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北京語言大学東京校

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北京語言大学東京校が先週開設されたということを今日、ある中国関係者の方とのミーティングで知りました。

大学院のみを除き、学部設置をしている外国大学の日本校としては短大のみを含めると5校め。テンプル大学ジャパン(アメリカ)、専修学校ロシア極東大函館校(極東連邦大学, ロシア)、天津中医薬大学日本校(中国)、レイクランド大学ジャパン・キャンパス(アメリカ)が先に存在しています。北京語言大学は、中国語教育の総本山のような存在の一つです。

 

中国語話者と日本語話者の差

かねてから一つの問題提起として、日本人の中国語話者の絶対数と、中国人の日本語話者の絶対数の比率がアンバランスではないか、ということを指摘してきました。中国語を学ぶ、もしくは学んできた日本人の絶対数と、日本語を学ぶ中国人の絶対数は、両国の人口比率(中国は日本の人口の10.7倍)よりもはるかに中国側に寄っているのではないかとみています。即ち、日本の大学等で第二外国語として中国語を履修するといったケースを除けば、実社会という生活環境の中で日本語を操ることのできる中国人は、日本人で中国語を用いた生活ができる人と比べ、実感値として10倍以上の差が開いているのではないかと感じているのです。

言語履修についてはそもそも統計としてとりにくく、あえてその中でも比較的よく用いられる数値としては、HSKが日本における中国語履修者を200万人以上としている点(HSKのWeb)が挙げられますが、これには高校等での第二外国語としての履修者も含まれているとみられます。そのため、状況は正確には判別しないものの、実感値としては人口比である10倍どこかろ、20倍、30倍以上の差があるのではないかと感じます。

私は、日中双方の交流が深まるためには、日本人の中国語理解をさらに深める必要性があると常日頃から感じています。これは経済活動云々を理由とするものではなく、もはや中国語(Mandarin)が世界の、少なくともアジアにおける共通言語の一つであるという認識によります。そのためにも、こうして中国語教育の中核機関のカリキュラムが日本で受けられることによって、日本で中国に関わる人の範囲が拡がることを純粋に期待したいわけです。

 

「添了麻煩」

一方で、言葉が通じるという「道」ができ、その道が拡がった後には、さらに双方の「土」を理解する必要があります。今週、私は東京の朝礼で、日中国交正常化交渉の際のいわゆる「添了麻煩」問題、について触れました。政治的な背景も含めてこの言葉の出現について説明することは、残念ながらblogという短い文章量では困難なためここでは割愛しますが、まさにこの出来事からは、言葉は相手の背景、その言葉の当地での使われ方、前後の文脈などを深く理解しあわなければならないとの必要性を感じます。

当社ではよく「直訳するな」という声を聞きます。ビジネスの現場では、どちらか一方の言語からそのまま直訳した通訳をすると意図が伝わらないということは少なくなく、ときに無用な行き違いを起こします。もちろん、本来はその通訳者が責められるべきものではありません。通訳としての専門教育を受けているケースは少なく、多くは「両方の言葉ができる」から通訳に指名されているケースが多いでしょう。しかし、時には直訳ではなく、こちら側の言おうとしている背景を付して通訳することも求められることがあります。ちなみに当社ではこれを少し冗談を含め、「特殊通訳」と呼ぶことがあります。30秒話したものを通訳が2分話す、となると、お客様は最初は「自分が話した以上に通訳が勝手に話しているのでは」と不安に思われますが、これは意図があってしているのです。

日本と中国は、「土が違う」ということを理解する必要があります。土が違うので、生えてくる草も、花も違います。土が違うということを理解せぬまま同じ種を、同じ肥料をまいてもうまくいかないのです。土が違うということを理解するための入口の一つは、きっと言語でしょう。英語教育を学校で受けていない私が言うのは大変おかしなことですが、言語の学びの中に、土の味が違うことを感じる場面があるはずです。違ったな、通じなかったな、という苦い味を学びの中で感じることが、次の一歩に繋がると信じています。

ということで、今日もNHKラジオの「まいにち中国語」と共に家に帰ります!

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