中国のシェアバイクを支える自転車メーカーたち – ofo編

自転車メーカーとシェアバイク

2017年は、中国の自転車史上、最も多くの自転車が製造されたのではないだろうか。1930年代に中国に自転車産業が根付き始めて以来、2016年に起きたシェアバイクブームで一気に街の自転車はカラフルになり、そして早くもこれらはオレンジ色と黄色の二色に落ち着こうとしている。

既に中国は世界最大の自転車生産国であり、GIANTやMERIDAといった台湾メーカーでさえその製造は中国が中心。一方、中国のシェアバイク業界は、mobikeの無錫や、もともと自転車メーカーである上海の永久によるGONBIKEを除き、そのほとんどを委託生産で行ってきた。ここしばらくは多くの自転車工場を視察してきたが、実際、多くの自転車工場のラインには街中で見たことがあるシェアバイクが並んでいる。

他方で、中国には自転車メーカー(正確には完成車の組み立てができるラインを持つ企業)は大小あわせて数百あるとされるが、その全ての自転車メーカーがシェアバイクの製造を請け負っているわけではない。もちろん、飛鴿、永久、鳳凰、富士達といった従来からの歴史ある大手メーカーは相当量の自転車製造を請け負ってきた。このうち飛鴿は天津、鳳凰と永久は上海の老舗メーカーで、80年代までの中国の自転車はほぼこの3社で占められてきた歴史がある(なお、正確には飛鴿は1999年に業績悪化により事業が行き詰まり、新たな法人格に飛鴿ブランドを引き継いだ。よって現在の飛鴿はこちらである)。その後深圳で香港・台湾メーカーによる生産が進んだことにより、中国の自転車産業は天津・上海・深圳の3エリアにまとまってきた歴史がある。

ところで天津は天津で面白い。北京からほど近い武清をはじめ北辰、東麗、西青などのエリアに自転車産業が長年集積している。いずれ天津、上海、深圳の三大自転車産地の歴史についてもまとめてみたい。

話題がそれすぎた。シェアバイクの話に戻る。

作りたくないというメーカーも

先日、ある準大手自転車メーカーの社長は「安く質の悪い自転車はつくりたくない。唯一、mobikeだけはしっかりしていたので請け負うことにした。」と語った。シェアバイクと一口にいってもコストはバラバラだが、中国全土で小さなシェアバイク企業が乱立した中では、そうした企業に対してはいわば100元、200元単位の自転車が求められた。必然的に、質は落とさざるを得ない。

そうした中、前述の大手メーカーの中には「他ブランドのシェアバイクの製造はこれ以上はやらない」と言っているところも出てきている。個人的にはbluegogo pro (bluegogoの変速付きタイプ)ぐらいの出来が好きだった。

中国向けだけではない

決して中国市場向けだけではない。自転車の型を見ても分かるが、アメリカやヨーロッパ、アジアなど世界各地で展開しているシェアバイク企業の自転車の大半も中国製だ。大手の工場では世界各地に向けた自転車が出荷を待っている。むしろ今や中国製ではない自転車を探すほうが難しい。こうした自転車は、展開先の地域によって自転車の規格や規制、そして乗る人の体型も異なるため、一部分はカスタマイズされて出ている。

体型の話はわかりやすい。アジア向けではなく欧米向けにはシートとハンドルバーの高さを上げたデザインが多い。また、中国はライトの装着が義務付けられていないが、大半の国向けには当然LEDのライトが装着されている。

では、どのメーカーが作っているのか

さて、ではいったいどのメーカーがシェアバイクの製造を請け負ってきたのだろう。以前このblogではスマートロックや通信用のチップの話については触れてきたが、完成車の話については触れてこなかった。

中国のネットにはいくつかメーカーの情報が載っているが、残念ながら網羅されている様子はない。また、mobikeは、シャフト型以外の自転車は委託先で製造しているが、現在6社と言われている委託先(もともとmobike Liteは委託生産だった)については全てを見たわけではないので明言しにくい。(工場で生産工程を見たメーカーについても残念ながら言えない。)

そこで、委託先が「自転車を見ればわかる」ofoについて、下にリストを作ってみた。私がコツコツためた写真によるものなので完全に網羅しきれている自信はないが、ほぼカバーできているはずである。

そして結論から言うと、驚きである。ここまで多いとは思わなかった。この1ヶ月、ひたすら自転車を覗きこみ続けてみてきたところ、13社が見つかった。mobikeの6社という数字が先に頭にあったため、せいぜい同程度ではないかと思っていたため、調べるにつれて「まだ出てくるか」と。しゃがんで自転車をひたすら見続け写真を撮る怪しさは、まわりから見ればただ滑稽かもしれない(わかっている)。ただ、こちらはその見えにくいところに貼られているラベルに関心があるのである。

深圳市台峰自行车有限公司

これは「深圳市台峰自行车有限公司」だと分かる。

ofoのメーカーラベルの一覧

台峰以外の12社分のofoのメーカーラベルの一覧

  • 深圳市台峰自行车有限公司
  • 天津飞鸽自行车业发展有限公司
  • 凤凰(天津)自行车有限公司
  • 天津富士达自行车有限公司
  • 深圳市聚创车业有限公司
  • 深圳信宝自行车有限公司
  • 深圳雷克斯自行车有限公司
  • 深圳市泰丰永达自行车有限公司
  • 深圳市南盾科技有限公司
  • 爱地雅(东莞)自行车有限公司
  • 天津科林自行车有限公司
  • 宁波途锐达休闲用品有限公司
  • 深圳麦可斯车业有限公司

当初、ofoの自転車にはメーカー名は書いていなかった。むしろほぼ中国のシェアバイクでは製造メーカー名は判別しない。ただ、ofoの自転車では今年のある時期からメーカー名が分かるようになってきた。現時点では投下されているうちおよそ8割はメーカー名が記載されているシールが貼ってある。

初期のofoにはメーカー名は書かれていなかった。

初期のofoにはメーカー名は書かれていなかった。

他にシールで分かるのはu-bicycleや赳赳单车(99bicycle)ぐらいで、あとはフレームなどを見て「同じ型だ」と気づくしかない。

この赳赳单车(99bicycle)は浙江佳捷时电子科技有限公司が作っているとわかる。

この赳赳单车(99bicycle)は浙江佳捷时电子科技有限公司が作っているとわかる。

同じようにこのu-bicycleは永久が作っていると分かる。

同じようにこのu-bicycleは永久が作っていると分かる。

なお、上のリストについては現時点でも請け負っているかは定かではないので予めおことわりしておく。

ofoが韓国向けに準備していた?

