているわけではなく色々なパラメータがあるはず)。本当にゼロならば自転車は予約できないし、ポートに置いてあっても文鎮になっている。僅かに残っているがために反応してしまう。予約もできてしまう。特に夜。(家本比)

せっかくなのでその場面を写真に撮っておいた。なお、自宅に二台ある電動アシストは、電池の寿命のことは分かっていても出来るだけ満タンにしている。しかし、0%ときたもんだ。ありゃりゃ。

ドコモサイクルシェア

0%だよ…。これでは借りた意味ないよー

しかも予約できてしまい、さらに残量を見ずに先に解錠してしまった。そうすると課金が始まっている。およよ(私は1回会員なので利用ごとの課金)。サポートセンターに電話して説明すれば課金なしにしてもらえるが、私は早く帰りたいのである。何なら写真撮って送るからあとよろしくと言いたいところ。

中国のサービスではどうなっているか

まずアプリでは分かるパターン。これは上海の享騎電動車(享骑电动车)の場合。借りる前にはアプリの画面で残量と大まかな走行可能距離が出てくる。ユーザからすればこれでよい。

享騎電動車。乗る前にアプリで表示される。

享騎電動車。乗る前にアプリで表示される。

仮に自転車の電池がないと、このようなエラーがでる。そして「借りられない」。ユーザからすれば、これもこれでよい。そもそも地図からはこの自転車は探せないので、当たる可能性は「目の前にこの自転車がある」場合。

享騎電動車。電池が無いよ。ほかのにしてね。

このUIを作るのは難しくない(と思いたい)。今日、ある中国の電動アシスト自転車の関係者と話していたが、この大元のメーカーは実際に複数の自転車会社にアプリを供給している。

ディスプレイを用意し始めた永久智能車

最近上海に投入されつつある永久智能車の新バージョン。これにはディスプレイが付いている。走っている最中には速度メーターにもなる。これもこれでいい。

永久智能車のハンドルバーにあるメーター

永久智能車のハンドルバーにあるメーター

7号電単車や享騎電動車のそれぞれの初期バージョン(中身はまったく同じもの)の場合、このようなメーターがついていたが、日中日差しが明るいと色の見分けがつかなかった。その後、享騎電動車の新バージョンではこのメーターごと無くなっている。スマホで見られればいい。

7号電単車や享騎電動車の初期バージョンについているメーター

7号電単車や享騎電動車の初期バージョンについているメーター

重要なことは高速回転。

サービスは改善されて育つもの。初期バージョンには操作性や視認性などに不満があろうとも、その後改善すればそれでよい。重要なことはその声を聞いて改善のサイクルを高速回転させられるかどうか。

日本語メディアの中国のシェアバイク事情の記事を見ていると、どこかを断片的に見ているだけの記事が多くてやや残念。mobikeやofoだってはじめからずっとすごいわけじゃない。mobikeのアプリなど今年は数ヶ月にわたって履歴のページはnginxのエラーが出続けていた(なお、今は改善されている)。数日じゃない。数ヶ月。そこ重要じゃないから後回しでいいと思ったらそういう判断でいい。そのほうがユーザとしてはスッキリする。

ShareBike Labo(シェアバイクラボ)を立ち上げました

日本でのシェアバイク展開を支援します

クララオンラインとスポーツITソリューション(クララオンラインと電通の合弁会社)は、共同でShareBike Labo(シェアバイクラボ)を立ち上げました。(プレスリリースもご覧ください。)

ShareBike Labo (シェアバイクラボ)

ShareBike Labo (シェアバイクラボ)

ShareBike Laboは、「シェアバイクが変える社会、つくる未来」をテーマに、世界中のシェアバイクの調査研究はもちろんのこと、次に掲げるような分野に注力した活動を行います。

  • シェアバイク導入支援(地域・大学キャンパスなど)
  • NB-IoTを活用した次世代自転車・スマートロックシステムの開発
  • 違法駐輪対策・自転車通行帯など社会との共存設計
  • 活動量計と自転車を組み合わせた健康的移動手段のデザイン

スポーツITソリューション、そして10月中に設立予定のスポーツ専門のコンサルティング会社であるSports SNACKS(当社グループ)がメンバーとなり、当初は10名が関与しながら様々な角度からシェアバイクの未来を提案していきます。

