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「ネットワーク出版サービス管理規定」のパブコメ版との比較

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パブコメ版から3年を要していた。

昨日のblogに書いた中国の「ネットワークサービス出版管理規定」については、関心が引き続き高いようですので追加のエントリーを書いておきます。まず、本規定の公布は2016年2月4日、その施行は3月10日とされています。しかし、この規定は2015年8月の時点で国家新聞出版広電総局の内部会議において通過しており、公布までの間に相当な日数を要していたことがわかります。中国の通信・文化関連の法令としてはこの間隔は通常より長いといえます。一方、中国においては、法令・規程等の公布にあたりパブコメ(征求意见稿)が先に出た上で、当局内部での検討だけでなく、各国政府機関などが出す意見書などをもとにして修正がなされます。通信・文化関連の法令以外は私はフォローしていませんが、少なくともこの分野においてパブコメ版と公布版が完全に一致しているケースはほぼありません。

今回の規定については、パブコメは2012年12月18日に新聞出版総署(その後、再編によって現在の国家新聞出版広電総局)によって出され、2013年1月10日を意見募集締切の期日とされていました。従って、パブコメの時点から公布に至るまでにはおよそ3年を要していたことがわかります。

パブコメ版では外資等の扱いはどうだったのか。

結論から申し上げると、パブコメ版の時点から明確に外資・合弁についてはネットワーク出版サービス業務を行うことは出来ないと書かれており(第10条)、この部分の文言については一言も変化していません(以下の下線部分)。一方、続く事前手続きについては、安全評価を行うとされていた点が審査・認可を要するものとされたほか、企業だけでなく個人についても対象に加えています。

パブコメ版 公布版
中外合资经营、中外合作经营和外资经营的单位不得从事网络出版服务。
网络出版服务单位与境内外中外合资经营、中外合作经营和外资经营的企业进行涉及网络出版服务业务的合作,应当报新闻出版总署进行安全评估。
中外合资经营、中外合作经营和外资经营的单位不得从事网络出版服务。
网络出版服务单位与境内中外合资经营、中外合作经营、外资经营企业或境外组织及个人进行网络出版服务业务的项目合作,应当事前报国家新闻出版广电总局审批。

その他の点は。

興味深い点としては、公布版には「网络出版服务单位违反本规定第二章规定,以欺骗或者贿赂等不正当手段取得许可的,由国家新闻出版广电总局撤销其相应许可。」(第57条)として、申請内容について違反があった場合と共に、賄賂など不正な手段で許可証を取得した場合の取り消しに関する条項が追加されています。これは近年の公務員汚職に対する方針が反映されていると考えられます。

また、サーバやストレージ設備を中国国内に置くことが義務付けられた!という点が報道では見受けられましたが、この点はパブコメ版と公布版とで同じく一言も変化していません(第8条3項)。いえば、3年前から同じことを国家新聞出版広電総局を規定に盛り込むべく考えていたわけで、いまさら騒いでもとも思います。(そして昨日書いたとおり、そもそも中国国外からの配信をすることは現実的には中国国外とのインターネット速度を考慮すると無理に等しく、唯一あるとすればApp Storeからのダウンロードが外国からだよねということになりますが、それもCDNで中国の中から...おっと、このあたりの事情は注視が必要です)

パブコメ版 公布版
有从事网络出版服务所需的必要的技术设备,相关服务器和存储设备必须存放在中华人民共和国境内。 有从事网络出版服务所需的必要的技术设备,相关服务器和存储设备必须存放在中华人民共和国境内。

この他についても細かな表現の差は多く存在していますが、恐らく日本の皆さんにとって関心の高い話は上記の点に絞られるだろうと思い、その部分だけをピックアップしました。(時間がない、ともいいます。。。)

なお、パブコメ版を読むと「本规定自2013年 月 日起施行。」との表現が残されており、少なくともパブコメを締め切ったあと1年以内には施行することを期待していた様子がうかがえます。事情はよくわかりませんが、修正点の細かなところを見ると色々と感じるものもあり、とはいえそんなことはblogでは書けないのでどこかでお会いしたときにでも。

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