興味を引かれたのは、「韓国」の文字を見つけたことだ。今回しばらくの期間ひたすら調べて続けていたところ、上記のofoのシールで「韓国線」と書いてある自転車を発見したことだ。これは完全に推測だが、韓国向けに製造するラインがあった可能性がある(ofoは現時点では韓国には出ていない)。ただ、一見したところでは富士达が作っている他のofoと外形上の違いは見当たらなかった。

富士达にofoの韓国向けのラインがあったのか?

富士达にofoの韓国向けのラインがあったのか?

一方、ofoが日本向けに持ってきた自転車が一部で公開され、その際に実車を見たところ、メーカー名がわかるシールは貼付されていない。ただ、KENT (Kent International はアメリカの自転車メーカー)のエンブレムが前面に付いている。他の国向けのofoの自転車でKENT のエンブレムがついているものは見つけられていないが、どうもこの日本向けの自転車はKENT の委託先の中国工場で作られているとみるのがよいだろう。

天津の古い自転車製造メーカーが厳しい状況に追い込まれているという報道がつい最近あったが、実際にあちこちの工場を見てみると、新たなトレンドに追いつこうとしているメーカーや、付加価値の高い自転車をつくろうとしているところは依然元気である。最近は20代、30代の若い経営者が自転車業界に入ってきている。新しいメーカーの話はいずれご紹介する。

ofo のベルトドライブモデルの自転車

中国のシェアバイクにベルトドライブの自転車が投入

ofo にベルトドライブモデルの自転車が出てきた。電動アシストのシェアバイク用自転車には既に永久が上海で展開している自転車(GONBIKE)にベルトドライブが採用されているが、自転車タイプのものでシェアバイクに採用してきたのは初めてだとみられる。

ofo のベルトドライブを採用した自転車

ofo のベルトドライブを採用した自転車

ベルトドライブの採用の一番のメリットはチェーンと違ってメンテナンス性。チェーンは使い続けていると磨耗で伸びてくるし、そもそも雨にさらされ続ければ注油しないと錆びてくる。1年近く投下され続けているシェアバイクの車両に乗ってみれば、まぁチェーンがガリガリ言うこともよくある。

その点、ベルトドライブは優秀だが、ベルト自体のコストだけでなくスプロケットやクランクセットもベルト専用になり、全体でコスト面にも跳ね返ってくる。もっとも、シェアバイク用に大量生産することになれば、一台あたりの製造コスト差は小さくなるはず。

ベルト部分

ベルト部分

もちろんチェーンドライブと比べて自転車がやや軽くなるし、乗り心地もスムースになる。シェアバイクにベルトドライブが出てくる時代になったか、と思うわけである。

ベルトドライブはシェアバイクに向くのか

もっとも完全なメンテナンスフリーではない。ベルトドライブの自転車に乗っておられる方はお分かりだろうが、カーボンベルトから汚れで少しすれるような異音はしてくることもある。カーボンベルトは油はさしてはだめなので水で洗うことが必要。チェーンと比べればメンテナンスは楽だろうが、それでも1年や2年、外で過酷に扱われていれば、個人で大切に扱われる自転車と違う

カーボンベルトは切れないのかという懸念もあるが、実際にベルトドライブの自転車を作っているメーカーの人に質問したところ、「そりゃ、チェーンを切るのと同じように専用の工具があれば切れる」というが、実際には結構硬い。車のタイミングベルトが相当乗らないと切れないのと同じ(だと思う。我が家で一時期乗ってたイタリア車が相当な距離でようやく切れかかったという経験のみ。説明が雑で申し訳ない)。

使っているカーボンベルトはGates

そこで、どこのメーカーのカーボンベルトが使われているのか見ると、Gatesだ。Gatesはドイツのメーカーで、もとは自動車やバイク向けで始まり、そこから名だたる自転車メーカーで使われている有名な「Gates Carbon Drive」というカーボンベルトブランド。

いいベルト使ってるじゃない。

実際のところ乗り心地はどうだ

実際に乗ってみるとスイスイ来る。乗り心地も悪くない。ワーイと言って「乗り心地がよくなった」とTwitterに機嫌よく書いたら、今日になってダメな車両に当たりまくることになる。

問題は乗り心地ではない。それ以外の問題。多いのはシートポストのロックが甘くなっているもの。今日だけで3台。イタズラされたのかブレーキワイヤーが抜かれているものが1台。フロントハブのロックナットがおそらく甘くなっているだろうというのが1台。さらに、スマートロックのレバー部分が早々に壊れているもの1台(壊れにくそうな形状だったのに..)。出たばかりの新車でこれかよーと内心思うところ。

ブレーキのワイヤー部分が壊されている。。。

ブレーキのワイヤー部分が壊されている。。。

壊れていたり故障しているものは1台ずつ丁寧に通報。出たてだから仕方がない。そのうち改良されてくるだろう。しかしシートポストが甘いのはイケてない。サドルをあげて乗った瞬間にがくっとお尻が下がったときのあのガッカリ具合といえば…。

供給は一社だけのよう

この自転車を誰が作っているのかが気になり、手当たり次第メーカーを調べてみたが、どうも「深圳市台峰自行车有限公司」の一社だけのよう。この会社はbanianブランドで自転車を出している深圳のローカルメーカー。

ここで言いたいのは、ベルトドライブがダメだということではない。むしろベルトドライブの自転車を頑張って増やしてほしい。しかし自転車自体の完成度が高くないと、せっかくのベルトドライブが泣いてしまう。

もう少しがんばろう!

