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ソウルをタルンイという自転車に乗って回る

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タルンイ

ソウル市内のポート型シェアバイク「タルンイ」

2015年10月に開始されたこのサービスは、ソウル市内に自転車2,000台、駐輪ポート150か所から始まったが、2017年末時点では自転車16,000台、約900ヶ所にまで拡大した。また今後1200ヶ所程度にまで拡大を予定しているという。

いわゆるポート型のシェアバイクで、地下鉄・鉄道駅、バス停の近くや公共施設などのそばにポートを置き、駅から先の移動手段、あるいは数キロ以内の利用にフォーカスしている。実際、1回あたりの平均移動距離は3.3kmだという。

2017年夏にシステムを大きく変更し、外国人であってもデポジットや身分証確認等がなく乗れるようになり、観光や出張の際の足になるようになった。(外国人の場合には1時間または2時間チケットの購入のみ)

タルンイ(따릉이)のWebサイト

タルンイの面白いところ

タルンイの特徴や状況を整理すると、このようなことが挙げられる。

  • ポート型だが、ポートが満杯のときには別の自転車についているワイヤーで繋げると自転車を返却した扱いになる。これは、ポート型の際に、そのポートが満杯だったらどうするんだという問題を解決する一つの試みとして面白い。
  • ライドを開始する際にはWebから利用券を購入し(www.bikeseoul.com)クレジットカードで決済。その場で表示される貸出ナンバー8桁を自転車についている端末に入力するとロックを外すことができるようになる。つまり、事前登録などの必要はない。モバイルアプリもあるが中はブラウザ画面なのでわざわざ日本人はアプリをタウンロードする必要はない。
  • 韓国語以外に日本語、英語、中国語に対応している。ただし利用に必要な画面のみで、ポートを探すための画面はハングルが読めないと使えない。ポートを探す地図は残念ながら少しわかりにくく、自分の今いる場所からどこがポートが近いかを見つけることは難しい。
  • 端末部分に音声機能が入っている。韓国語でしか案内が出ないが、位置情報などからこの端末で音声ガイドを外国語で提供するなどのこともできるのではないだろうか。画面を見せることは危ないが、音声ガイドであれば走行中でも危険性は低い。行き先をナビするとか、周辺を案内する観光モードを用意するといった発想に応用できる気がする。
  • 端末部分を走行中にタッチすると走行距離、走行時間、消費カロリーが表示される。
  • 端末はタッチセンサー式。感度の良し悪しの違いが大きく、スムースに押せるものとそうでないものがある。また、夜間はよいが日中昼間の明るい場面では画面の輝度が低くかなり見にくい。このあたりは改良の余地はあるかもしれない。
  • 再配置のロジは定かではない。市庁舎前のポートにいったら30台近く置けるラックに1台もいなかった。
タルンイの操作パネル

タルンイの操作パネル。真ん中の電源ボタンを押すと起動する。

少しわかりにくいが、自転車から出ているワイヤで次の自転車を施錠している。

少しわかりにくいが、自転車から出ているワイヤで次の自転車を施錠している。

タルンイの自転車

採用されている自転車はすべて韓国メーカーのalton。30年ほどの歴史のメーカーだが、同じく韓国で歴史のあるCOREXと合併したあとは「The韓国メーカー」としてのポジションの一社である。街中でもaltonの自転車をたまに見る。

タルンイの自転車。白のフレームに緑が映える。

タルンイの自転車。白のフレームに緑が映える。

タイヤは24×1.75をはき、中国で普及したようなノーパンクではないので走りやすさも柔らかめ。少し太めなのが走りやすさをつくるので街乗りのシェアバイクならばこれぐらいが好き。

シマノのInter3(内装三段)でグリップシフト。ソウルは漢江の北側は特に坂道が多いので変速がついているのは必要だが、それでも上がりきれない坂に一度突っ込んでしまい途中で後悔した。

この坂はさすがに登れない。。

この坂はさすがに登れない。。

ライトまわりはフロントがPanasonicのNWM789でハブダイナモを積み、ライトはLED式のオートライト(NHS77N)がつく。
ブレーキは、リアはシマノのInterM、フロントはVブレーキでBR-T4010だとみられる。

乗った車両でいずれも壊れているものは見当たらなかった。ややブレーキが甘いかなという車両があるぐらいで、ポートをいろいろと見て回ってもチェーンが垂れているとかサドルが壊されているというものは見当たらず、概ね手が届いている様子がうかがえる。

ポートの密度

ポートは増設を続けている最中だということなので今後の拡大に期待するが、密度はまだ高くない(それでも東京の今の環境と比べればはるかに濃い密度であるし、設置工事中のポートもあちこちで見かけた。)確かに地下鉄の駅や主要施設のまわりには少なくとも1つ以上のポートは見つけることができる。

また地下鉄の駅といっても出口はそれぞれが遠く離れていることもあるといずれか一方だけではやや不便。自転車屋さんをめぐるために龍山駅に行ったり、漢江をわたって高速バスターミナルに行ったりもしたが、「駅でてすぐに見える場所に」欲しい(どちらの駅も駅前がひらけているので余計に)。体が単に中国に慣れただけだが、密度が適度にあがってくるとユーザの期待も上がる、ということで。

タルンイのポート。タイヤ径と同じ円形のドックが立つ。

タルンイのポート。タイヤ径と同じ円形のドックが立つ。合わせるセンスがにくい。

もっとも、借りるときと返すときのポートの位置が地図上で分かりやすくなるようアプリの出来がよくなければ、ポートの密度を埋める前にも8割ぐらいのユーザ体験は改善できるはず。この状況だとアプリの改善のほうが先に期待される。

ソウル駅前のポート

ソウル駅前のポート。

ソウルで乗るときの注意

まずは、日本と違って右側通行、そして信号では常時右折可。ひかれないように。

地下街・地下道がなければ道路の反対側にはいけないような場所もあるので道順にも注意。そうはいっても信号を見つけるしかないのだが。

そして最後は坂! ソウル駅から明洞に抜けようとするのに何も考えずに南山の方角にいったらこれが悲劇。ワタクシの脚力(どんな)をもってしても坂は登りきれなかった。シャカリキ!という自転車を題材にした漫画が昔あったのだが、そこに出てくる一番坂、二番坂ぐらいのような坂。ここはサンフランシスコかと。無理無理。坂がありそうな方角には特に注意を。

なおタルンイの利用方法についてはKONEST のサイトが詳しいので、こちらをおすすめする。

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