HELLO CYCLING の電動アシスト自転車

HELLO CYCLING の自転車は?

ソフトバンクグループのOpenStreetが展開するHELLO CYCLING。このHELLO CYCLINGで採用されている電動アシスト自転車の仕様を外から眺めてみたので簡単に整理する。

なお、以下は都内で「シェアペダル」が展開しているサービスの自転車仕様であり、他の地域や時期によって異なる車両が各運営会社によって投入されている。 HELLO CYCLINGのサービスは、スマートロックと操作パネルを取り付けられればどの自転車でも実現できるといわれており、実際に、以下に書く「PASナチュラ」ではなく、PAS CITY-Cをベースにしたサービスなども見かける。(大半のサービスはPASナチュラをベースにしているようだ。)

HELLO CYCLINGの電動アシスト自転車

シェアペダルはヤマハのPASナチュラ

自転車はヤマハの「PASナチュラ」シリーズをベースにしている。

PASナチュラには2017年モデルまではPASナチュラM、PASナチュラXL、PASナチュラXL、PASナチュラデラックスXLの3ラインナップがあるが、MとXL、デラックスXL(2つをあわせてここではXL系という)はフレームサイズが若干違う以外にパーツが異なる仕様である。このナチュラ、2018年モデルではナチュラMしか展開されていない。

HELLO CYCLING用にはこの「PASナチュラ」の市販車とはいくつか異なるパーツのカスタマイズがされているので次にまとめてみた。

仕様を眺める

電動アシスト自転車の仕様は主に以下のとおり。

  • まず、ベースとなる自転車は少なくとも2種類ある。これらはタイヤの太さで見分けられ、26インチの26×1 3/8と26×1 1/2の二つがある。つまり太さがほんの少しだけ違う。XL系は1 1/2、Mは1 3/8なので、ここでベースの車両が違う可能性が見つけられる。つまり、ナチュラMと、ナチュラXL系の二つがあるのではないかと推測する。導入時期の違いだろうか。この太さについては外観からでは分からない。また、ナチュラMとナチュラXL系はごくわずかなフレームのサイズの違いががあるが、それもほぼ外からは分からない。なお、メーカー仕様上はXLのほうがMより2kg程度重い。
  • サドルはテリー型サドルで統一されている。これはナチュラデラックスXLに採用されていたものと同じタイプのようで、これをナチュラMベースの車両にも統一してつけているようだ。耐久性もあるし座ったときの安定感も良い。
  • カラーはホワイト系で統一。
  • 前かごはスチール製のバスケットで統一されている。ナチュラM、ナチュラXL(2017年モデル)に載っているものとは異なるため、これも全体的にカスタマイズと考えられる。
  • 市販車との最大の違いはリアキャリアを取り外していること。二人乗りを避けることを考慮しているのだろうか。
  • スタンドは全ての車両がヤマハでいう「かるっこスタンド」。少しだけ先端が折り曲がっているタイプ。これもナチュラMにはなくXL系に標準採用されているもの。仮にナチュラMもベース車両であるということが当たりであると、統一するようにカスタマイズされているようだ。
  • バッテリーに2つのタイプがある

    バッテリーは大容量タイプと標準容量タイプが混在している。標準容量タイプはX90-20(X90-82110-20)という型番の8.7Ahのもの、大容量タイプはX91-20(X91-82110-20)という12.8Ahのもの。この二つは自転車側の互換性があるのでX90-20に対応している自転車であればX91-20を載せることができる。その逆が出来るかどうかはメーカーの公表資料をぱっと探した限りでは見当たらなかったが、形状や電圧からして可能であるのではないだろうか。

    私が見た範囲では、X90-20のバッテリーを載せている車両は26×1 3/8をはいており、これはナチュラMをベースにしていそうだが、バッテリーと車両の運用がどのようになっているのかは気になるところ。

    大容量タイプの良さは走行距離。バッテリーが走行中に足りなくなる、もしくは切れているという問題の発生を少なくすることができる。確かにコストには跳ね返るだろうが、自転車の使用期間を考えれば一日あたりの金額さは小さく、逆に悪いユーザ体験を減らせるメリットを考えれば、出来るだけ大きなバッテリーを積むほうがよいと考える。

    ファンクションメーターの違い

    ファンクションメーターは少なくとも2種類が確認できた。これは、市販車で比較すると2017年モデルとそれ以前のモデルの違いによる。

    従来のファンクションメーター

    2017年モデル以降で採用されている液晶ディスプレイ型のファンクションメーター

    新しいファンクションメーターは液晶ディスプレイにほぼ全ての情報が表示される。2017年モデルの市販車でも試したところ液晶ディスプレイの見やすさは昼間でも十分にあった。どちらのメーターの車両にのってもユーザ体験は大きく変わらないだろう。