そして2モデルあることに気づく

何台か乗っているうちに、カゴ無しのものにあたった。最初はカゴを外されたかかわいそうに、と思ったら、そうではないよう。よく見るとカゴありとカゴなしの2モデルが投下されている。カゴなしのモデルはカゴの取り付け部分がリフレクター(反射板)になっている。カゴありのほうは、カゴの前面部分にリフレクターが付いている。個人的にはカゴありで統一していただいてもよろしいのではないかと思うところ。

カゴありのベルトドライブモデル。

カゴありのベルトドライブモデル。

カゴなしモデル。

カゴなしモデル。

カゴなしモデルは取り付け部分にリフレクター

カゴなしモデルは取り付け部分にリフレクター

一つ気になるのは、ベルトガードをつけていないこと。上に書いた永久の自転車はベルトガードをつけて巻き込みを防いでいるがofoの自転車にはついていない。スカートや裾の巻き込みを防ぐためにはベルトガードがあったほうがよいのでは。

永久が作り展開しているGONBIKEのベルトガード。

永久が作り展開しているGONBIKEのベルトガード。

と、まぁベルトドライブの自転車だけでこれだけもネタを提供してくれるofo は相変わらず楽しい。

正直、ofoの元気が最近なさすぎて、黄緑+金ピカ、青色に続いてどうにかなってしまうのではないかと思っていたので、新しいモデルが出てくるだけで嬉しい。きっと上に書いたような不具合は次のモデルですぐに改良されてくるだろうから期待して待つことにしよう。

mobikeとofoの日本向けスマートロックの仕様

mobikeの技適を眺めていた

朝のコーヒーを飲みながら、mobikeのスマートロックの日本での技適(005-101530)を見ていて第2条19号も通しているのを発見。第2条11号の3及び7はWCDMAなので3Gの通信だということはわかるが、19号の2.4GHz帯なのでBluetoothが載っている。へー。

mobikeのスマートロックの技適情報

mobikeのスマートロックの技適情報

空中線電力をみると0.00128Wなので1.28mWだから、Bluetoothの規格でいくとClass3(1mW)よりは強いがClass2ほどでもないので、実際には1メートル強ぐらいが範囲だろうか。日本のmobikeのサービスではBluetoothは使われている様子はないが、何かしらメンテナンスに用いるのか、それともただ単に採用しているチップとして載っていてあわせてとっただけということなのか。

19号は「2.4GHz帯高度化小電力データ通信システム」。Bluetooth。

19号は「2.4GHz帯高度化小電力データ通信システム」。Bluetooth。

mobikeのアメリカの状況は

一方、mobikeはFCCでは3つの認証番号が通っていることが確認できる。今年3月に2AK4SLBC4-5US、9月に2AK4SLBC-CATM01、10月に2AK4SLBC4-5の3つだ。

このうちLB4-5USとLC4-5US、あるいはLB4-5やLC4-5という二つの型番の違いは、見るとLB4-5/LB4-5USはシャフト型のmobikeに使われている形状と同じ、LC4-5/LC4-5USはmobike Liteや、非シャフト型の最新のmobikeに使われている形状と同じであることがわかる。札幌で展開されているmobike に使われているスマートロックの形状はLB4-5タイプのもの。

mobikeが初期にFCCに申請した2つの型式。

mobikeが初期にFCCに申請した2つの型式。

LC4-5USと同様の形状とみられるもの。mobike Liteや、最新のチェーン式のmobikeで見られる。

チップは何が載っているのか。

  • FCC ID「2AK4SLBC-CATM01」であるLC_CATM01とLB_CATM01は写真や情報が確認できず不明。これ、きちんと調べきれていないものの、どうもLTEのBandなど見ているとNB-IoTではないか。さらに、FCCに提出するときにはRequest for Confidentialityというレターをあわせて出すことができるのだが、この中でExternal Photos、Internal Photos をすべて非公開にするようリクエストしている(Short Termで)。つまり中も外も見せたくないというわけだ。2G/3Gをうかがわせる情報も見当たらない。これは…。
  • FCC ID「2AK4SLBC4-5US」であるLB4-5USとLC4-5USは、チップにGemalto(Cinterion)製が採用されている。2G/3Gに対応しているEHS5のアメリカ用の型番とみられるEHS5-USが載っている。バッテリーは不明。
  • FCC ID「2AK4SLBC4-5」であるLB4-5とLC4-5は、チップにSIMComのSIM800Lが採用されている。バッテリーは、东莞壹凌电子(YiLiNK)製の5800mAh(3.7V/21.46Wh)のリチウムイオンが使われている。下に書くofoのと違い、このタイプは再充電ができる。なおSIMComの話は以前にも記事にしているので詳しくはそちらを(「中国のシェアバイクを支えるConcoxとJimiとSIMComに注目してみる」)。

    ofoのスマートロックは

    一方のofoの日本用の自転車のスマートロックは「022-100027」で技適は既に通っている模様(ofoが東京で展示していた自転車に記載されていた情報より)。ただ、データが総務省のWebでは即時には反映されないためだろう、検索できていない(10月31日現在)。

    よって、先に通っていることが確認できたFCCで探すことにする。FCC IDは「2AMBSTWX5G02-1」。mobikeと違い、型番から見て日本とアメリカは同じスマートロックとみられる。

    バッテリーはER34615。充電は出来ない。

    まず、バッテリーは3.6V 19Ah。提出されたマニュアルの控えを読むと1日10回の使用で1.5年持つ設計だと書いてある。バッテリーの写真がちらっと写っているのを見ると「ER34615」。ER34615は塩化チオニルリチウム電池といい、これは充電は出来ない。組み込み系のモジュールにはよく見られるもので、自己放電が少ないのは特徴だけれども、そうか、一回切りか。

    ER34615が使われている。

    ER34615が使われている。

    ただ、設計上1.5年と書いてあっても(実際の消費電力によるが)、もう少し長く使用できるとみる。

    Quectelのチップ – SORACOMも採用したメーカー

    チップを写真から読み取るとQuectel(上海移远)のUG96が載っている模様。QuectelといえばSORACOMが採用したり、グローバルの無線/GPSのチップメーカーとして急成長している中国メーカーである。

    QuectelのUG96 が載っている。

    QuectelのUG96 が載っている。

    FCCへの資料では「GSM 850/1900 GPRS,EGPRS, WCDMA Band II(1900MHz), Band V(850MHz), BT 4.0 BLE, GPS L1:1575.42MHz」と書いてあり、UG96のスペックシートにあるFrequencyの情報を見ても同様。いわゆるUMTS/HSPA。

    ofoは、現時点ではFCCに持っていってるのはこの一つの型番だけの模様。またofoの外資側の法人であるとみられる东峡大通(北京)管理咨询有限公司の名義で申請している(ofoの名前で検索しても出てこない)。このあとの展開が楽しみ。

