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坂の上の雲

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司馬遼太郎の坂の上の雲、八巻をようやく読みきりました。きっかけになったのは、ある党の参議院議員の先生の事務所を訪ねたら、普段お前はどんな本を読んどる、と聞かれた話から司馬遼太郎の話になり、大連によく行くという話をしたら、坂の上の雲はまだ読んでいないのかと言われて慌てて書店に行ったという顛末。秋山兄弟の話はNHKの委員のときに「08年に連続ドラマをやる」という話を聞いていたし、1月に水師営や203高地に行ったときにもっと知りたいと思ってはいました。が、この仕事の状況じゃ本を読む時間など与えられるわけもなく、blogの更新頻度さえも減り、移動中にキーボードを走らせまくるか何かの待ち時間に数分で書ききるぐらいしか出来ない状態です。でも一巻を読んだらどうしても読み通したくなり、一日に数ページしか読めないときもありながら、数ヶ月かけてようやく終わりました。

僕の感想など、それを見て坂の上の雲を読もうなんていう人は出ないだろうから書いても仕方ないのだけれど、読み終わって、さて僕が思ったことは、日本の中学や高校の歴史でこういう歴史はどこまで教えてくれるの? ということ。学校行ってないので残念ながら歴史に出てくる話なのかどうかさえ残念ながら知りません。ただ、若い時にこういう歴史小説に触れることも、自分たちの歴史のわずか100年ちょっと前に起きた出来事に関心を向けることも、それが何の意味があるかと問われると即答できないけれど、何かちょっとは意味がありそうな気がします。広瀬中佐の歌はなぜか前から歌えたんだけれども、旅順で203高地の上に立ったとき、旅順港外が本当に遠くに見えて、そして港への入り口が狭いのもよく見える。日本がここを取りたかった意味は周りを見渡してもよくわかったし、どれだけあの港に入るのが大変かも、地図を見るより百倍理解できました。しかしあの無謀な戦争をやってから、まだ僅か100年。日本が戦争社会に突入するきっかけにもなったこの戦争を、出来れば高校生ぐらいにはきちんと教えておいてほしいなと。教わってるのかな。歴史の教科書に載っているぐらいじゃなく、だけど。

さて僕が一番読みたかったのは実は八巻の最後、聯合艦隊解散之辞が出てくるくだり。その参院議員の先生がすらすらと暗記されていたのを唱えられて、僕はその日本語の美しさと言葉の深さに感激してしまい、帰ってきてすぐに一人で黙々と覚え始め、「二十閲月ノ征戰已ニ往事ト過ギ・・・・・・古人曰ク勝ツテ兜ノ緒ヲ締メヨト。」とブツブツいってたら妻に変な目でみられました。途中のフレーズは難しくて残念ながら覚え切れていませんが、「神明ハ唯平素ノ鍛錬ニ力メ」で始まる最後の段落は完璧です。仕事は決して兜の緒を締めるべしという状態にはまだ無いのですが、勝ったときのために覚えておきます。

今日、会社に行くために駅に向かう途中で書店をちらっと見たら、坂の上の雲が平積みになっていました。この書店ではこのあいだまではどの巻も取り次ぎにお願いしていたような状況だったのに、ね。

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