なぜシェアバイクなのか

答えは明確です。シェアバイクは環境にやさしい移動手段・IoT・ビッグデータ・広域での街づくり・観光・健康などのキーワードが集合する存在です。単なる自転車の共有サービスで留まるものではありません。

その未来を創っていくハブになろうというのがこのShareBike Laboの目的です。

シェアバイクと社会と健康

中国各地で2016年初頭から急速に普及したシェアバイク。単なるモビリティとしての存在ではなく、今後はスポーティーな存在や健康づくりを支える役割への発展も考えられています。既に中国にもスポーツタイプの自転車によるシェアバイクが出始めてきているところですが、今後、ウェアラブルデバイスのようなセンサーチップが組み込まれたり、活動量に応じたユーザベネフィット(mobikeが9月末のアプリのアップデートで一部はじめました)も出てくるはずです。

もちろん違法駐輪・駐輪場整備の問題や放置自転車対策など様々な課題があり、こと、日本ではこうした問題への適切な対応が求められます。ただ、似たような事情は中国にも当然存在しています。享騎など電動車のシェアサービスではGPSと返却場所と鍵の機能を連動させ、指定した場所以外では返却できない=鍵をロックさせず、課金を停止させない方法をとったり、エリア外に出ると突然高い課金額にすることでエリア内に収めるとした工夫もみられます。すなわち、環境整備と同時に、こうした「テクノロジーとの組み合わせ」が日本で受け入れられる鍵になると考えています。

こうした中で、スポーツITソリューションは、スポーツとITという2つの軸のプロフェッショナルとして様々な大規模プロジェクトを支えてきましたが、アプリやシステム開発面での知見はもちろんのこと、健康、スポーツ施設を中心とした街づくりなどの豊富な実績から、クララオンラインと共同でShareBike Laboに参加します。

NB-IoTとシェアバイク

ようやく規格がとりまとまってきた5G。この5GのうちいわゆるIoTデバイスで広範囲に使われることになるだろうNB-IoTは、シェアバイクとの相性が期待されています。私自身はシェアバイクはNB-IoT搭載デバイスとして最も速く普及するデバイスの一つになるともみています。

ちょうど昨日(10月12日)、ofoがNB-IoT搭載自転車の標準化に取り組む報道が流れていました。中国で2GやBluetoothで展開してきたシェアバイクは消費電力の低さとカバレッジからみてNB-IoTに早晩置き換わるものと思います。

地理的に広範囲でのIoTビジネスは、デバイスを作り、電波を飛ばして、数が出るところで様々なナレッジやノウハウが得られます。世界最大の最初の市場は間違いなく中国であり、その中国市場での知見も大いに取り込んでいくつもりです。

シェアバイクをどのように日本が受容できるかは将来に向けた試金石

私(家本)自身、この1年間、中国のシェアバイク・電動車をひたすら研究し続けてきました。毎月毎月様子が変わるこの動きの激しいシェアバイクの世界の中で、確かに色々と日本でそのまま展開するには課題があります。

ただ、これだけわずか1年で中国の風景を変えたシェアバイクが、かたちを変化させながらも日本でどのように展開できるのかに注目しています。昨年夏、私は中国でmobikeとofoを見たとき、「これは日本では無理だなぁ」とまず否定形から入ってしまったわけです。しかしそれは間違いであるし、そもそも否定から入るべきではない、とその後に思い直しました。

日本が新しいものを受容する力が弱いことは改めて指摘するまでもないわけですが、シェアバイクは、いわば日本社会が新たなものを工夫しながら受容できるかどうかの「試金石」だと考えているのです。

今後、シェアバイク事業者、通信事業者、駐輪場・駐車場事業者、自治体などの皆さんたちとも積極的な連携をとりながら、「シェアバイクが変える社会、つくる未来」を創りたいと思います。シェアバイクに関わることであればなんでもご相談ください!