    リアブレーキ

    これは市販車と同じ仕様。どの自転車も共通してシマノのハブローラーブレーキであるBR-IM-31Rが載っている。

    シマノのBR-IM-31R。多くの自転車で使われている。

    我が家でも同じブレーキの自転車があるが、経験上、相当程度乗らないとブレーキ鳴りがするほどにはならない。たとえ音が鳴っても黒いキャップを外してローラーブレーキ用グリスをいれれば普通は鳴りはなくなる。高温注意と書いてあるが、特に長い坂道をブレーキをかけながらずっと降りてくると外側も本当に熱くなる。

    そもそもこのレンジでバンドブレーキを使っている自転車は見当たらないが、シェアバイク用の自転車として考えると若干パーツが高くてもこうした部品を採用している自転車は結果としてメンテナンスの箇所や頻度を下げることに繋がるかもしれない。

    スマートロック

    HELLO CYCLINGのスマートロックは、もともとフレームのシートステイ部分にあるロック用の台座に載せられる形状になっている。

    スマートロック部分。もとからある台座にそのまま載せている。

    リアキャリアがあるとこのスマートロックにアクセスがしにくいということにも気づく。二人乗り防止という意図以外にもリアキャリアはいずれにしても外される運命か。

    ICカード用の操作パネル

    HELLO CYCLINGは操作パネルで暗証番号を入れるかICカードのタッチで借りることができる。この操作パネルは日本語、英語に対応している。(説明では中国語、ハングルにも対応していると書いてあるがサービスの実利用では確認できなかった。無効化されているだけなのかもしれない。)

    操作パネル。ドコモバイクシェアと違い、ロック部分と分離している。

    少し気になるのは、この操作パネルの電源をバッテリーから取っているのだが、給電のためのケーブルをたどっていくと白いコネクタが2つ外側から見えること(いわゆる4ピンコネクタのようなもの)。ピンの数までは外からみては分からなかったが汎用のコネクタであるとみられ、いたずら防止や防水などを考えると何かしらカバーをとりつけたほうが良いのではないだろうか。もちろん、ケーブル類はインフレームにしない以上そもそもハサミでのいたずらのリスクは付きまとうものなのでどこまで気にするかということはあるが。

    白いコネクタ。よく見ると3ピンのと4ピンのがある。

    白いコネクタ。よく見ると3ピンのと4ピンのがある。

    (追記: 2018/2/7) 白いコネクタを露出させずにバスケット(カゴ)部分に少し隠れるようにしている自転車もある。

    市販車をベースにしつつ細部に提案が感じられる

    一見すると市販車からリアキャリアを外しただけのように見え、さらに一車種で統一しているかのように見えるところ、このようによく見ると市販車からのカスタマイズや車種、バッテリーの違いがわかる。

    ラック部分に白線が引かれている場所もあれば、ラックだけの場所もある。

    自転車は、こうして眺めているだけでも、その裏側で誰かが何かを考えたり工夫した結果が感じられ、面白い。

CYCLE MODEでe-BIKEを見てきた

日本最大のスポーツ自転車の展示会といわれるサイクルモード・インターナショナル2017(CYCLE MODE international)に行ってきた。個人的な関心はスポーツバイクだが、今回の視察目的はe-BIKEと呼ばれる電動自転車(日本では電動アシスト自転車)。日本のシェアバイクの流れの重要なポイントは、電動アシストだと考えている。中国のように平らな環境が多い街と違い坂道が多い日本。(それでも、中国は一括りにはできず、大連や青島のように坂道が多い場所もある。)

最初から話がずれるが、マラソン人口がこれだけ日本で増えたあと、一定程度のランナーが「自転車に行く」と思っている。マラソンを走り続ける楽しみを覚えた人以外に、長距離・長時間自分と向き合うスポーツの中ではバイク・トライアスロンの声がまわりから否応なしに聞こえてくるものである。大きなマラソン大会では相変わらず抽選の倍率も高い。マラソンを数年から5年ぐらい続けたランナーがその1割でも自転車に興味を持ったら…。

話しを戻すと、今回は、前回のイベントにも出ていた中国のTSINOVA、小米の出資を受けて開発されているQiCYCLE、台湾の達方電子(DARFON)のBESVなど、e-BIKEと呼ばれるものが日本でまとめて見られるチャンス。BESVは最近都内でもチラホラと見かけるようになってきたところだし、TSINOVAは今週からちょうどリテールの販売が始まったところ。中目黒に専門ショップが出来たらしい。

小米のQiCYCLE

そのQiCYCLEは1年ほど前に小米が売り出したときに個人輸入で中国から買ってきている人もチラホラとblogなどで見かける。折り畳み式の電動アシストで、中国では同じくEF1という型番で2999元(5.5万円弱)で売られている。日本向けの代理店も決まり、日本仕様にあわせたマイナーチェンジを経て来春日本発売の予定。レッド、マッドブラック、レッドの3色で展開されるそう。

