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グローバルというキーワード

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ずいぶんとblogの更新をサボッってしまいました。私のブラウザ(Chrome)のブックマークバーの左端には Google Analyticsへのリンクを置いてあり、ふとしたときにこのblogのアクセス数を見るようにしています。が、まずは皆様にお詫びします。すみません。新しい記事がまったく無いにも関わらずアクセスしていただいている方がいらっしゃることはわかっていました。しかし、ふと気づくとこんなに間隔があいてしまったのでした。

さて、じゃあなぜ久しぶりに書いてみようと思ったのか。実は、今は空の上。おそらく高度10000メートルぐらいでしょう。東京から北京に飛んでいる最中です。最近の中長距離便にはWiFiを使うことかできるフライトも増えましたが、中国便に今のところその様子は見られません。空港にいるときに受信したメールの返信をざっとこの2時間で書き上げ、溜まっていたメールを読み、、、そうなんです。ネットに繋がらないので次ぎの仕事に移れず、かといって映画を見る気分でもないので、「そうだったな。blog書いてなかったな。」と、キーボードをまた打ち始めたところです。こんにちは。

前置きが長くなりました。久しぶりに書いてみようと思ったのでお付き合いください。

グローバル。グローバル化。グローバル人材。この数年、ひたすら聞き続けてきたこの言葉、どうにもこうにも私には落ち着かない表現でしたが、最近その落ち着かなかった意味が少し分かりかけています。

それを説明する前に、私たちの仕事が本当に「グローバル」なのかどうかを考えてみました。クララオンラインの強みはクロスボーダー、即ち、国境を越えるときの力にあります。クロスボーダーというとき、必ずしも一つの国と一つの国とのブリッジになるわけではありませんが、多くの場合、私たちの仕事では日本とどこか一つの国・地域の間にビジネスの橋を架けています。

たとえば日本と中国のインターネットは全く別物です。規制や検閲、通信品質という点だけでなく、そもそも規模も違います。日本の人口を軽く超えるようなダウンロード数のあるゲームやアプリはたくさんあります。こうして相互に環境が違う市場に入る際、二つの方法があります。一つは、「私たちのやり方・手段はどの国にいっても変えません。基本的な同じものを提供します。でも、私たちの本国でやったことと同じように提供すればきっとあなたは便利だと感じてくれるはずですよ。どこにいても同じサービスが受け入れられるのです!」という方法。わかりやすくいえば、どの国にいっても同じビジネスモデルを展開する人たちのこと。まさにこれはグローバルなビジネス展開です。

ところがもう一つあります。「私たちは複数の国でサービスを提供します。しかし、国によって売り物、プライシング、売り方は全て変えます。」というモデル。つまり徹底的にローカライズしてしまう方法です。もちろん、顧客は複数の国にまたがってサービスを使うことは一般的にできますが、提供されるサービスは現地事情に最適化されてできあがっています。では、これは本当に「グローバル」なのでしょうか。

前者の「全世界共通モデル」は、AmazonやGoogle、Microsoftなどがあてはまると言えるでしょう。展開しようとした国の事情があまりにも異なれば「モデルは変えないから、だったらそこでは展開しない」という選択肢をとることさえあります。一方の後者はまさにクララオンラインの今で、日本でビジネスを展開したいという外国の企業には日本の習慣を伝えたうえで日本風にアレンジするようにサポートし、逆に中国で展開したい、韓国で展開したいという日本の企業には、その土地にあわせた習慣を身につけて頂けるようにサポートします。そこで私たちが提供しているものは決して画一的なものではなく、「中国の事情を理解した上で」「韓国の事情を理解した上で」作っているサービスであったりします。同じものを提供しているわけではないのです。

そして、これは恐らく「グローバル展開」とは言えません。むしろ、「inter-national」、即ち「国際展開」なのです。実は、私も国際展開と世界展開が整理できずごちゃ混ぜにしていた時期がありました。同じことをどの地域でもやれないかと思っていた時のことです。ただ海外に出てみてすぐに気づいたことは、同じモデルで展開できるのは大企業の話であって、私たちは「ローカライズ」した方がうまくいくということでした。

話しを戻すと、私たちのやっていることは今のところ「グローバル展開」ではないと捉えることができます。完全に個々の国・地域の事情にローカライズしたビジネス展開と、国と国とを跨ぐクロスボーダーの領域に絞っています。これはアジアにいれば必然でもあります。なぜならば、国ごとにインターネットやモバイル市場の背景・状況が異なりすぎるからです。そして一つ一つの市場が決して小さく無いからです。「北アメリカと西ヨーロッパ(EU)ね」と一まとめに出来そうな市場(ちょっと乱暴な言い方ですが)と、中国もあって日本もあって韓国もあってベトナムもあってインドネシアもあって、みーんな宗教も言葉も習慣も全く違い、というのを一まとめに同じモデルで展開することは容易ではないのです。

例として、日本のEC企業がアジアに出てことごとくうまくいかなかったのは(最近うまくいっている例を一つ知り、これはすごいと思いました。徹底的にローカライズされています。)、まさに「グローバル展開」の結果です。逆に中国の会社が日本にきて同じモデルでやってもうまくいくとは思えません。日本はこの4-5年、グローバルという言葉に、憧れと爽やかさと曖昧さと先進さぐらいをミックスジュースにいれる野菜や果物にように混ぜすぎてしまい、海外展開=グローバルという式だと思い込んでしまっていないでしょうか。

と書いたところで、天津の上空あたりにまできたようです。今日は朝からお客様先で3件、中国との案件を東京で打ち合わせ、明日は逆に北京で日本との案件の打ち合わせです。クロスボーダーの重要な点は、事業が一方通行にならないこと。双方向で見るからこそ事実が見えるはず。と肝に銘じています。では。

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