台湾総統選をふまえた今後の両岸関係

本日朝のNHKの「おはよう日本」の中で放送された、明日の台湾総統選に関する日系企業の対応、という取材内容に協力をさせていただきました。

今回の総統選は、支持率の動向から投票行動が概ね予測されているのが現状であるものの、新たな政権発足後、台湾がというよりも中国がどのようなインターネット政策を台湾との間でもつのかについては予測し難い点もあり、台湾のオフィスを取材いただいて現地にて今後の方向性についてお話しを聞いていただきました。

国民党政権下において2本の海底ケーブルが大陸-台湾間(うち一本は厦門と金門ですので目と鼻の先の距離ですが)が直接つながるようになり、また過去記事に書いたように台湾と中国との間のインターネット接続帯域が大幅に増加しているという現状の中、どのような変化があるのかを注目しています。

実務的かつ技術的な観点からいえば、三不通だった時代の通信の状況に戻ることは考えにくいですし、インターネット接続の帯域(ISP間のピアとトランジット)が減ることも現状を踏まえれば考えにくいとみています。ただ、たとえば一部のニュースサイトに対する遮断については今のリストより広がる可能性はあり得るかもしれません。私たちは台湾が中国との接続性がよくコストが安い拠点であるという意味でハブとしての活用を進めてきており、この流れは大きな意味では変わらないと思いますが、少し様子を見る必要があります。

台湾-中国大陸間のインターネット接続帯域

台湾-中国大陸間のインターネット接続帯域の推移

台湾-中国間の帯域

先日の香港-中国間の数値に続き、同様に台湾-中国間のインターネット接続の帯域についても整理します。中国側は香港向けと同様に国際向けの帯域の総容量のみですが、台湾側はTWNICによって各国向けの帯域総容量、ISPごとの接続帯域の数値をそれぞれ公表しています。また四半期単位での報告が行われています。
(注: グラフ作成時点で確認したところ必ずしもISPごとの接続帯域の合計が総容量と一致しておらず、本頁に記載している総容量の値は、ISPごとの接続帯域の合計値を採用しています。)

中国向けの帯域についてはTWNICが数値を公表している2001年10月以降、四半期単位で公表されています。ちなみに2001年10月時点では台湾全体の国際向け接続が約5.1Gbpsのうち、中国向けは330Mbpsでした。

直近の状況

2010年以降の推移をみると、台湾-中国大陸間の接続帯域の総量はおよそ5倍になっていることがわかります。またこれは表などにはしていませんが、2015年10月時点の報告によると国際向けの合計1600Gbpsのうち中国向けは176Gbpsと、1割強が中国向けです。なお台湾から上位3位までの接続先地域はアメリカ向けが約875Gbps、日本向けが270Gbps、香港向けが220Gbpsとなっています。

(すみません、2001年以降のデータを全部整理している時間はなかったので2010年以降のデータで切ってしまいました。名古屋弁ではこうした手抜きというか無精のことを「おうちゃくい」といいます。)

ISP別の状況

台湾-中国大陸間のISP別接続帯域
HiNetが全体の6割、これにTWgateをあわせると中華電信だけで中国向けの4分の3を占めています。ISP別のグラフを見ていただけるとお分かり頂けるとおり、ほぼHiNetのネットワークの増速ペースが台湾-中国間の増速ペースに一致していることがわかります。HiNet(AS3462)は台湾内でのISPサービスを主としたネットワーク、TWgate(AS9505)はその名の通り(Taiwan Gateway)で国際向けのネットワークです。もちろんこれらはあくまで接続帯域の総容量でしかなく、実際にBGPまわりの運用がどのように行われているかについては技術的な話になりすぎるので今日のポストでは含んでいません。

今日はここまで!

実は台湾・香港からの訪日客は中国からとほぼ同じ

中華圏からの訪日外客数推移

国慶節休みで静かな10日間

中国は国慶節のお休みに入ってしまいました。当社は7日までお休み、8-10日までは営業日(10日は土曜日ですが出勤日です)、11日は日曜日なのでお休み、となり12日まではほぼ動きません。都合約2週間は日中間のビジネスの多くが止まります。

さてさて、8月は過去最高の591,500人でしたが、この10月の国慶節期間にどれぐらいの人が日本を訪れるのでしょう。データの公表が楽しみで楽しみでたまりません。ちなみに、中国から日本に来る観光客はすべてが飛行機だと思ったら大間違いです。8月は訪日クルーズだけで約133,000人、船でいくと53隻も寄港しているのです。私のblogにたどり着く方の検索キーワードに「HENNA」が増えていますがこれは中国からのクルーズ船の一つ(「これが中国のクルーズ船「HENNA」」)。

「中国からの訪日客」と、「台湾・香港を足した訪日客」はほぼ同数

ところで、「最近中国からのお客様が増えたんですよね」という話はこの一年ぐらいの流通・外食・物販関係では定番の会話ですが、本当にその方は中国人でしょうか。データでみると「中国からの訪日客」と、「台湾・香港を足した訪日客」はほぼ同数であると言えます。(8月は台湾・香港が減っているのでやや差が開きましたが)

中国からも当然増えているのですが、台湾・香港からのペースも確実に上がってきているのです。実は8月までの累計でみると中国からは334万人ですが、台湾と香港を足すと346万人。台湾・香港からの訪日客の方が累計でみるとやや多い状況です。確かに中国からの観光客の方が「買い物パワー」が目立つのかもしれませんが、この背景の一つは訪日回数が1回目という人が半分近くいるということと、買い物を主目的の一つにしているということが挙げられるわけです。

繁体字対応も重要

以前は日本で中国語というと繁体字対応の方が多かったわけですが、直近の対応ケースでみるとWebを使ったインバウンド案件の多くは簡体字のみにしてしまっているケースもちらほらと見聞きします。ただ、インバウンド関係のお話しがあると必ずこのデータをお示しして「簡体字対応も重要だが繁体字対応も必要」と申し上げるようにしています。両方やりましょう!

※文中の数値の出典はいずれも日本政府観光局(JNTO)です。