淘宝でシェアバイクのパーツを探す

無いものは無い

中国のECはエンタメの一つである。というのが私の意見。空き時間はアプリで眺め、面白そうなものがあったらとりあえず買ってみる。

淘宝(タオバオ)を眺めていると、思いもよらない面白いものに引き続き出会うわけで、これだけ様々なECが出てきたとしてもやはり雰囲気を感じ取るためには淘宝が分かりやすい。

あけてびっくり玉手箱、みたいなこともあるがそれも楽しみの一つ。どこにでもあるものであれば日本のAmazonで買えばよいのだが、やはり淘宝で危なっかしいものを探すのも楽しいわけである。同じ「アリババ」だったとしてもAliexpressの中だけではこの面白さは届かない。

なお、中国国内配送に限っていたり、できたとしても慣れていないお店もあるのでその点は自己責任で。初めてならば何かしら転送サービスを使うのもよい。中国に拠点があるならばオフィスに届けてもらうことが一般的。

軽い気持ちで眺めるのがよい

シェアバイクに関するもので面白いものを捜してみる。

スマートロック(鍵)やら子供用のシートやら、あるいは「mobike用のクーポン」みたいなものは私の基準では大して面白くないので飛ばし、買う人いるんだなと驚くものだけを挙げてみることにする。

「パーツ」とタイトルに入れたものの、まずは自転車そのもの。まぁ、そういうことである。

しかし、これを仮に買ったとしてもだ。街にこの自転車が置いてあったら「ofo」であると思い乗ろうとする人が出てくるのではないだろうか。

ofoの工場が横に流していると見られる自転車。

ofoの工場が横に流していると見られる自転車。

個人的にはmobike(Liteではない。シャフト型のmobike)かofoの最新型を輸入して自分用で乗りたいと思っているぐらいだが、そこまでするか、という声が脳の片側から聞こえてくる。気になるのは、これを買った人がそこそこいるってことである(交易成功、の数でわかる)。

雨の用のシートカバー

これは便利だ。我が家にある自転車のうち一つは雨が降るとシートの中のスポンジ部分に雨がしみこみ、そのあと乗るとお尻が濡れてしまう。これは日本でも使える気がする。

スーパーの袋でよいではないかというあなた、「形」が重要なのである。雨上がりの中国でさっとカバンからこのビニールカバーを取り出してシートにつけて颯爽と走ってごらんなさい。

使い捨ての雨の日用シートカバー

使い捨ての雨の日用シートカバー

ただ、mobikeやofoなどの自転車で、こうした浸み込んでしまうタイプのシートが果たしてあっただろうか!? 拭けば良いかなとも。

ofoの鍵(初代)

どう見ても、どこから見ても、ofoの鍵。このタイプのダイヤル式の鍵はだいぶ比率が下がってしまったが、どうだろう、上の黄色い自転車につければより「ofo度」が上がるのは間違いなし。

ofo用と同じと見られるダイヤル式の鍵。だいぶ減ったので買うならば今!

ofo用と同じと見られるダイヤル式の鍵。だいぶ減ったので買うならば今!

ピン付ヘクサロビュラの工具

この手の工具は探せば買えるのでだからなんだ、だが、シェアバイク用に売り出しているところに商売っ気のある中国を感じる。よいよい。

工具は何でもそろう。

工具は何でもそろう。

色々な組み合わせがある。買うならば購入件数が多めのところを選ぼう。

色々な組み合わせがある。初めて買うならば購入件数が多めのところを選ぼう。

少し前に書いた「Mobikeのネジの変化に注目する」で書いた、ヘクサロビュラ(トルクス)、トライウイングのネジにはすべてこれで対応している。

いつでもサドルの高さを変えたいあなたには必携!(何が)

中国のシェアバイクは特許の塊

特許大国になった中国

中国における知財領域においては、代表的には発明、実用新案、意匠について特許権がある。これは日本と大きくは変わらない。その中国は近年、特許出願数が急速に伸びている。特許というものが一気に身近になった。

そういえば数日前の日経新聞にも「中国の特許件数が伸びている」という記事が小さく載っていた。もう何年も前からの傾向ではあるが、中国はもはや特許大国の存在である。一方で、シェアバイクの世界においても様々な特許の出願が行われている。シェアバイクを取り囲む自転車の世界には、デザイン、システム、自転車、鍵、駐輪システムなどイノベーションが起きうる素材が山ほど存在する。なれば自然と特許も増えるだろう。

今回は様々な特許の角度の中から、まずは軽めにスタートしようと、スマートロックの意匠権というテーマで取り上げてみる。発明まわりの注目点も今後しばらく追いかけてみるのでお待ちいただきたい。

MobikeとOfoの状況

この2週間ほど、MobikeとOfoの特許公告を眺めている。暇なのではなく(ここ重要)、このあたりに中国の新しい何かが埋まっているのではないかと考えていて、ココホレワンワンと(言われている気になっている)。