日本人が乗ることのできる中国のシェアバイク

身分証が無いので実名認証を突破できない

日本人が中国に行って乗ることのできるシェアバイクサービスは意外と多くはありません。

この理由は実名認証に必要な「身分証」がないこと。パスポートで実名認証を認めているサービスは限られており、以下に整理しました。

どうであれ中国の携帯電話番号とAlipay/WeChat Paymentは欲しいところ

いずれも中国のアプリで乗る場合には、利用料の支払いだけでなくデポジットの支払いのためにAlipayやWeChat Paymentとの紐付けが必要です。下の表はいずれも中国のストアで配布されているアプリを前提にしています(mobikeやofoの場合には日本や香港のAppStoreやGooglePlayで配布されているアプリがあります)。例えば、もし日本の方が中国のAppStoreで落とそうとする場合、中国の住所でのApple IDの取得と、ストアの変更が必要です。

さらに、中国のアプリですので、中国の携帯電話番号がないとユーザ登録自体に進むことができません。出張や旅行で中国でのシェアバイクを楽しむためには空港などで中国国内用のSIMカードをぜひ買ってください。

日本の携帯電話番号では無理

日本の携帯電話番号では無理

mobikeの日本のアプリで乗るのがもっともハードルが低い

日本人が現地でシェアバイクを乗るために一番簡単な方法として、mobikeの日本のアプリを落として、デポジットとチャージを予めクレジットカードで払っておく方法があります。(なおWeChat Paymentから支払うとなぜか1元で済むところが16元引き落とされます。たぶんプログラムのミス。2017.10.18現在)

mobikeであれば、シェアバイクが展開されている「大きめの都市」であればほぼ見つけられますから、これがまずは第一段階でしょう。

日本人が乗れる中国のシェアバイク一覧

日本人=外国人がパスポートで乗れるという意味で整理しています(同じく2017.10.18現在)。

サービス名 サービスの種類 日本人でのライド可否
mobike 自転車
ofo 自転車
bluegogo 自転車
youon
(永安行)
自転車 ×
享騎電動車 電動車 ×
mango
(芒果电单车)
電動車 ×
mebike
(小蜜共享电单车)
電動車 ×
DEER BIKE
(小鹿单车)
電動車 ×
7号电单车 電動車 ×
99bicycle
(赳赳单车)
電動車
便利蜂 自転車 ×
FOREVER
(永久智能车)
電動アシスト ×

まだ大量にサービスがあるのですが、書く時間があるときに追加しておきます!

デポジットの返金が・・というのも

サービスによっては、デポジットを払ってからでないと実名認証が外国人でいけるかかどうかがわからないものもあります(なかなか怖い)。

先にデポジット・・か・・・

先にデポジット・・か・・・

9月には、北京の酷騎単車という会社で、デポジットの返金が滞りユーザがオフィスに行ってみたらもぬけの殻だった、という「事件」もありました。

シェアバイクに限らず中国のシェアリングサービスのほぼすべてでは、デポジットの返金は瞬時にはされません(早くて翌日。遅いと1週間)。もうこの後使わないなと思うサービスについてはアプリ上で返金申請をし、きちんと返金されているかどうか確認をしておきましょう。

淘宝でシェアバイクのパーツを探す

無いものは無い

中国のECはエンタメの一つである。というのが私の意見。空き時間はアプリで眺め、面白そうなものがあったらとりあえず買ってみる。

淘宝(タオバオ)を眺めていると、思いもよらない面白いものに引き続き出会うわけで、これだけ様々なECが出てきたとしてもやはり雰囲気を感じ取るためには淘宝が分かりやすい。

あけてびっくり玉手箱、みたいなこともあるがそれも楽しみの一つ。どこにでもあるものであれば日本のAmazonで買えばよいのだが、やはり淘宝で危なっかしいものを探すのも楽しいわけである。同じ「アリババ」だったとしてもAliexpressの中だけではこの面白さは届かない。

なお、中国国内配送に限っていたり、できたとしても慣れていないお店もあるのでその点は自己責任で。初めてならば何かしら転送サービスを使うのもよい。中国に拠点があるならばオフィスに届けてもらうことが一般的。

軽い気持ちで眺めるのがよい

シェアバイクに関するもので面白いものを捜してみる。

スマートロック(鍵)やら子供用のシートやら、あるいは「mobike用のクーポン」みたいなものは私の基準では大して面白くないので飛ばし、買う人いるんだなと驚くものだけを挙げてみることにする。

「パーツ」とタイトルに入れたものの、まずは自転車そのもの。まぁ、そういうことである。

しかし、これを仮に買ったとしてもだ。街にこの自転車が置いてあったら「ofo」であると思い乗ろうとする人が出てくるのではないだろうか。

ofoの工場が横に流していると見られる自転車。

ofoの工場が横に流していると見られる自転車。

個人的にはmobike(Liteではない。シャフト型のmobike)かofoの最新型を輸入して自分用で乗りたいと思っているぐらいだが、そこまでするか、という声が脳の片側から聞こえてくる。気になるのは、これを買った人がそこそこいるってことである(交易成功、の数でわかる)。

雨の用のシートカバー

これは便利だ。我が家にある自転車のうち一つは雨が降るとシートの中のスポンジ部分に雨がしみこみ、そのあと乗るとお尻が濡れてしまう。これは日本でも使える気がする。

スーパーの袋でよいではないかというあなた、「形」が重要なのである。雨上がりの中国でさっとカバンからこのビニールカバーを取り出してシートにつけて颯爽と走ってごらんなさい。

使い捨ての雨の日用シートカバー

使い捨ての雨の日用シートカバー

ただ、mobikeやofoなどの自転車で、こうした浸み込んでしまうタイプのシートが果たしてあっただろうか!? 拭けば良いかなとも。

ofoの鍵(初代)

どう見ても、どこから見ても、ofoの鍵。このタイプのダイヤル式の鍵はだいぶ比率が下がってしまったが、どうだろう、上の黄色い自転車につければより「ofo度」が上がるのは間違いなし。

ofo用と同じと見られるダイヤル式の鍵。だいぶ減ったので買うならば今!

ofo用と同じと見られるダイヤル式の鍵。だいぶ減ったので買うならば今!

