中国のサイバーセキュリティ法に関するセミナーを開催

先般、クララオンラインと富士通クラウドテクノロジーズ(ニフティクラウド)及び中国電信日本の共催で、中国のサイバーセキュリティ法に関する実務面のセミナーを開催しました。

6月1日のサイバーセキュリティ法の施行に向け、特に中国国内で提供を受けた個人情報の国外への持ち出し(越境移転)などについては重要なテーマが多い一方、日本国内では具体的なセミナー等が多くは開催されておらず、特に中国国内で事業展開をしている日本企業にとってはシステム面の対応をどのようにすべきか課題が多く残されています。

今回のセミナーでは、私からまず中国のサイバーセキュリティ法の公布までの約2年間の中国国内での議論や法制化に向けた背景などをご説明した後、現在パブコメ等が出始めている「ネットワーク機器やネットワークサービス等のセキュリティ審査」「越境移転に関するルール」等がどのように着地するのかという方向性についてお話しをしました。また、これらを踏まえて日本企業は現時点でどのようなアセスメントを行うべきか、対応策の候補にはどのようなものがあるかといった実務面でのご説明をしました。

(セミナー資料から一部抜粋)

(セミナー資料から一部抜粋)

一方、中国電信(China Telecom)の日本法人である中国電信日本の杜社長からは、中国電信自体のグローバルネットワークのご紹介をいただいたあと、クララオンラインとの業務提携を進めてきた中でどのようにネットワークサービス面で中国と日本との接続性を改善してきたかなどについてお話しをいただきました。

ここまで踏み込んだセミナーは日本ではまだ多くはみられず深度のある内容だったと自負しており、実際会場からの質疑も活発にいただくことができました。

6月の施行に向けて、複数回このようなセミナーを開催していく予定ですし、また恐らくは6月1日までには全ての弁法・実務手続きが明らかになることは間に合わないだろうと予測していることから、サイバーセキュリティ法に関連する実務は継続的にフォローアップをしていきたいと考えています。

香港-中国大陸間のインターネット接続用IPLC帯域の推移

香港・中国大陸間のインターネット接続用IPLCの帯域推移(2002-2015年分)

香港-中国間の帯域

香港-中国大陸間のインターネット接続の帯域については、中国側は国際向けの帯域の総数のみの開示ですが、香港側(OFCA)が具体的な数値を公表しています。

2002年以降統計の取得が開始されており、これを見ると直近2015年3月に公表された数値では、香港-中国大陸間のインターネット接続は1Tbpsに迫っていることがわかります。これは、日本(608Gbps)、アメリカ(384Gbps)、シンガポール(304Gbps)、台湾(209Gbps)と比べてもダントツで、特にこの数年の推移をみると中国大陸向けとの帯域は他の地域と比べても勢いがついています。この1年では香港-中国大陸間は400Gbpsほど増速されていますが、これは香港と国際の接続の増加分のほぼ全てを占めているほどです。

中国向けコスト

一方で、香港で中国への経路を含むインターネット接続のコストが低廉なものになりつつあるかというと、必ずしもそうではありません。具体的な金額は個別条件によりますので何とも言えませんが(契約期間、交渉力、購入する帯域量、In:Outの比率など)、日本でフルルートを買うコストと比べると10倍程度だと捉えていただくのが良いと思います。

そもそも中国国内への接続性を確保しようとすると実質的には中国電信・中国聯通の2キャリアとの接続を検討するしかなく、また中国移動を含む3キャリアはいずれも国営で、さらにこれらは先ごろも(恒例の)トップ人事の入れ替えがあったように、各社間での競争関係が激しく行われるような環境には無いという点も背景にあります。

中国電信が内モンゴルに10万ラック規模のデータセンタパーク

データセンタは4階建て。それぞれの建物に発電機、UPS等の設備がある。

内モンゴルに建設が進む中国電信のデータセンタ。データセンタは4階建て。それぞれの建物に発電機、UPS等の設備がある。

中国電信が上海の南汇に続いて大規模なデータセンタ投資をしているのが内モンゴル。フフホト近郊に作られたデータセンタパーク(正確には「雲計算内蒙古信息園」。直訳するとクラウドコンピューティング内モンゴル通信パーク)には、42棟の建物で約10万ラックの規模のデータセンタを建設する計画を立て、既に4棟が稼働し、2棟が建設中という状況です。

なぜフフホトなのか、と聞くと、フフホトは年間200日以上が10度以下の冷涼な気候であること、発電所が周辺に多くあること、北京や東北の主要都市にも近いことなどのメリットがあるそうです。

金曜日の午前中は、このデータセンタ群を見学してきました。中国電信の内蒙古の方にお出迎えを頂き、フフホト市内中心部から車で走ること約一時間。ただひたすら一直線の道を走り続け、突如として現れたのがこのデータセンタの敷地。

フフホト市内からデータセンタへ向かう道のり。ひたすら、とにかく、真っ直ぐ。

フフホト市内からデータセンタへ向かう道のり。ひたすら、とにかく、真っ直ぐ。

中国电信云计算内蒙古信息园(中国電信雲計算内蒙古信息園)