Mobikeについては、自動車設計をヒントにした自転車という話題がたくさん出ているが(シャフトの話など)、実はMobikeだけでなくOfoも大量に出願している。公告されているものだけでそれぞれ発明、実用新案、意匠をあわせて50件程度はある。実際の時間軸としてはここまで約1年。まだ公表されていないものもあるだろうし、出願者がMobikeやOfo本体ではないケースも考えられるため、実際にはさらに多いと考えられる。

中には「これ、発明かな…んーむ」と悩むものもあるが、とにかく取っとけという中国の流れは間違いなくある。私自身は中国の特許については専門外だが、読み進めている限りでは実用新案のハードルは低そうで、見たことがありそうなものでもバシバシと出している。

きちんと分類整理するのは誰かにお願いするとして、ざっとした印象ではMobikeは初期はフレームや車体など「ブツ」を中心に、システムも含めて広く出願している様子。車体に関する発明は圧倒的にMobikeほうが多い。一方のOfoはシステム領域のほうが多く、いわゆる自転車自体に関する特許は少なめ。これはMobikeとOfoのそれぞれの状況を概ね現していると指摘できる。

Mobikeの実用新案公告より

意匠についてはMobikeは自転車が中心。一方、Ofoは自転車が一種類、鍵が3種類、それからQRコードと自転車の番号を表示させている車体番号の板を登録しているぐらい。

変わったものには、Ofoで「自転車のハンドルバーの取り付け補助具」の特許があった。どのように使うのかは説明を読んでもわからないが、おそらく日本語で読んでもわからない。

どうやら、スマートロック(鍵)や基礎的にシステムに関する発明・実用新案・意匠はあらかた出きったようであり、最近の公告を見てみると製造法やフレーム、応用的なシステムの話に移ってきている。

Ofoは鍵をどうしようしたかったのか

ところで、意匠権の公告を見ていると、色々と考えていたのだろうという「痕跡」が見つかる。

上に書いたようにOfoは少なくとも鍵については3種類の意匠登録をしている。先に説明しておくと、スマートロックについてはそもそもMobikeやOfoが自社でデザイン・開発をしているものだけでなく、鍵メーカーが開発したものを採用した実績も多くある。そのため、出回っているデザインの中にはMobikeやOfoが権利を直接持っているわけではないものも存在するわけである。中国のECサイトや関連する企業のWebサイトを見れば、この普及タイプの自転車用スマートロックのデザインにはもはや独自性も何もない。誰かが最初に考えたのだろうが、ベーシックなデザインはコピーが繰り返されすぎて誰がオリジナルなのかにはたどり着けない。

それでは、Ofoが何を登録していたかを時系列で並べるとまず最初はこれだ。一番上のモノクロのものを見ると(CN304011666S)、4桁の数字キーがないことに気づく。Ofoは初期にダイヤル式ロックで展開したことに引っ張られたか、4桁の数字キーでここまできている。NB-IoTでのテスト機を見ても変わっていない。一方でこの意匠の出願時期は昨年3月。数字キーを外すことも考えていたのかもしれない

Ofoが2016年3月に意匠権の出願をしていたスマートロック(鍵)のデザイン。Ofoの特徴である4桁数字キーがなかった。

Ofoが2016年3月に意匠権の出願をしていたスマートロック(鍵)のデザイン。Ofoの特徴である4桁数字キーがなかった。

余談だが、この時期はOfoは代理人を使っておらず自ら申請していた(この後はMobikeもOfoもそれぞれ複数の事務所を使っている)。まだ「スタートアップ」感があった時期だったなと。

見たことがあるデザインだぞ

次に出てくるのは2016年12月に意匠登録を出願していたタイプ。そう、これはこの後、投入されている。4桁の数字キー付き、まさにOfoである。

これは見たことがあるOfoのスマートロック。

そう思っていたのだが、よくよく見ると何かが違う。そうどこか違う。比較してみたところ、レバーの位置が違った。出願されたものはレバーは横についている。しかし投入されたものは表についている。

投入されているバージョン

投入されているバージョン

横より前のほうが良いと考えたわけだろう。ただ、そうならそうと、これも登録したほうが良くないだろうか? なおこのタイプは、レバーの黒い小さなハンドル部分がよく取れている。もう2台に1台はなくなっている。このあと投入された似たデザインのものはだいぶ頑丈になっているのでそれでヨシ。

