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中国の主要なネットサービスのドメインのレジストラを調べてみた

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インターネットドメイン管理弁法のパブコメ版発表

工業情報化部が3月25日にインターネットドメイン管理弁法(互联网域名管理办法)の改正案につきパブリックコメントの募集を開始しています。この弁法はインターネット上のドメインの管理等について規定しているもので、2004年の改正以来12年間にわたって改正されずにいました。

パブコメ版での改正案

パブコメ版の内容についてはクララオンラインが発行している無料のアジアITレポートにて取りまとめ、本日公表しましたのでこちらをご覧ください。

check「インターネットドメイン管理弁法(パブコメ版)について」(PDF・無料)

特に第37条の解釈について様々な意見が出ており、「中国国内のドメイン登録サービス機構の管理下ではないドメインはISPはネットワーク接続サービスを提供してはならない」との趣旨の内容により、そもそも海外のドメインに対する接続を遮断するのか、という読み方も出ていました。今回も各方面からお問い合わせをいただいておりますが、結論から申し上げると直近数年間の実務との乖離はなく、実務に規定をあわせた内容であるといえます。即ち、中国のレジストラを用いたドメイン名でなければWebサイトの開設を許可しない(またはドメインの所有者であることを証明する書類の提出を要する)との実務が各地方の通信管理局によってIDC/ISP事業者を通じて既に行われています。

具体的には、ICP登録(备案)の手続きにあたっては、利用するドメイン名のレジストラ(ドメイン登録事業者, Domain Registrar)が中国国内の事業者である必要があり、海外のレジストラのドメイン名をICP登録する手続きは書類の入手、翻訳を含めて極めて煩雑でした。したがって.jpドメイン(日本)や.krドメイン(韓国)といったccTLDと呼ばれるドメイン、あるいは既に海外のレジストラで取得済みのgTLDなどを用いて中国国内でWebサイトを公開することは「実質的に出来ない」状況になっていました。(ほかの国ではあまりこのような事例を見ることはありません。中国の場合、ICP登録のステップがあるために実効性があるのです。)

このことから、実務上は

  • 新規にドメインを中国のレジストラで取得する
  • レジストラを海外から中国に変更する(Registrar Transfer)

のいずれかをとる必要が出ていたのです。改正案の第37条は、この点が明確化されたと考えています。

ところで、中国の有名なドメインのレジストラは・・

「ルールにするよ!」と言われると気になるのが、そもそも中国の主要なネットサービスのドメインは中国国内のレジストラを使って登録されているんだっけ、ということでありまして、わたくし、早速調べてみました。

恣意的にドメインをピックアップするわけにはいかないため何らかの指標がほしいところですが、世界的に使われているもののうちAlexaを採用すると中国事情の一部しか反映されていないように見えることから、AlexaのランキングのうちgTLDのものを上から20個、それ以外に私がだいたいこのあたりではないかと思った15個の計35個のgTLDを対象にしています。その結果は以下の図のとおりです。

中国の主要なドメインのレジストラの一覧

中国の主要なドメインのレジストラの一覧

あらら。という結果ですね。見ていただいてお分かり頂けるとおり、35個の調査対象のドメインのうち、中国のレジストラを用いてドメインが登録されているケースは約3分の1の12個。それ以外は全てUSで、さらに多くはMarkMonitor社を採用していることがわかります。なお、調査にあたってはwhoisをスクリプトでたたき、Registrarとして表示されるもの(念の為IANA IDがそれと同一であるかどうか)の確認によりました。

今回の弁法が仮に改正案のとおり公布された場合、こうした中国の主要なネットサービス等のドメインのレジストラを変えるところまで強制することになるのか、あるいは弁法公布前については影響しないのか(こうしたことは中国の実務ではよくみかけます)は今の段階ではまったくわかりませんが、いずれにしても足もとの状況を工業情報化部がどこまで踏み込もうとするのかについては注目されるところです。

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