中国电信云计算内蒙古信息园(中国電信雲計算内蒙古信息園)

まず最初に案内されたのが、データセンタの全容を示す模型の前。2012年から建設が始まり、現時点では4棟が既に稼働済み。100万平方メートルの土地に42棟で合計10万ラックですから、単純に割っても1棟2500ラック強。そして既にさらに2棟の建設が最終段階であることが実際に見えました。模型の写真の左上あたりにある建物が現在できているもので、全体が出来上がるとどれぐらいの規模になるんだろうかと、若干クラクラしました。

DSC01130

こういう建設計画によくある「計画はデカい。でも使う人がいなくて実態は空洞。」という話はちょっと違いそうで、既に百度や搜狗(Sogou)などが一棟借りしているほか、アリババも一棟借りの予定があるとか。一棟借りって、スケールが…。建設に要する総投資額が公式発表では173億人民元、約3000億円。ちなみに北京で同規模のデータセンタを1棟作ると4~5億元ぐらいなので、一棟あたりの規模感もあまりずれていません。

既に稼働済みの4棟の向こうに、建設中の2棟が見える。

既に稼働済みの4棟の向こうに、建設中の2棟が見える。

建物内部の写真は許可されませんでしたが、ホットアイル・コールドアイルを分けて天井には蓋をしている最近のデータセンタのベーシックなスタイル。見せてもらうことができたエリアは、中国電信自体が提供するクラウドサービスの準備中のスペース。現在は南汇のデータセンタで稼働していますが、今後こちらでも提供する予定があるとのこと。その他の詳しい内容はBlogには書くことは残念ながらできませんが、概略だけ書くと

  • コアルータの設備はCisco製のとっても高いやつ。お金あるなー。
  • 上位のネットワークはChinaNetとCN2。他キャリアのインターネットサービスはもちろん引き込めません。けれどもCN2に抜けられれば中国聯通には国内で接続しているので、決して悪くはありません。
  • 電源系設備、発電機等はほぼ全て外国メーカー製。

という感じです。

クララオンラインとしてどうするかは何も決まっていませんが、当社と中国電信との結びつきは相互に強化していっていることを前提にすると、北京・上海でのデータセンタコストとは違い安価に設定されていますから、データストレージや演算系などレイテンシが要求されないケースでは、地方の選択肢も入るのかもしれません。それによ何より、この規模感。中国電信が現時点で持っているデータセンタのラック数(約10万)とほぼ同数のものを一気に作ろうということですから、「本当にそれが全部売れるのかいな」という気にもさすがになります。が、北京や上海のデータセンタ事情を見ていると、1ラック6~7kVA以上が提供できるラックの需要は極めて高い一方、北京・上海などの都市部は電力事情が相当ひっ迫しており、もうこれ以上都市部に大規模なデータセンタをつくるということはかなり難しい状況でもあります。また機会があれば訪れて、進捗を見てみたいですね。

中国電信の4Gを使ってみた(1.開封の儀)

北京でも4Gの対応エリアが少しずつ拡がっているため、HuaweiのEC5377 を入手して、中国電信の4G契約のSIMカードを入れてみました。中国電信なのでTD-LTEに対応しています。中国の3Gの速度に慣れてしまっているものの、速ければ当然嬉しいので、ワクワクしています。とりあえず開封の儀。

まずはSIMカード。カードが入っているパッケージ。ベリッとはがせばSIMだけ取り出すことができます。以下、SIMと端末の情報がわかる部分は画像を加工しています。サイズはmini-SIM。

中国電信の4GのSIMカード

中国電信の4G SIMカードのパッケージ

EC5377が入っている箱はiPhoneサイズより一回り小さく、そして少し分厚いぐらい。

Huawei EC5377

Huawei EC5377

あけると、こんな感じ。ジャーン。端末が入ってます。他には充電用のUSBプラグとケーブル、説明書一式。

Huawei EC5377

Huawei EC5377

とりあえず裏蓋をあけてみて、SIMカードを入れてみる。ちなみに、持ってみた第一印象は「バッテリーが入っていても軽い」。

Huawei EC5377。裏蓋をあけたところ。

Huawei EC5377。裏蓋をあけたところ。

バッテリーはこれ。

EC5377のバッテリー

EC5377のバッテリー

入網許可(进网许可)は、入網試用許可証。(入網許可には入網許可証と入網試用許可証があり、それぞれ3年単位と1年単位の更新です)。

入網試用許可証

入網試用許可証

電源を入れて、4Gの電波をつかむまでは平均で36秒(当社北京オフィスで試した結果)。悪くありません。

とりあえず接続できるところまで。スピードテストの結果は後日ご報告します! (劇的に速く、とまでは正直いきませんが、サクサクと使ってています。ただ、サクサクと使える分、データ通信量が3Gの時より確実に増えています。従量制の中国ではちょっとしんどい…)