中国のサイバーセキュリティ法に関するセミナーを開催

先般、クララオンラインと富士通クラウドテクノロジーズ(ニフティクラウド)及び中国電信日本の共催で、中国のサイバーセキュリティ法に関する実務面のセミナーを開催しました。

6月1日のサイバーセキュリティ法の施行に向け、特に中国国内で提供を受けた個人情報の国外への持ち出し(越境移転)などについては重要なテーマが多い一方、日本国内では具体的なセミナー等が多くは開催されておらず、特に中国国内で事業展開をしている日本企業にとってはシステム面の対応をどのようにすべきか課題が多く残されています。

今回のセミナーでは、私からまず中国のサイバーセキュリティ法の公布までの約2年間の中国国内での議論や法制化に向けた背景などをご説明した後、現在パブコメ等が出始めている「ネットワーク機器やネットワークサービス等のセキュリティ審査」「越境移転に関するルール」等がどのように着地するのかという方向性についてお話しをしました。また、これらを踏まえて日本企業は現時点でどのようなアセスメントを行うべきか、対応策の候補にはどのようなものがあるかといった実務面でのご説明をしました。

(セミナー資料から一部抜粋)

(セミナー資料から一部抜粋)

一方、中国電信(China Telecom)の日本法人である中国電信日本の杜社長からは、中国電信自体のグローバルネットワークのご紹介をいただいたあと、クララオンラインとの業務提携を進めてきた中でどのようにネットワークサービス面で中国と日本との接続性を改善してきたかなどについてお話しをいただきました。

ここまで踏み込んだセミナーは日本ではまだ多くはみられず深度のある内容だったと自負しており、実際会場からの質疑も活発にいただくことができました。

6月の施行に向けて、複数回このようなセミナーを開催していく予定ですし、また恐らくは6月1日までには全ての弁法・実務手続きが明らかになることは間に合わないだろうと予測していることから、サイバーセキュリティ法に関連する実務は継続的にフォローアップをしていきたいと考えています。

中国の電信業務分類目録が改正間近か

2013年にパブリックコメントが募集されていた中国の電信業務分類目録の改正が、いよいよ間近に迫っていそうです。この改正により、従来は具体的に定義されていなかったクラウドサービス分野が分類され、クラウドサービスを提供する際に必要な経営許可範囲が明確化されるとみられます。

電信業務分類目録とは

中国においては、電信条例が日本の電気通信事業法に相当し、電気通信事業について定めています。さらに、日本の電気通信事業法施行規則第4条第3項第2号に規定される「電気通信役務」の一覧に相当するものとして、電信業務分類目録が存在し、ここでは中国がどのようなサービスを電気通信事業として定義しているかを具体的に確認することができます。外資の視点からすれば、「どのようなサービスを提供する場合には電信業務経営許可を持たねばならないのか」「この場合、電信業務経営許可のうち、いずれの経営許可範囲に含まれるものなのか」という点を確認することができるといえます。

電信業務分類目録の改正について

この電信業務分類目録は2003年に公布されたものが本日時点では有効ですが、2013年5月には以下のURLに記載されているとおり工業情報化部からパブリックコメントが募集されており、その改正内容の方向性が公表されていました。一般的に中国におけるパブリックコメントとは、電信業務に関わらず改正前の比較的近い時点で公表され、これがそのまま公布されることが多くみられます。しかしこの分類目録については2年間にわたって「放置」されている状況でした。

2年の期間を既に経ている背景には、私が知りうる限りこれらが電気通信事業における規制強化の可能性と写った外国政府からの意見もあったほか、上海をはじめとした自由貿易試験区において一部業務の外資への開放を進める政策とのバランスもあったと考えられます。

「クラウドサービス」の明確化

パブリックコメントの内容(以下「2013年版」)について詳細な分析は本稿では避けますが、2003年当時には存在していなかったインターネットサービスについて細かく分類をする姿勢がみられると同時に、最も着目すべき点はクラウドサービスについて一分類を設けている点が挙げられます。従前はインターネットデータセンタ事業(互联网数据中心业务)、インターネット接続サービス事業(互联网接入服务业务)、通信サービス業務(信息服务业务)の3点の経営許可範囲を持っていることがIaaS型クラウドサービスを提供する上での要件とされる行政判断が多くみられましたが(これでも時期により通信管理局の判断には相当なばらつきがあることを私自身も確認しています)、この分類を整理してきています。

