感じたこと

家庭用浄水器と家庭用品品質表示法・水道法など

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皆さんのご参考になるかどうかわかりませんが、家庭用浄水器について一つの視点を残しておきたいと思います。

日本国内で販売される全ての浄水器は、家庭用品品質表示法により、ろ材又は媒体に使用されている材料の種類の名称を浄水器自体に記載することが義務付けられています。この中には、ろ材、即ちフィルターの交換目安についても記述することが義務付けられており、これらのいずれかに違反した場合には違反の改善指示や氏名の公表、または表示命令に従わない場合には罰金が規定されています。浄水器という名称であるかどうかについては関係なく、よくある活水器という表現をされていた場合でも同様です。その定義は、同法の施行令である家庭用品品質表示法施行令によって、「飲用に供する水を得るためのものであつて、水道水から残留塩素を除去する機能を有するものに限る。」とされています。

日本国内では家庭用浄水器は平成21年度での普及率は3割を超えているとされ(一般財団法人浄水器協会による)、様々なメーカーから多様な製品が販売されています。一方で、人間の口に入る水を扱う機器であることから製品に関する規制は従来から様々なかたちで設けられており、特にその浄水器の除去性能試験及びろ過能力試験の表示にあたっては、JISで定められた「家庭用浄水器試験方法」(JIS S 3201)が存在します。直近では平成22年3月に改正されました。

最近、近いところで家庭用浄水器のとある製品を手にする機会がありましたが、この製品についていくつかの疑問点がうかびました。これについて箇条書きで書くと、

  • 家庭用品品質表示法に定められた記載が製品に無い。
  • 濾材(ろ材)の交換は不要としているが、備長炭とセラミックスが含まれているとされており、いずれにしても濾過に相当する機能がある。しかしろ材を交換しないで使い続けることができる浄水器は現時点では想定されないため、消費者の誤解を招きやすい。ろ材の永久的な交換が不要という点については、たとえば断水時の赤水の発生時において、ろ材が正常に機能していれば付着する異物等への対応に関する批判に耐えられない。
  • 特許番号がWebサイトに記載されているが、浄水器の機能に関する特許などではなく、土壌等の廃棄物処理に関する特許である。水については特許の詳細な説明に現れるが、これはこの発明で使用される機器について取り上げられているものであり、浄水器の構造や機能自体に関する特許ではないため、消費者の誤解をうむ可能性がある。
  • ビルトイン型(キッチンのシンク内に設置するタイプの呼称)であるため水道法施行令の給水装置の構造及び材質の基準に関する省令による性能試験(JIS S 3200)への適合が必要だが、資料等に記載が見当たらない。

という、4点が主に挙げられます。ちなみに、業界基準、具体的には前述の浄水器協会の適合マークや日本水道協会の適合認定はこの製品にはありませんでした。(これ以外にも疑問点がありますが整理できていないので省きます)。なお、様々な類似製品がある中で、2番目の濾過の点については、1-2ヶ月単位で洗浄を要するとしているメーカーもあるようですが、その違いは不明です。

また今回の場合、JIS S 3201の家庭用浄水器試験方法に関する表示はパンフレットにはありましたが、メーカーが通販をしているWebサイトにはありませんでした。

いずれにしても、浄水器を購入する際の重要な点として、念のため確認すべきポイントとしてはこの視点は活用できるはずです。特許については特許庁がそのデータベースを公開していますし、どのような適合を受けているかについては製品の資料に記載されているか、メーカーに聞けば教えてくれるものです。わずか30分もあれば済む話なので、面倒がらず。

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