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活字には、そこに誰かが伝えたかったことがある。

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先日、ラジオの収録で、学生さんから尋ねられました。経営者の資質はという質問でした。内心、その質問にこたえられるほど深い言葉は持ち合わせていない、と怯みかけましたが、期待される答えではなくとも自分の意見をそのまま伝えようと二つのことをお話ししました。

一つは、インプット×思考回数だと。それがアウトプットの質に繋がる、経営者は常に新しいことにアンテナをはり、そして考える、考え続けるんだという話。例になったかどうかわかりませんが、子どもたちと歩いている時、目の前のお店はいくらの売上があれば利益が出るだろうと質問するんだという話もしました。

すなわち、こんな感じです。

角に立っている店ならば間口と奥行きがだいたいわかる。掛け算をすれば面積が出る。だいたいの賃料の坪単価もわかる。一方で、売っているもの、お客さんの入り、原価率、従業員の人数などで利益がどれぐらい残るのかざっくりはわかる、と。

正解なんぞ分かりません。ただ、考えるというクセや、想像するために必要な情報を色々な角度から持つと、なんとなく近しそうな答えが出てくるものです。そのお店の人からしたら勝手に収益を想像されるとは迷惑な話でしょうが、聞かれてもいないし、歩きながらのただの空想話です。息子は最近、不動産屋さんの表にある物件情報の家賃を楽しそうに見るようになりました。

もう一つお話ししたことは、このタイトルの言葉です。活字。決して読書家だとはいいませんが、活字があるとなんでも読みたくなります。本や新聞、雑誌だけでなく、家のポストに入るDM、飛行機の中なら機内誌(紙がなくなったエアラインが出てきたのには残念です)、国際線なら機内販売カタログ(買うことはなかなかありませんが)、まあ、何でも読みます。もともと思想の幅も問わず、左右どちらもとりあえず読みます。

理由はまさに、活字になっているということは、その書き手が文字にしてまでも伝えたかったことだから、その意見をまずは聞いてみようということです。その際、可能な範囲で幅広く読んでみることで、意見の多様さを知ります。

実はそこで筆者の「理解力」も見えます。文章がひどく読みにくかったり、途中で主張が変化したりすると、およそ深く調べたり考えたりもせず、なんなら文字数を書かねばとか締切に追われたとかそんな事情がありそうなんだなとも思い、それらを感じるのもまた一つの面白さです。先には進みませんが。

まあ、とにかく読んでみること、そして自分なりの意見を考えること、そしてアウトプットしてみることです。

最近の私のおすすめは、市役所や県庁、あとは空港などにいくと必ずある、その地域の歴史、観光、文化などのリーフレット類です。予算をしっかりとかけておられるところも少なくありません。ありがたいことに無料です。単なる文字の羅列ではなく、伝えたい、知ってほしいと思う人がいるからこそ活字になっていると思えば、新しい刺激になります。

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こうして突然書きたくなったのは、Wi-Fiがないフライトで、機内誌も読み切り、ゴールデンウィーク最終日で空港が混雑していてフライトタイムが長くなり、さて何をしようかと思っただけです。決してまた頻繁に書くようになるかといえば、今までの間隔の長さとその適当さを見ていただくと想像していただけるでしょう。では。

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