QiCYCLEのEF1。日本では来春発売予定とのこと。

QiCYCLEのEF1。日本市場向けの仕様で来春発売予定とのこと。

タイヤは16×1.75、シマノのギアとDCブラシレスモーターの仕様などは中国と変わらず。一方、ディスプレイは日本語化したり一部日本仕様にあわせる対応をしているとのこと。認証まわりはこれからと聞いた。気になる値段はパンフレットに定価128,000円(税抜)と書かれているが、このとおり13万円前後になる見込みだという。TSINOVAが同程度の価格でTS01を出してきているので似たレンジでの競争になるのだろうか。

QiCYCLEもベルトドライブを採用。TSINOVAなど中国メーカーでも採用が増えている。

QiCYCLEもベルトドライブを採用。TSINOVAなど中国メーカーでも採用が増えている。

TSINOVA

一方のTSINOVAはTS01という型番の販売が始まっている。ほかにも折り畳み式電動アシストのALIAS、「ママチャリ」と言い切っているMIRAIが展示されていた。TSINOVAは北京に本社がある電動車・電動アシスト電車のスタートアップで、仕事での機会もあって先日訪問してきた。

TSINOVAのTS01

TSINOVAのMIRAI。いわゆるママチャリ。

TSINOVAの折り畳み電動アシスト「ALIAS」

TSINOVAの折り畳み電動アシスト「ALIAS」

日本では既にいくつかのチャネルで販売が始まっている。実物に触れたいのであれば中目黒のsneecleがおすすめ(回し者ではない)。sneecleでしか扱われていないTSUYAという赤いモデルと、ブルー、ブラックの3種類が実際においてある。お願いすれば試乗もさせてくれる。

中目黒のsneecle。中目黒駅から徒歩5分ぐらい。

中目黒のsneecle。中目黒駅から徒歩5分ぐらい。

店舗ならではの発想もあった。TS01の標準のサドルをBROOKSの黒いレザータイプのサドルに変えてしまうのもどう?と。確かにかっこいい。また、カゴもTSINOVAにあわせたデザインのオプションを検討しているという。とはいえ、ここまで来るとシェアバイクラボの範囲からは超えてしまう。私は個人的には自転車は大好きだが、あくまでこれを書いているときには仕事。

月額レンタルのモデルも始めるとのことで、このビジネスモデルが楽しみ。

TS01のブラックにBROOKSを載せるカスタマイズのイメージ。よい。

TS01のブラックにBROOKSを載せるカスタマイズのイメージ。よい。

店舗の方によれば、TS01以外にもALIASが今年中に日本で入ってくるかどうか、またTS01の藍色と白色のモデルはもうまもなく日本に来るのではとのこと。

BESV

一方、もう少し高級路線を行くBESV。台湾メーカーだが台湾というブランディングはほぼ見当たらない。会場ではPS1やPSA1、それからスポーツタイプのSF1などが展示されていた。

BESVのPS1。最近、少しずつ都内で見かける。

BESVのPS1。最近、少しずつ都内で見かける。

メーカーである達方電子(DARFON)は1997年5月設立のメーカー。もとはLCD TVやノートパソコン用キーボードなどの専業メーカーとして大きくなった。私も10年前の印象ではそのようなイメージが残っている。昔はAcer、今はBenQとして知られている明基友達のグループ。台湾最大手の電機・電子部品メーカーである。達方自体はBESV以外にvotaniというe-BIKEのブランドを持っている。

中国・台湾メーカーである印象が見当たらない

このほか、e-BIKEではないが、上海メーカーであるJavaBikesも参考出品。日本での取り扱いは未定とのことだが、イタリアでデザインしたミニベロが展示。電動も中国で展開しているとのこと。

上海のJavaBikes

上海のJavaBikes

BESVにしても展示もパンフレットも完全にヨーロッパデザインのブランディング。この点はTSINOVAも同じような感じ。実際にパンフレットを見ていただきたいが、紙質やデザインテイストは中国メーカーだと分からない。(とはいえ、TSINOVAの一部の動画やパンフレットの翻訳が中国っぽさを残してしまっているのでもったいない。これは日本本格進出時にクリアしておいたほうが絶対にいい)

ま、そもそも自転車の相当程度は中国と台湾で作られているという事実を考えれば、設計・デザイン・ブランディングによる差をつけていくという点に異論はない。その点、イメージを欧米に求めるというのは合理的。

さてさて、こうした新しいスタイルの電動アシスト自転車が日本にも揃い始める2018年。こう書いてる私も一台通勤に揃えたいところで、はやくオフィス周辺の駐輪場問題を解決せねば..。