ピン付ヘクサロビュラの工具

この手の工具は探せば買えるのでだからなんだ、だが、シェアバイク用に売り出しているところに商売っ気のある中国を感じる。よいよい。

工具は何でもそろう。

工具は何でもそろう。

色々な組み合わせがある。買うならば購入件数が多めのところを選ぼう。

色々な組み合わせがある。初めて買うならば購入件数が多めのところを選ぼう。

少し前に書いた「Mobikeのネジの変化に注目する」で書いた、ヘクサロビュラ(トルクス)、トライウイングのネジにはすべてこれで対応している。

いつでもサドルの高さを変えたいあなたには必携!(何が)

北京大学には教員や学生しか乗れないシェアバイクがある – ofoが展開

北京大学のキャンパスをルーツに持つofo

中国の二大シェアバイク企業のひとつであるofo。このofoは北京大学の学生たちによって立ち上がった(創業メンバーの5人はいずれも北京大学の大学院修了)。もとは、サイクリングツアービジネスに挑戦したものの失敗し、その後シェアバイク事業に移行する。大学構内に使われないまま放置・廃棄される自転車を見て、また、自転車自体の稼働時間が低いことに目をつけた。このofo、お膝元である北京大学に、今月(2017年9月)から「北京大学の学生・教員専用の自転車」を投入している。

そもそも北京大学は「広い」。広すぎる。ま、中国の総合大学は総じて広いので北京大学が特別なわけではない。

その北京大学。この広さでは自転車がないとさすがに移動は不便で、シェアバイクという存在が生まれる前から自転車が構内の移動手段。門の前には駐輪スペースが広くとってあるし、建物の前にも駐輪スペース。张巳丁や戴威ならずとも今まで北大の優秀な学生たちならば考え付いたことはあるだろうが、ofoのかたちになったことはスマートフォンと決済という武器がちょうど揃った時期であったことに理由の一つはあるはずだ。

東門の前の駐輪スペース。

東門の前の駐輪スペース。

キャンパス内のシェアバイク比率はofoが7-8割

さすがに北京大学。走っているシェアバイクの多くはofo。Mobikeも見られるが、市中での比率からすると少ない。ofoとMobike以外にはbluegogo、mebike(電動車)、便利蜂の自転車がチラチラといる。外からシェアバイクで入ることは出来るようだ。

キャンパス内では見かけなかったがキャンパス周辺では7号電単車、智享単車も。智享単車は、第三世代のLIVÉLOと呼ぶソーラーパネルを後輪の上に取り付けた「斬新」(?)なデザインのものが。第一世代と第二世代が何だったのかはもはや分からない。

7号電単車。手前と奥とで型式が違う。

7号電単車。手前と奥とで型式が違う。

智享単車のLIVÉLO

智享単車のLIVÉLO

便利蜂は少なくともフレームの色で2種類があるよう。タイヤが小さめで女性でも乗りやすく、しかもカゴが大きいのがいい。日本の電動アシストも小柄な人でも乗りやすいようにタイヤを小さくしてきたが、このあたりのデザインはまだ中国のシェアバイクでは今のところ少ない。

便利蜂。カゴが大きくていい。

便利蜂。カゴが大きくていい。

なお、7号電単車の手前の車体は、よく見ると上海の享騎電動車の初代と同じものだとわかる。カゴと泥除け部分が違い、それ以外はまったく同じもの。見比べていただくと良いだろう(「享騎電動車 – 上海の電動シェアバイク」)。

7号電単車のバッテリーメーター。上海の方はこのデザイン、見覚えがおありでは。

7号電単車のバッテリーメーター。上海の方はこのデザイン、見覚えがおありでは。

元祖シェアバイク

一度みたいと思っていても見る機会が無かったのが下の写真。お分かりいただけるだろうか。普通の自転車に、カバーとロック機能をつけた「シェアバイク」である。この写真は「智享出行」という海淀区で展開しているサービス。放置・廃棄された自転車の有効利用としては確かに分かるが、エアーも含め自転車のメンテナンスが必要で、かつ一台ずつ仕様が違い、管理は難しい。ちょうど1年ぐらい前から海淀区で始まったが、その後普及している様子は一切見えない。

見よ、この「付けました」感タップリのシェアバイクを! これこそ! ....

見よ、この「付けました」感タップリのシェアバイクを! これこそ! ….

ま、歴史を見れただけも良かった。(まだサービス提供中。念のため。)

さぁ、北京大学生しか乗れないofoだ

投入されているofoの3分の1から半分弱が専用ofo。車体は見たところ第3世代のofoと同じだが、前輪に「ofo 北京大学」と書かれ、前部フレームに同じくパネルがある。

北京大学の教員・学生だけが乗れる。

北京大学の教員・学生だけが乗れる。写真では写っていないが実際には相当配置されている。

なぜか歴史を感じる。

なぜか歴史を感じる。

ただ、玉砕。QRコードを読み取ったら「先生か学生以外は×」。正直、乗りたかった。専用だとは知っていたが、やはり乗ってみたかった。

中国人の身分証しか乗れないシェアバイクのほうが多い中、お願いして少しだけ乗せてもらい、乗り心地や工夫をひたすら見てきた私。しかし今回のハードルは、身分証が必要ということだけでなく、「北京大学の学生」という、ふぅ、別のハードル。

北京大学のことは北大という。

北京大学のことは北大という。

Mobike は、学生向けに10分刻みの0.1元(つまり1.7円)で短距離移動を取り込もうとしている。キャンパス内では30分移動などほぼ無いので、これもこれで面白いアイデア。学生証がもう一度欲しくなった(何か違う)。

学内のあちこちにこの看板が出ている。

学内のあちこちにこの看板が出ている。

中国のシェアバイクは特許の塊

特許大国になった中国

中国における知財領域においては、代表的には発明、実用新案、意匠について特許権がある。これは日本と大きくは変わらない。その中国は近年、特許出願数が急速に伸びている。特許というものが一気に身近になった。

そういえば数日前の日経新聞にも「中国の特許件数が伸びている」という記事が小さく載っていた。もう何年も前からの傾向ではあるが、中国はもはや特許大国の存在である。一方で、シェアバイクの世界においても様々な特許の出願が行われている。シェアバイクを取り囲む自転車の世界には、デザイン、システム、自転車、鍵、駐輪システムなどイノベーションが起きうる素材が山ほど存在する。なれば自然と特許も増えるだろう。

今回は様々な特許の角度の中から、まずは軽めにスタートしようと、スマートロックの意匠権というテーマで取り上げてみる。発明まわりの注目点も今後しばらく追いかけてみるのでお待ちいただきたい。

MobikeとOfoの状況

この2週間ほど、MobikeとOfoの特許公告を眺めている。暇なのではなく(ここ重要)、このあたりに中国の新しい何かが埋まっているのではないかと考えていて、ココホレワンワンと(言われている気になっている)。