具体的には、2013年版では新たに「互联网资源协作服务业务」(インターネットリソース協同サービス業務, もう少し意訳するとインターネットリソース共有サービス業務でしょうか。)という項目が作られており、ここではクラウドサービスを指すと考えられる以下の文言が追加されています。

B12 互联网资源协作服务业务
互联网资源协作业务是指利用架设在数据中心之上的设备和资源,通过互联网或其他网络以随时获取、按需使用、随时扩展、协作共享等方式,为用户提供的包括但不限于数据存储、互联网应用开发环境、互联网应用部署和运行管理等服务。

2013年版が公布され、その際にパブリックコメントに含まれるこれらの追加が行われた場合、今後新たにクラウドサービスを提供する事業者は増値電信業務経営許可の経営範囲の中に「互联网资源协作服务业务」を含むことが求められる可能性があります。しかし、以下の点に注意が必要だと考えています。

  • このクラウドサービスの概念がいわゆるIaaSなのか、SaaS、PaaSを含むものなのかについてはこの電信業務分類目録からだけでは明確ではない点。
  • サーバホスティングサービス、特にVPSサービスのようにサーバを仮想化して提供している分野をクラウドサービスの範囲に含めるのかどうかについては現時点では何ら明確な解釈は無い点。
  • 既にクラウドサービスを提供しており、かつ増値電信業務経営許可を有している事業者に対して、新たにこれらの経営範囲を追加することが求められるのか否かは不明確である点。(電信業務経営許可の経緯を含めた多くの経営許可においては、過去に許可されている事業者については言及されず、そのままとなるケースが多く見られます。)

まとめ

現時点では「電子業務分類目録が改正される」との点は私個人の憶測の一つでしかありません。しかし、少なくともこれらの領域について工業情報化部が比較的重視しながら政策を推し進めていることについては、パブリックコメントが出る前に公表されていた以下のような通達等から見てとれます。

またこれ以外にも、自由貿易試験区での一部業務の外資開放などもある一方、法令と実務が乖離している点を調整しようとする流れは規制強化と受け止められる点もあり、引き続き注視する必要があります。

中国でのクラウドがニフティさんとの共同事業になった背景

先々週の話で恐縮ですが、中国のクラウドサービス「鴻図雲」(ホンツーユン)をニフティさんとの共同事業とする旨を発表しました。その内容はプレスリリースをぜひご覧いただくとして、blogでは少しその背景を書き残しておくことにします。

 

2012年にはじまった両社の交流

最初にニフティさんとの接点があったのは2011年。これより前のクララオンラインの戦略は、特に決めていたわけではないものの、お客様に提供するIaaSは自社サービスのみというある種のこだわりがありました。サーバホスティングをずっとやってきた中で、その他の可能性を検討することは自然と少なかったように思います。

あるきっかけでお声がけいただいたあと様々な協業検討を両社で行いましたが、早い時点で「中国展開」という点に絞り込まれていました。実情を見ていただくべく中国にも来ていただきましたが、おりしもその前後に中国全土でのデモも。一部にある反日感情を露にした中国を見て頂くことになりましたが、日本での報道とを見比べて頂くことになり、結果としては良かったのではないかと考えています。その後、2013年にはニフティクラウドの基盤について技術提供を受け、当社のクラウドサービスとして「鴻図雲」(ホンツーユン)を中国でリリースし、日系・中国系のお客様にご利用いただきはじめることになりました。

 

両社が持つ日中のシナジー

ニフティさんは、ニフティクラウドの日本における十分な実績については言うまでもなく、また国内勢のパブリッククラウド市場で高いシェアをお持ちです。一方のクララオンラインは、中国を含むアジアでの事業経験、中国での電信サービスに関わる経営許可、中国のバックボーンネットワークに関わる経験などを持っており、拡がる中国のクラウド市場に向けて両社の協力関係は実現性が高いと私も判断しました。