バッテリー交換可能なタイプが出願されていた

上のスマートロックと同じ2016年12月21日に出願されたものに、別のデザインがあった。これは今のところ採用されている様子は見当たらない。遡ること1ヶ月前、すなわち2016年11月にこの鍵の実用新案も出ている。なんだデザインの違いかと思ったわけだが、実用新案の内容を読んでいくと、このタイプではバッテリー交換を可能にしていた。正確にはバッテリーへのアクセスを容易にしたことがポイントだが、申請書にはメンテナンスプロセス、メンテナンスコストが大幅に削減できるぜ! と書いてある。

バッテリー交換可能なタイプとして実用新案・意匠登録されているOfoのスマートロック

どこにバッテリーが入っているかといえば、4桁の数字キーがある左側ではなく、右側の耳のような部分。ここのカバーを取り外すとバッテリーにアクセスできるそうである。へーへー。

実用新案の資料より。

実用新案の資料より。

どのようなバッテリーを使っているのだろうかと探していたら、最後のほうにバッテリーパックのデザインもご丁寧に書いてある。それがこれ。ドン。

つまり3本の電池を入れましょうということである。

つまり3本の電池を入れましょうということである。

3本の電池用のバッテリーパックを入れ替えられるようにしているということであろう。日本でいう単三なのか単四なのかということは資料には見当たらなかったが、このサイズからすると単四、中国でいう7号だろうか。

斜めからの図

斜めからの図

斜めから見てもデザインは無骨すぎず悪くない。しかし、今のところこのデザインが採用された気配もなければ、6月に参考出品されていた新型の自転車でも見当たらない。日の目を見ることがあるのか、それともお蔵入りなのか。

Mobikeのネジの変化に注目する

Mobikeの初期型はサドルの高さが調整できなかった

中国のシェアバイクの最大手「Mobike」には、投入時期などによって様々な種類の自転車が存在しています。このうち、初期型のMobikeと、Mobike Liteのすべてのモデルはサドルの高さの調節ができません。

初期型の後に出てきたMobike はクイックリリース式のシートクランプがついていたり、油圧で上下するタイプが出てきたりしています。なお、Ofoは初期普及型以降すべてでクイックリリース式です。このようなサドルまわりの改善の話はいずれ書きます。

Mobikeのサドル

Mobikeのサドル。クイックリリース型のシートクランプ。油圧で上下する。

サドルの高さが低くて困った

初期型Mobike、そしてMobike Liteはサドルの高さの調整ができず、私の身長(177センチ)ではどうしても低く感じていました。そのため、周りを見渡して他にあればサドルの高さを変えられるものを選んでいました。上に書いたとおりOfoは当初からシートクランプがついており、しかもかなり高くできるので、一時期はOfoばかり乗っていたのです。

初期型のMobikeは完全にシートポストが固定されていたのでどうにもなりませんが、Mobike Liteはサドルの部分が動かせたので、ユーザの中には工具をもってきて触る人も。それが最初は六角ナットだったため、ソケットレンチを持ってきて簡単に触ることができました。

六角ナットだった初期のMobike Lite。

六角ナットだった初期のMobike Lite。

Mobike Lite。

Mobike Lite。六角ナットと六角ボルトの様子が分かります。

なお上のMobike Liteの写真は、2016年10月に最初に投入されたMobike Liteではなく、その後に続いて投入されたモデルです(違いはフレームとカゴの色で見分けられます。パーツの違いはほぼ見当たりません)。

六角ナットからヘクサロビュラへ

しかし、ユーザに勝手にサドルの高さを変えられても困ってしまうわけで、この「六角ナット」がこの1年間で変化してきました。先に結論をご説明すると、今は、いわゆるトルクス(トルクスは商標ですので「ヘクサロビュラ」などといいます)のいたずら防止のピンがついているタイプのボルトが使われています。

ヘクサロビュラ型のピン付きボタンボルトが使われている

ヘクサロビュラ型のピン付きボタンボルトが使われている

ヘクサロビュラでは一般的に流通している工具でも開けられてしまうので、一般的にはこうして真ん中にピンが立っているものがいたずら防止を目的に用いられています。日本で売られている街乗り用の自転車でピン付きのヘクサロビュラのボルトを見ることはなかなかありません。「いたずらを避けるための工夫」が伝わってきます。