Mobikeについては、自動車設計をヒントにした自転車という話題がたくさん出ているが(シャフトの話など)、実はMobikeだけでなくOfoも大量に出願している。公告されているものだけでそれぞれ発明、実用新案、意匠をあわせて50件程度はある。実際の時間軸としてはここまで約1年。まだ公表されていないものもあるだろうし、出願者がMobikeやOfo本体ではないケースも考えられるため、実際にはさらに多いと考えられる。

中には「これ、発明かな…んーむ」と悩むものもあるが、とにかく取っとけという中国の流れは間違いなくある。私自身は中国の特許については専門外だが、読み進めている限りでは実用新案のハードルは低そうで、見たことがありそうなものでもバシバシと出している。

きちんと分類整理するのは誰かにお願いするとして、ざっとした印象ではMobikeは初期はフレームや車体など「ブツ」を中心に、システムも含めて広く出願している様子。車体に関する発明は圧倒的にMobikeほうが多い。一方のOfoはシステム領域のほうが多く、いわゆる自転車自体に関する特許は少なめ。これはMobikeとOfoのそれぞれの状況を概ね現していると指摘できる。

Mobikeの実用新案公告より

意匠についてはMobikeは自転車が中心。一方、Ofoは自転車が一種類、鍵が3種類、それからQRコードと自転車の番号を表示させている車体番号の板を登録しているぐらい。

変わったものには、Ofoで「自転車のハンドルバーの取り付け補助具」の特許があった。どのように使うのかは説明を読んでもわからないが、おそらく日本語で読んでもわからない。

どうやら、スマートロック(鍵)や基礎的にシステムに関する発明・実用新案・意匠はあらかた出きったようであり、最近の公告を見てみると製造法やフレーム、応用的なシステムの話に移ってきている。

Ofoは鍵をどうしようしたかったのか

ところで、意匠権の公告を見ていると、色々と考えていたのだろうという「痕跡」が見つかる。

上に書いたようにOfoは少なくとも鍵については3種類の意匠登録をしている。先に説明しておくと、スマートロックについてはそもそもMobikeやOfoが自社でデザイン・開発をしているものだけでなく、鍵メーカーが開発したものを採用した実績も多くある。そのため、出回っているデザインの中にはMobikeやOfoが権利を直接持っているわけではないものも存在するわけである。中国のECサイトや関連する企業のWebサイトを見れば、この普及タイプの自転車用スマートロックのデザインにはもはや独自性も何もない。誰かが最初に考えたのだろうが、ベーシックなデザインはコピーが繰り返されすぎて誰がオリジナルなのかにはたどり着けない。

それでは、Ofoが何を登録していたかを時系列で並べるとまず最初はこれだ。一番上のモノクロのものを見ると(CN304011666S)、4桁の数字キーがないことに気づく。Ofoは初期にダイヤル式ロックで展開したことに引っ張られたか、4桁の数字キーでここまできている。NB-IoTでのテスト機を見ても変わっていない。一方でこの意匠の出願時期は昨年3月。数字キーを外すことも考えていたのかもしれない

Ofoが2016年3月に意匠権の出願をしていたスマートロック(鍵)のデザイン。Ofoの特徴である4桁数字キーがなかった。

Ofoが2016年3月に意匠権の出願をしていたスマートロック(鍵)のデザイン。Ofoの特徴である4桁数字キーがなかった。

余談だが、この時期はOfoは代理人を使っておらず自ら申請していた(この後はMobikeもOfoもそれぞれ複数の事務所を使っている)。まだ「スタートアップ」感があった時期だったなと。

見たことがあるデザインだぞ

次に出てくるのは2016年12月に意匠登録を出願していたタイプ。そう、これはこの後、投入されている。4桁の数字キー付き、まさにOfoである。

これは見たことがあるOfoのスマートロック。

そう思っていたのだが、よくよく見ると何かが違う。そうどこか違う。比較してみたところ、レバーの位置が違った。出願されたものはレバーは横についている。しかし投入されたものは表についている。

投入されているバージョン

投入されているバージョン

横より前のほうが良いと考えたわけだろう。ただ、そうならそうと、これも登録したほうが良くないだろうか? なおこのタイプは、レバーの黒い小さなハンドル部分がよく取れている。もう2台に1台はなくなっている。このあと投入された似たデザインのものはだいぶ頑丈になっているのでそれでヨシ。

バッテリー交換可能なタイプが出願されていた

上のスマートロックと同じ2016年12月21日に出願されたものに、別のデザインがあった。これは今のところ採用されている様子は見当たらない。遡ること1ヶ月前、すなわち2016年11月にこの鍵の実用新案も出ている。なんだデザインの違いかと思ったわけだが、実用新案の内容を読んでいくと、このタイプではバッテリー交換を可能にしていた。正確にはバッテリーへのアクセスを容易にしたことがポイントだが、申請書にはメンテナンスプロセス、メンテナンスコストが大幅に削減できるぜ! と書いてある。

バッテリー交換可能なタイプとして実用新案・意匠登録されているOfoのスマートロック

どこにバッテリーが入っているかといえば、4桁の数字キーがある左側ではなく、右側の耳のような部分。ここのカバーを取り外すとバッテリーにアクセスできるそうである。へーへー。

実用新案の資料より。

実用新案の資料より。

どのようなバッテリーを使っているのだろうかと探していたら、最後のほうにバッテリーパックのデザインもご丁寧に書いてある。それがこれ。ドン。

つまり3本の電池を入れましょうということである。

つまり3本の電池を入れましょうということである。

3本の電池用のバッテリーパックを入れ替えられるようにしているということであろう。日本でいう単三なのか単四なのかということは資料には見当たらなかったが、このサイズからすると単四、中国でいう7号だろうか。

斜めからの図

斜めからの図

斜めから見てもデザインは無骨すぎず悪くない。しかし、今のところこのデザインが採用された気配もなければ、6月に参考出品されていた新型の自転車でも見当たらない。日の目を見ることがあるのか、それともお蔵入りなのか。

中国のシェアバイクの「再配置」事情

利用ニーズにあわせた自転車の再配置

MobikeとOfoは、シェアバイクの自転車が溜まったエリアから必要と見込まれる場所へ移動させる「再配置」をしています。

例えば朝の通勤時間帯に駅からオフィス街に移動が集中すると、いったん昼間は稼動が減るのでまた別のエリアに持っていくわけです。そして夕方になるとまたオフィス街に集中的に移動させてきます。単に朝昼晩の時間帯だけでなく、量を見ながら細かく配置を工夫している様子が伺えます。