もう一つ、当社はパブリッククラウド市場にはそもそも参入していなかったという背景も一つあります。少しだけ振り返ると、クララは共用サーバ→専用サーバ→VPSという順にサーバホスティング事業を展開してきましたが、早々にパブリッククラウドの市場には出ないという判断をし、クラウドという範囲でいけばプライベートクラウドと当時呼ばれていた領域に特化していました。仮にパブリッククラウド市場に当社もうってでていたら、冒頭に書いた両社の協業検討はそもそもおきえなかったかもしれません。また、今でこそ当社は様々なクラウドサービスの運用を行うことを事業の一つの軸に置いていますが、一つの事業(この場合、サービスより広い範囲)をビジネスパートナーと連携して進めるということはまだまだ我々に経験値が足りていませんでした。逆にニフティさんには様々なパートナーと組むという力と経験が既におありであり、我々もそこから多くのことを学ばせて頂きました。

 

加速する中国のクラウド市場

検討を始めた時点では中国のパブリッククラウド市場はまだヨチヨチ歩きでした。しかし、急速に立ち上がり、筋肉をつけ、ある面では既に日本は抜き去られた感があります。アリババのグループである「阿里雲(Aliyun)」は一気に市場最強のプレイヤーに成長しました。中国の電信市場は外資による直接提供は認められていないため、スキーム作りも複雑です。2012年から現在までの間には、外資ではMicrosoft AzureやAmazon Web Services(AWS)も中国での展開を発表しました。Microsoftは従前から中央や地方政府との関係も良好であるといわれていますが、Azureに関するスキームも中国政府に刺激を与えない方法をとっているように見えます。

いずれにしても、中国という巨大インターネット市場が急速に拡大する中、爆発的にクラウドサービスの市場が大きくなることは、この10年中国のインターネット事業に関わっている身として強く感じていました。そのため、何が何でも早くサービスをはじめ、そして早く広める必要性があると強く思い続けてきたわけです。ただ、まだ中国のパブリッククラウド市場は欧米・日本ほどの仕上がり感は見せていません。あまりにもAliyunだけの出来上がりが大きいせいもあるでしょう。依然としてインターネットデータセンタ(IDC)のニーズは強いものの、この裏側は物理的なサーバのコロケーションニーズに引っ張られています。これはいずれ、かなりの割合がパブリッククラウドに移行すると見ています。

 

中国という「大きなケーキ」

ただ、中国という「ケーキ」は、あまりにも大きいのです。市場のシェアとはそのケーキをどのように各社が分けたかですが、日本では数パーセントのシェアでは勝てたとはいえないものの、中国はそもそもケーキのサイズが大きいので、小さく見えるシェアでも十分な利益があがります。むしろ一人勝ちもできないようになっています。私たちは冷静に、このケーキのまず一つのカットを取りにきたのです。

もう一つ別のたとえをしてみましょう。なんといっても中国の大地は広いですから、土に水を撒こうとすれば水はたくさん必要です。またとても一人で水を撒ききることはできません。いつも中国で日本企業を見ていて感じていますが、水を中国全土で少しだけ撒くような中途半端なことをするぐらいならば、どこか1都市、2都市ぐらいに絞って集中的に撒くべきです。今回ニフティさんに鴻図雲(ホンツーユン)を共同事業としていただくことにより、一緒にこれから北京や大連など北側から水を撒き、先に私たちが植えておいた種を育て、そして花をさかせるつもりです。花が咲くまでに必要な太陽の光となる市場ニーズは十分にここにあります。

北京にて。

中国電信が内モンゴルに10万ラック規模のデータセンタパーク

データセンタは4階建て。それぞれの建物に発電機、UPS等の設備がある。

内モンゴルに建設が進む中国電信のデータセンタ。データセンタは4階建て。それぞれの建物に発電機、UPS等の設備がある。

中国電信が上海の南汇に続いて大規模なデータセンタ投資をしているのが内モンゴル。フフホト近郊に作られたデータセンタパーク(正確には「雲計算内蒙古信息園」。直訳するとクラウドコンピューティング内モンゴル通信パーク)には、42棟の建物で約10万ラックの規模のデータセンタを建設する計画を立て、既に4棟が稼働し、2棟が建設中という状況です。

なぜフフホトなのか、と聞くと、フフホトは年間200日以上が10度以下の冷涼な気候であること、発電所が周辺に多くあること、北京や東北の主要都市にも近いことなどのメリットがあるそうです。

金曜日の午前中は、このデータセンタ群を見学してきました。中国電信の内蒙古の方にお出迎えを頂き、フフホト市内中心部から車で走ること約一時間。ただひたすら一直線の道を走り続け、突如として現れたのがこのデータセンタの敷地。