なお、Mobike以外にもピン付きのヘクサロビュラをシートポストの部分に採用しているのは、確認している限りでは永安行(youon)だけ。他の自転車はほぼ全てサドルの高さは可変で、クイックリリース型のシートクランプが採用されています(Ofo、bluegogo、U-Bicycle、Unibikeなどなど…。例えば上海だとクランプではないものが見当たりません)。

ヘクサロビュラの前にはトライウイング時代があった

さて、調べていくうちに、ヘクサロビュラの前にはトライウイングのボルトだった時代が挟まっていたことが分かりました。私は中国にいるときにはひたすら自転車の様子をつぶさに見て何か工夫しているところがないかと上から横から下から斜めから見ているわけですが、ちょうどヘクサロビュラのボルトが採用される前に投入されていた自転車では、トライウイングだったようです。

なお、いたずら防止で使われるボルトの穴形状ではトライウイング以外にもトライクル、ワンサイド、ツーホールなどと色々とありますが、穴形状によっては締め付けトルクのバランスで壊れます。

しかしなぜトライウィングが採用されなくなったのだろうと街中を探していたところ、見つけました。イタズラの跡。

トライウイングの穴をイジられた結果、穴が壊れ錆びている。

トライウイングの穴をイジられた結果、穴が壊れ錆びている。

しっかりとイジられたんでしょう、この潰れ方を見ると、まともな工具ではなくマイナスドライバーぐらいを使われたのだと思います。もうしっかりと錆びていて、いわゆるネジ穴はボロボロです。ここまでくるともうお手上げです。

一方、この元の形状は下の写真です。まだキレイでした。

Mobike Liteのトライウイングのネジ。

Mobike Liteのトライウイングのネジ。

ただ、この穴形状ではマイナスやプラスのドライバーを突っ込もうとする人がでてくるわけで、結果、上の写真のように穴がボロボロになってしまいます。こうした事態を避けるためには、穴に関係ない形状のドライバービットがそもそも入らないよう、真ん中に「ピン」が立っている形状のネジを用いるわけです。

苦労と改善が見える

ここまでで僅か11ヶ月(Mobike Liteが出たのが昨年の10月という意味で)。100万台単位の自転車を、おそらくは数ヶ月単位でこのように細かく仕様を変えてきているMobikeのスピードに興味がわきます。

はじめからイタズラ防止に気を配っていたらヘクサロビュラのネジを採用できていたのではないか、との指摘を考えつくこともできるでしょう。しかし私はそうは思いません。市場に出してみてどのように使われるのか、仮にイタズラがあるとして、それが本当に困ることなのか、それともサービスの維持に影響するものなのか。これはやってみないと判断できないわけです。

ここまでのことは私が中国で見続けてきたことからの推測でしかありませんからMobikeの公式な見解ではありません。しかしおそらくは、

  1. まずは最もコストの安い六角ナット・六角ボルトで展開した
  2. そして、それではだめだと気づいたのでトライウイングにしてみた
  3. なおもさらにイタズラされるので、ヘクサロビュラにした

といった経緯があったとみられます。

一方、Mobike LiteではなくMobike の方も、単純なシートクランプから油圧式になる改善がされています。日本に投入されているタイプもこの油圧式。改めてサドルのシートピンなどの変化についても取り上げたいと思います。

中国のシェアバイクの「再配置」事情

利用ニーズにあわせた自転車の再配置

MobikeとOfoは、シェアバイクの自転車が溜まったエリアから必要と見込まれる場所へ移動させる「再配置」をしています。

例えば朝の通勤時間帯に駅からオフィス街に移動が集中すると、いったん昼間は稼動が減るのでまた別のエリアに持っていくわけです。そして夕方になるとまたオフィス街に集中的に移動させてきます。単に朝昼晩の時間帯だけでなく、量を見ながら細かく配置を工夫している様子が伺えます。

移動をしているのは

北京で見ていると、再配置をしている様子を見かける量は圧倒的にMobikeの比率が高く、その半分ぐらいの量でOfo。移動させる手段に用いられているのは写真のような電動三輪車が主です。

Mobikeの自転車を移動している。比較的綺麗に載せているほう。だいたい何台かの自転車がピーピー鳴ってる。

必ずしもユニフォームや電動三輪車のデザインは統一されておらず、電動三輪車にMobikeのシールをつけて走っている様子もいれば、Mobikeのビブスを着ているだけの人も。つまり、これらの作業を請け負っている人たちがいるわけです。最近、OfoのTシャツを着ている人を初めて見かけました。あのTシャツ、欲しいです。