移動をしているのは

北京で見ていると、再配置をしている様子を見かける量は圧倒的にMobikeの比率が高く、その半分ぐらいの量でOfo。移動させる手段に用いられているのは写真のような電動三輪車が主です。

Mobikeの自転車を移動している。比較的綺麗に載せているほう。だいたい何台かの自転車がピーピー鳴ってる。

必ずしもユニフォームや電動三輪車のデザインは統一されておらず、電動三輪車にMobikeのシールをつけて走っている様子もいれば、Mobikeのビブスを着ているだけの人も。つまり、これらの作業を請け負っている人たちがいるわけです。最近、OfoのTシャツを着ている人を初めて見かけました。あのTシャツ、欲しいです。

Ofoの自転車を移動している様子

Ofoの自転車を移動している様子。はみ出しているのはどこも同じ。

Mobikeのビブスを着ているオジサマ

Mobikeのビブスを着ているオジサマ。これも欲しいなぁ。

Mobike

夕方のお仕事。これから移動させにいくようです。写真、ブレてる。

何度か大型のトラックで移動しているのを見ましたが、どうやら「投下」作業が中心で、再配置には細かく電動三輪車が活躍しているようです。

再配置の単位

一台あたりで再配置できる量はせいぜい10台。人によってきれいに積んでいる人もいれば、下のOfoの写真のようにとにかく詰め込んだぜという人も。さすがにステキな乗せ方で興奮したのであわてて写真を撮ろうにも手がブレました。

いつもよりたくさんのっておりまーす

そう、ワタクシ、この再配置をしているオジサマを見るのが好きで必ず写真を撮っています。そういえばこの仕事をしているのはオジサマしか見ていません。

 当社のオフィスの周りでよく見かける再配置オジサン。

当社のオフィスの周りでよく見かけるオジサマ。

他社はどうしているのか

一方、この2社以外のシェアバイクでの再配置の様子は見えません。bluegogoは一度だけ移動しているオジサマがいましたが、それ以来ありません。ほかの自転車は「ユーザお任せ」のようです。

ところで、Mobikeの方によれば移動・再配置は利用データに基づいているとのことですが、正直、本当にほしいときにはすべて移動させられているときがあり(特に、夜でタクシーが捕まりにくい時間帯)、「あれだけ昼間にダブついてんのに今ここに一台も無いの!持っていきすぎだよ!」と思うことも。そういうときに限って、「見つかった!やった!」と思ったら自転車が壊れているというガッカリに出会い、コノヤローと思うわけです。よってオジサマ、全部持っていかずに、もう少しだけ残しておいてください。

敷地の入口に「共享自行车禁止进入本小区」「共享单车禁止入园」と書いてあったり建物の正面に「禁止停放共享自行车」という看板が出てたりと、一気に「ここ入るなよ・置くなよ」という文字を目にすることが増えました。また、歩道がこの写真のようにほぼ自転車で埋め尽くされている場面もあります。

歩道の様子

歩道埋まっちゃってるよ!

中国中で「問題」として取り上げられることが増えてきていますが、これだけの量を投下した以上、人間の移動だけで自転車が最適化された配置になることは難しいでしょう。私個人は、こうした状況にイライラとするのではなく、きっとすぐに改善策を考えるだろうなとそちらを楽しみにしているところです。今後各社がどのように再配置を工夫するのかに注目しています! ガンバレ!

中国のシェアバイクを支えるConcoxとJimiとSIMComに注目してみる

3社の中国企業に注目

中国で普及し続けるシェアバイク。シェアバイクの仕組みを支える一つの要素は衛星測位システム(GNSS)+自転車施錠システム。スマートフォンで自転車についているQRコードを読み取ると、サーバと自転車が通信して解錠し、さらに利用終了時には自転車を施錠すれば同じく通信によって課金が停止する。あの「鍵」の中には通信機能が搭載されており、GNSSによる位置情報の把握と、サーバとの通信が行われている。

日本では中国のシェアバイクに関する技術的要素について説明される機会が少ないため、まずは簡単に通信まわりについてご紹介する。ここで知っていただくべきブランドは3つ。Concox、Jimi、SIMCom。いずれも中国企業だ。

SIMCom

先ごろスイスのu-bloxが買収したが、もとは中国のチップメーカー「SIMCom」。無線モジュールを作る中国発のトップベンダーの一つ。u-bloxは以前から日本に拠点がある。

シェアバイクに限れば、トップ2社のうち、Mobikeは初期からGNSS+GSM/GPRSでの通信解錠システムを持つ一方、Ofoは当初は通信せずに4桁ダイヤル錠だった。その後、4桁ボタン式に変える際、Mobikeと同様に通信機能を入れている。Ofoに限って言えば、当初投下した4桁ダイヤル錠モデルがそのまま出回っているからか、鍵番号を表示させる方法に今までは寄せてきた。しかしこのあと触れるConcox&Jimiの製品を見ると、4桁ボタンが無いものも検討していたよう。ただ実際にはこのモデルは見たことがない。

先週の展示会では、SIMComはMobikeとOfoの両方の「鍵」を展示。Mobike用にはSIM800L、Ofo用にはSIM868を提供したとのこと。このSIM800LとSIM868の目立った違いは、SIM868にはGNSSが統合されていること。とすると、Mobike用には位置情報は別チップなのかと思い、開けてみたい衝動にかられるところ。AliExpressで調べてみるとSIM800Lは4ドル以下、SIM868は6ドル以下ぐらいで出回っている。実際にはさらに安いと推測できる。もっとも、上のとおりSIM800L単体では位置情報が実装できないようにみえるので、SIM800Lが採用されたシステムの中身を詳しく調べてみたい。

展示されていたMobikeとOfo用のリモートロック

展示されていたMobikeとOfo用のリモートロック。SIMComは通信モジュールを提供している。

なおSIMComの担当者によればNB-IoTでは既に日本向けの型番を用意しているという。

Concox と Jimi

Concox Jimi

次に紹介するConcox(深圳市康凯斯信息技术有限公司)とJimi(深圳市几米电子有限公司)はいずれも深圳に本社のある「兄弟会社」。実際にはそれぞれのWebサイトで同じプロダクトラインナップが並んでいるし、カタログはConcox&Jimiとしてダブルブランド。2015年から今の関係のようだ。そしてConcox&Jimiの製品でシェアバイクに採用されているものが「BL10」。Ofoが採用したとのニュースがあったが20万個と書いてあり、供給はごく一部に限られているようである。