フフホト市内からデータセンタへ向かう道のり。ひたすら、とにかく、真っ直ぐ。

フフホト市内からデータセンタへ向かう道のり。ひたすら、とにかく、真っ直ぐ。

中国电信云计算内蒙古信息园(中国電信雲計算内蒙古信息園)

中国电信云计算内蒙古信息园(中国電信雲計算内蒙古信息園)

まず最初に案内されたのが、データセンタの全容を示す模型の前。2012年から建設が始まり、現時点では4棟が既に稼働済み。100万平方メートルの土地に42棟で合計10万ラックですから、単純に割っても1棟2500ラック強。そして既にさらに2棟の建設が最終段階であることが実際に見えました。模型の写真の左上あたりにある建物が現在できているもので、全体が出来上がるとどれぐらいの規模になるんだろうかと、若干クラクラしました。

DSC01130

こういう建設計画によくある「計画はデカい。でも使う人がいなくて実態は空洞。」という話はちょっと違いそうで、既に百度や搜狗(Sogou)などが一棟借りしているほか、アリババも一棟借りの予定があるとか。一棟借りって、スケールが…。建設に要する総投資額が公式発表では173億人民元、約3000億円。ちなみに北京で同規模のデータセンタを1棟作ると4~5億元ぐらいなので、一棟あたりの規模感もあまりずれていません。

既に稼働済みの4棟の向こうに、建設中の2棟が見える。

既に稼働済みの4棟の向こうに、建設中の2棟が見える。

建物内部の写真は許可されませんでしたが、ホットアイル・コールドアイルを分けて天井には蓋をしている最近のデータセンタのベーシックなスタイル。見せてもらうことができたエリアは、中国電信自体が提供するクラウドサービスの準備中のスペース。現在は南汇のデータセンタで稼働していますが、今後こちらでも提供する予定があるとのこと。その他の詳しい内容はBlogには書くことは残念ながらできませんが、概略だけ書くと

  • コアルータの設備はCisco製のとっても高いやつ。お金あるなー。
  • 上位のネットワークはChinaNetとCN2。他キャリアのインターネットサービスはもちろん引き込めません。けれどもCN2に抜けられれば中国聯通には国内で接続しているので、決して悪くはありません。
  • 電源系設備、発電機等はほぼ全て外国メーカー製。

という感じです。

クララオンラインとしてどうするかは何も決まっていませんが、当社と中国電信との結びつきは相互に強化していっていることを前提にすると、北京・上海でのデータセンタコストとは違い安価に設定されていますから、データストレージや演算系などレイテンシが要求されないケースでは、地方の選択肢も入るのかもしれません。それによ何より、この規模感。中国電信が現時点で持っているデータセンタのラック数(約10万)とほぼ同数のものを一気に作ろうということですから、「本当にそれが全部売れるのかいな」という気にもさすがになります。が、北京や上海のデータセンタ事情を見ていると、1ラック6~7kVA以上が提供できるラックの需要は極めて高い一方、北京・上海などの都市部は電力事情が相当ひっ迫しており、もうこれ以上都市部に大規模なデータセンタをつくるということはかなり難しい状況でもあります。また機会があれば訪れて、進捗を見てみたいですね。

香港DCでのサービスを開始しました

アジア8都市めのサービスロケーション

本日付けのリリースの通り、香港データセンタでのサービス提供(IaaS)を開始しました。これでクララオンライングループでのサービス提供可能なロケーションは、東京、名古屋、北京、上海、台北、シンガポール、ソウルに続いて8都市めとなります。

香港の位置付けは、ずばり「中国大陸と香港市場向けへのコンテンツ配信」の拠点です。似たような位置付けでもある台北データセンタは「中国-台湾間の良好なインターネット接続性を活用」して、海外と中国のインターネット通信のハブとなったり、中国・台湾向けのコンテンツ配信を集約する拠点としてご利用頂いていますが、最近は香港向けにというニーズが特にモバイル関係で増えてきており、ついに香港でのサービスを開始することにしました。

香港の通信事情

香港はモバイル・インターネット共にブロードバンド化は早くから進んでおり、香港で契約されているモバイルユーザのうち、既に4G契約も16パーセントを超えています(ポストペイドSIMと、アクティベートされているプリペイドSIMの契約数の合計値に対する4Gの契約数)。

OFCAによる香港のモバイル契約の数値(http://www.ofca.gov.hk/)