Ofoの自転車を移動している様子

Ofoの自転車を移動している様子。はみ出しているのはどこも同じ。

Mobikeのビブスを着ているオジサマ

Mobikeのビブスを着ているオジサマ。これも欲しいなぁ。

Mobike

夕方のお仕事。これから移動させにいくようです。写真、ブレてる。

何度か大型のトラックで移動しているのを見ましたが、どうやら「投下」作業が中心で、再配置には細かく電動三輪車が活躍しているようです。

再配置の単位

一台あたりで再配置できる量はせいぜい10台。人によってきれいに積んでいる人もいれば、下のOfoの写真のようにとにかく詰め込んだぜという人も。さすがにステキな乗せ方で興奮したのであわてて写真を撮ろうにも手がブレました。

いつもよりたくさんのっておりまーす

そう、ワタクシ、この再配置をしているオジサマを見るのが好きで必ず写真を撮っています。そういえばこの仕事をしているのはオジサマしか見ていません。

 当社のオフィスの周りでよく見かける再配置オジサン。

当社のオフィスの周りでよく見かけるオジサマ。

他社はどうしているのか

一方、この2社以外のシェアバイクでの再配置の様子は見えません。bluegogoは一度だけ移動しているオジサマがいましたが、それ以来ありません。ほかの自転車は「ユーザお任せ」のようです。

ところで、Mobikeの方によれば移動・再配置は利用データに基づいているとのことですが、正直、本当にほしいときにはすべて移動させられているときがあり(特に、夜でタクシーが捕まりにくい時間帯)、「あれだけ昼間にダブついてんのに今ここに一台も無いの!持っていきすぎだよ!」と思うことも。そういうときに限って、「見つかった!やった!」と思ったら自転車が壊れているというガッカリに出会い、コノヤローと思うわけです。よってオジサマ、全部持っていかずに、もう少しだけ残しておいてください。

敷地の入口に「共享自行车禁止进入本小区」「共享单车禁止入园」と書いてあったり建物の正面に「禁止停放共享自行车」という看板が出てたりと、一気に「ここ入るなよ・置くなよ」という文字を目にすることが増えました。また、歩道がこの写真のようにほぼ自転車で埋め尽くされている場面もあります。

歩道の様子

歩道埋まっちゃってるよ!

中国中で「問題」として取り上げられることが増えてきていますが、これだけの量を投下した以上、人間の移動だけで自転車が最適化された配置になることは難しいでしょう。私個人は、こうした状況にイライラとするのではなく、きっとすぐに改善策を考えるだろうなとそちらを楽しみにしているところです。今後各社がどのように再配置を工夫するのかに注目しています! ガンバレ!

中国のシェアバイクを支えるConcoxとJimiとSIMComに注目してみる

3社の中国企業に注目

中国で普及し続けるシェアバイク。シェアバイクの仕組みを支える一つの要素は衛星測位システム(GNSS)+自転車施錠システム。スマートフォンで自転車についているQRコードを読み取ると、サーバと自転車が通信して解錠し、さらに利用終了時には自転車を施錠すれば同じく通信によって課金が停止する。あの「鍵」の中には通信機能が搭載されており、GNSSによる位置情報の把握と、サーバとの通信が行われている。

日本では中国のシェアバイクに関する技術的要素について説明される機会が少ないため、まずは簡単に通信まわりについてご紹介する。ここで知っていただくべきブランドは3つ。Concox、Jimi、SIMCom。いずれも中国企業だ。

SIMCom

先ごろスイスのu-bloxが買収したが、もとは中国のチップメーカー「SIMCom」。無線モジュールを作る中国発のトップベンダーの一つ。u-bloxは以前から日本に拠点がある。

シェアバイクに限れば、トップ2社のうち、Mobikeは初期からGNSS+GSM/GPRSでの通信解錠システムを持つ一方、Ofoは当初は通信せずに4桁ダイヤル錠だった。その後、4桁ボタン式に変える際、Mobikeと同様に通信機能を入れている。Ofoに限って言えば、当初投下した4桁ダイヤル錠モデルがそのまま出回っているからか、鍵番号を表示させる方法に今までは寄せてきた。しかしこのあと触れるConcox&Jimiの製品を見ると、4桁ボタンが無いものも検討していたよう。ただ実際にはこのモデルは見たことがない。