Concox&Jimiの「BL10」

Concox&Jimiの「BL10」

このConcoxとJimi。2社のストラクチャは複雑すぎて登記を見ただけではよくわからないが、流れから見るとConcoxの方が規模は大きい。一方、高行新氏という人物が両社に関与されているようで、Jimiの創業者のようだ。そして今、キーマンはこの人のように見える。写真を見る限り若そうでもある。そしてさらに調べていくとJimi Cloudというプラットフォームビジネスも展開しようとしている。

なお、このBL10。どうもSIM800LやSIM868が採用されているシステムとは違う。スペックを調べるとNewMobi(新移科技。これも深圳の会社)のMTK2503が載っており、このMTK2503はARM7EJが搭載されている。正確にはMTK2503というチップ名の商品がNewMobiのWebサイトには見当たらないが、MT2503の開発用ドキュメントを読むと概ね一致しているのでこの派生だろうと推測できる。ここまで調べてきてわかるのは、「鍵」についてもいろいろな製品が市場に出現してきているということ。

しかし、やはり我慢できない。これはBL10を買って中身をみるしかないと思いAliExpressを調べたら499ドルと出てきた。1個売りにしても高すぎる。好きとはいえ500ドルほどの話しではない。。。残念。

後日、手元にある永安行、U-bicycle、bluegogo、七彩単車、GONBIKE、天天騎、99の写真を並べて、どこか同じ機器を採用していそうなところがないか調べてみることにする。

Ofoもよく見ると4桁ダイヤルの次に出てきた電子錠でも異なるタイプのものがある(赤丸部分)。

ソーラーパネルで発電している

ではこうした機器の電力をどのように確保しているかといえば、当然バッテリーから供給しているわけだが、BL10はソーラーパネルからの供給を受けることをインテグレートしている。

Concox&JimiのBL10の説明資料。ソーラーパネルのインテグレートができる。

Concox&JimiのBL10の説明資料。ソーラーパネルのインテグレートができる。

実際、新しい世代のMobikeのカゴを見てほしい。カゴは荷物を置くためにあるだけではない。ここにパネルがある(実はこれが出てきた当初はしばらく気づかなかった。)。よく見るとカゴの下から電源ケーブルが出ているのがわかる。ある意味でOfoの初期は自転車側に電力を必要としないことで良かったのだが、結局、4桁ダイヤルと個人のスマホによる位置情報の限界に当たってしまった。

Mobikeのカゴにつけられているソーラーパネル

Mobikeのカゴにつけられているソーラーパネル

今のGSM+GPRSでの通信でも必要最低限のことは出来ているが、この次にはNB-IoTが出てくる。速度が変わるわけではない。ただしNB-IoTになればバッテリーの問題がかなり解決する。まだまだ中国のシェアバイクとIoTまわりは面白い。

広州で自転車に乗る

広州でもMobikeにもOfoにも乗ってみる

広州に来ています。夕方、中心部へ食事のために移動した時に色々な道を少しだけ走ってきました。ところが広州は北京と上海と比べてシェアバイク率が低い気がします。十分に自転車は(そこらじゅうに)あります。MobikeとOfo、そしてbluegogoが少々。さらに僅かにいくつか。これは標準的な比率構成です。しかし、自転車に乗っている人が少ないのです。いないわけではなく「徒歩:自転車」の比率で自転車比率が低く、ものすごくざっくりいうと1パーセントを切っているように見えます。これが北京や上海だと定点観測すれば3~5パーセントぐらいにはなるのではないでしょうか。

ラウンドアバウトと地下道が自転車を分断している?

最初は単なる違和感でしたが、地下鉄の駅を一駅分、歩いて様子をみてみました。そこで気づいたことが、ラウンドアバウトと地下道の存在です。そして、例えば上海の浦東エリアのように「片側4車線でラウンドアバウトもあるが横断歩道もある」ではなく、歩行者が渡る手段は地下道しかなく(南北と東西のどちらかにだけ横断歩道があることも)、かつ太い通りには中央分離帯ががっちり。よって自転車が道を横切ったり大きな交差点を渡るこどか容易ではないのです。東西南北いくつか見て回りましたが同様でした。

百度地図で目的地に向けて走ろうとしたら逆方向を向き、ぐるっと回れというので、こいつなんで南に行くのに東を向くというのだよと思ったら、つまりそういうことだったわけです。

地下道に自転車を持ち込むこともできますがスムースな移動とは言えません。実際、少し様子をみていたらちょうど自転車から降りて地下道に向かう人がいました。アップダウンがきついわけでもなく、歩道と車道の幅の支障もありません。私が持った違和感が恒常的な状況だとすれば、こうしたことが要因の一つかもしれません。

広州の様子です

地下道に入るために自転車を降りる人。このあと立て続けに5人が同じように。

今日は細かく調べずに書いていますので、改めてデータや規則などを調べておきます。なお、広州は大変広く、私が見た場所はごく一部。少し離れれば様子は違うことでしょう。よって、ある部分を切り取ってみた一視点に過ぎないということをおことわりしておきます。

ソニーは韓国?

ところで、ホテルに荷物をおいて仕事に向かい歩いていたら、たまたま同じ方向に行きたいが道が渡れない(新港東路という道路を前に私も途方にくれていた)というエチオピア人だという男性に話しかけられました。

こちらも10分ぐらい歩く道のり一人じゃつまらないからと、なんで広州きてるんだという話や(ものすごい見た目からの偏見に聞こえるかもしれないけど、アフリカの人のようである時点で広州には商売で来ている人が特に多い)、エチオピアというのは何が特徴があるのかと聞いていたら、話の流れが日本に。そして一言。

「日本の会社もいろいろといっているよ。ソニー。あれ、ソニーは韓国か。 キヤノンとトヨタは日本だよね!と」。おぅ…。ソニーは日本だよ!、Samsungが韓国だよ!と訂正しましたが、遠く離れた場所から見れば日本も韓国も東の外れの小さな国。我々が遠く西の国を見ているのと変わりません。が、軽くショックでした。

今日の仕事の話はまた今度。広州に来て面白かったのは、中国ではどこでも街で色々なものを売っている人を見かけますが、ここではドローンを飛ばしながら売る人をたくさん見かけました。さすが! そして先ほどテレビで天気予報を見ていたら、また台風が香港・広東に向かってるようですよ…。