OFCAによる香港のモバイル契約の数値(http://www.ofca.gov.hk/)

また、人口700万人強の香港において、200万世帯以上の家庭と、20万以上のオフィスにブロードバンド回線の契約がある状況です(出典:全てOCFAの2014年2月末時点の公表数値)。

OFCAによる香港におけるISP契約数のデータ(http://www.ofca.gov.hk/)

OFCAによる香港におけるISP契約数のデータ(http://www.ofca.gov.hk/)

さらに、ブロードバンド契約からのインターネットのトラフィック量を年次推移でグラフにしてみると、引き続き拡大し続けていることがわかります。

hongkong1

そして、興味深いデータもOFCAが公開しています。下のグラフは、香港と中国(Mainland China)間のIPLCの帯域のうち、インターネットサービスに使われている回線の推移をあらわしたものです。これによれば、最新のデータである2013年9月時点では約1,000Gbpsが香港と中国間で提供されているとされており、香港が中国のインターネットの国際出口としての重要な役割を担っていることがわかります。

Use of International Private Leased Circuits ("IPLCs") for the Provision of Internet Service

香港でのサービスの位置付け

香港データセンタの位置付けは、冒頭に書いたとおり中国大陸向けへのスムースなコンテンツ配信という側面があります。ただ、中国のISPから香港で中国向けのインターネットの接続性(IPトランジット)を買おうとすると、残念ながら決して安いわけではありません。またデータセンタのコストも、同様に中国大陸向けの配信拠点として活用できる台北と比べると香港の方が高いというのが現状です。特に香港のデータセンタ市場は金融向けに需要が継続的に旺盛でもあります。最近、中国大手のクラウド事業者である阿里雲も香港データセンタでのサービス提供を開始しました。提供価格を見ると北京や青島、杭州のデータセンタの3倍ぐらいの価格設定になっており、恐らくはこうした香港のコストが影響していると考えられます。クララオンラインとしても、中国大陸向けに、中国の外から安価に配信したい(中国国内に置くとどうしても様々な規制の対象になってしまう)ということであれば、台北データセンタの活用をおすすめします。

ただ、上述のように香港という市場自体にも十分に魅力があり、特に簡体字向けのモバイルゲームやアプリ・動画コンテンツの配信ということになると、これはやはり香港内から配信する方が圧倒的にコスト面でもユーザからのアクセス品質の面でも有利です。中国向けの接続性はベストエフォートでご提供し、主に香港と国際向けの接続性だけであれば、十分に競争力のある価格でご提供することが可能です。

クララオンラインの強みとして、国・地域の違いをお客様に意識させず、コンテンツを届けたい対象に対してクロスボーダーで適切なサービスをご提供できる点があります。

AWSome Day in Beijing

AWSの中国でのイベントに参加してきました。主な内容はAWSの紹介、クラウドの利便性、AWSの特徴的な活用法といったベーシックなもの。この内容であれば決してわざわざ北京で聞く必要はありませんが、一番関心があることは、「中国のAWSの価格はいつになったら発表されるのか」ということです。

昨年末に中国版のAWSが発表されて以来、今の時点で中国版のAWSの提供価格は公表されていません。そもそも中国では外資が自由にクラウドを提供できる環境にはありませんし、アリババグループのAliyun(阿里雲)は猛烈な勢いでサービスを充実させており、金山雲、ucloudなど、ローカルのブランドも次々と出てきています(Microsoftは21vianetと組んで、21vianetを経由してMicrosoft Azureを提供します)。Amazonはプレスリリースによれば、Sinnet(光環新網)と組んでライセンスの問題を解決しようとしているように見えますが、これだけ大規模な取り組みのこと、中国政府も簡単に「Sinnetを介した商流にすればいいよ」という進め方を認めるとは考えられません。昨年にはアメリカ政府も直接的・間接的にこの問題に介入しようとしていた様子が見えましたが、ハードルは高いでしょう。私の勝手な推測ですが、AWSの価格が未だ発表されない理由には、このような背景があるとみています。

そして、関心を持って聞きに行った今回のイベントでは「AWSの中国での価格は高くない」というコメントだけ。残念ながら具体的な話は何も出てきませんでした。ただ、イベントはほぼ席が満員になる関心の高さ。クラウドの熱がついに中国でも高まってきたことを感じています。

DSC00434

AWS