先週の展示会では、SIMComはMobikeとOfoの両方の「鍵」を展示。Mobike用にはSIM800L、Ofo用にはSIM868を提供したとのこと。このSIM800LとSIM868の目立った違いは、SIM868にはGNSSが統合されていること。とすると、Mobike用には位置情報は別チップなのかと思い、開けてみたい衝動にかられるところ。AliExpressで調べてみるとSIM800Lは4ドル以下、SIM868は6ドル以下ぐらいで出回っている。実際にはさらに安いと推測できる。もっとも、上のとおりSIM800L単体では位置情報が実装できないようにみえるので、SIM800Lが採用されたシステムの中身を詳しく調べてみたい。

展示されていたMobikeとOfo用のリモートロック

展示されていたMobikeとOfo用のリモートロック。SIMComは通信モジュールを提供している。

なおSIMComの担当者によればNB-IoTでは既に日本向けの型番を用意しているという。

Concox と Jimi

Concox Jimi

次に紹介するConcox(深圳市康凯斯信息技术有限公司)とJimi(深圳市几米电子有限公司)はいずれも深圳に本社のある「兄弟会社」。実際にはそれぞれのWebサイトで同じプロダクトラインナップが並んでいるし、カタログはConcox&Jimiとしてダブルブランド。2015年から今の関係のようだ。そしてConcox&Jimiの製品でシェアバイクに採用されているものが「BL10」。Ofoが採用したとのニュースがあったが20万個と書いてあり、供給はごく一部に限られているようである。

Concox&Jimiの「BL10」

Concox&Jimiの「BL10」

このConcoxとJimi。2社のストラクチャは複雑すぎて登記を見ただけではよくわからないが、流れから見るとConcoxの方が規模は大きい。一方、高行新氏という人物が両社に関与されているようで、Jimiの創業者のようだ。そして今、キーマンはこの人のように見える。写真を見る限り若そうでもある。そしてさらに調べていくとJimi Cloudというプラットフォームビジネスも展開しようとしている。

なお、このBL10。どうもSIM800LやSIM868が採用されているシステムとは違う。スペックを調べるとNewMobi(新移科技。これも深圳の会社)のMTK2503が載っており、このMTK2503はARM7EJが搭載されている。正確にはMTK2503というチップ名の商品がNewMobiのWebサイトには見当たらないが、MT2503の開発用ドキュメントを読むと概ね一致しているのでこの派生だろうと推測できる。ここまで調べてきてわかるのは、「鍵」についてもいろいろな製品が市場に出現してきているということ。

しかし、やはり我慢できない。これはBL10を買って中身をみるしかないと思いAliExpressを調べたら499ドルと出てきた。1個売りにしても高すぎる。好きとはいえ500ドルほどの話しではない。。。残念。

後日、手元にある永安行、U-bicycle、bluegogo、七彩単車、GONBIKE、天天騎、99の写真を並べて、どこか同じ機器を採用していそうなところがないか調べてみることにする。

Ofoもよく見ると4桁ダイヤルの次に出てきた電子錠でも異なるタイプのものがある(赤丸部分)。

ソーラーパネルで発電している

ではこうした機器の電力をどのように確保しているかといえば、当然バッテリーから供給しているわけだが、BL10はソーラーパネルからの供給を受けることをインテグレートしている。

Concox&JimiのBL10の説明資料。ソーラーパネルのインテグレートができる。

Concox&JimiのBL10の説明資料。ソーラーパネルのインテグレートができる。

実際、新しい世代のMobikeのカゴを見てほしい。カゴは荷物を置くためにあるだけではない。ここにパネルがある(実はこれが出てきた当初はしばらく気づかなかった。)。よく見るとカゴの下から電源ケーブルが出ているのがわかる。ある意味でOfoの初期は自転車側に電力を必要としないことで良かったのだが、結局、4桁ダイヤルと個人のスマホによる位置情報の限界に当たってしまった。

Mobikeのカゴにつけられているソーラーパネル

Mobikeのカゴにつけられているソーラーパネル

今のGSM+GPRSでの通信でも必要最低限のことは出来ているが、この次にはNB-IoTが出てくる。速度が変わるわけではない。ただしNB-IoTになればバッテリーの問題がかなり解決する。まだまだ中国のシェアバイクとIoTまわりは面白い。