プライベート 感じたこと

パスポート番号

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パスポート番号は変えたくない

 パスポートのページがいっぱいになり更新した。2010年からなので7年。増補によってページを増やし、さらに最近は、空いているスペースに押してとあえて頼むようにしてきた。国によってはそう言わないとページを無駄に使う押し方をする審査官がままいる。ページの真ん中に、しかも斜めでドーンと。ネット上では「鉛筆でスタンプの枠を書いてそこに押してもらう」というアイデアの人もいて、工夫の深さに驚いた。入出国の記録をスタンプで残すために自動化ゲートは使ってこなかったが、それでも今年に入ってからは諦めて自動化ゲートを使うようにしてきた。私の場合、中国のビザがある程度なのでビザがベタベタ貼られてページが足りないわけではなく、ただひたすら行き来を繰り返してくることによる。眺めてみるとこのパスポートになってからは大半が中国だが、それでも色々な場所へ行かせてもらった。
 
 スタンプの押し方をお願いするほどパスポートを長く使い続けたかった理由はいくつかある。パスポート番号が変わるのが大変面倒だからだ。書き換えなければならない先が多すぎるし、正直すべては覚えていない。例えば仕事では、海外の子会社における登記ではすべてパスポート番号が紐づいている。変更があった場合には速やかに届ける必要がある。実名認証が厳しくなってきた中国の場合にはさらに色々とある。役所、銀行、携帯電話の登録などが全部変わる。パスポート番号は航空会社に予め登録している場合もあり、ここでも漏れなく書き換えておく必要もある。航空会社によっては、名前のスペルが違うのと同様、最悪の場合には搭乗できない。

 このblogでも触れているABTC(APECビジネストラベラーズカード)も同様である。パスポート番号が裏面に印字されている。私の場合、ABTCの有効期限が先にきたため更新したのだが、今度はパスポートのページが足りなくなり、結局ABTCは再度更新。審査のプロセスは変わらないのでまた6ヶ月程度は待たなければならない。お預け。

昔は複数のパスポートをシールとリボンでくくりつけられていた

 実は、昔はパスポートをシールとリボンのようなもので複数冊くくりつけ、分厚い束のようにして持ち歩くこともできた。これを「合冊」という。離れないようにシール(契印)のようなものがなされる。これは入出国を頻繁に繰り返す地域などで特に意味があり(ページ数があっという間に枯渇する)、ビザをそのまま使い続けるためである。制度が変わり1990年4月施行の旅券法2次改正でこの方法は消滅したが、「合冊」時代でもパスポート番号は新しくなっていたようだ。ただ、古いパスポートに貼付されているビザとの連続性はこれによって証明しやすいため一定の利便性はあった。

 なお、今ではページの追加(旅券法では「査証欄の増補」という)のみが認められている。この増補も当初は16ページだったが24ページとなり、最終的には2001年に現在の40ページ追加になっている。旅券法の変遷は、日本人の海外渡航の歴史と重なるところが多く大変面白い。

 これを書きながら、ふと、いわゆる「イスラエル用パスポート」の人はどうなっているのだろうと気になった。特定の国のパスポートのスタンプがあると特定の国には入れない、という事情が世界にはある。イスラエルと大半のアラブ諸国・イラン、というように。日本政府はこの事情がある場合、メディアなど特定の職業の方に二つのパスポートを発行してくれていた(この仕組みは今もあるのかは不明)。その代わり片方のパスポートには「渡航先の制限」の欄に国名が書かれている。このとき、二つのパスポートのパスポート番号は別だったのだろうか。

フライトのときにパスポートだけはポケットにいれている

 ひとつのパスポート番号と「お付き合い」できる時間は最長10年。私のように更新するのが面倒だという人はおそらく5年パスポートは取らないと思うのだが、それでも渡航回数が増えると期限前に更新せざるをえない。さて、パスポート番号というものは更新よって変更しなければならない合理的な理由が果たしてあるのだろうか。今のパスポートの制度が出来たときと異なり、外国への渡航は極めて容易になった。また、マイナンバーカードができ、色々な指摘はあれど「背番号制度」は出来あがった。私はエストニアのe-residencyをとったが、「背番号制度」と呼ぶのか「便利なID」だと思うかはそれぞれ。パスポート番号の生涯利用はどこかで検討されたことがあるのだろうか、知りたいところである。

 昔、ある国に行った時に、入国したところで「パスポートを預かる。出国時に返す」と言われた。あまり頭が回っておらず言われたとおりに渡したが、中東などの危険地域であってもそのような話は聞いたことがない。むしろパスポートを渡してしまったら自分を証明する手段がなくなる。今から考えるとなんと危ないことをしたのかと。

 ところで、別に腹巻タイプのケースにいれて肌身離さずまではないが、国際線に乗るときだけはポケットに入れるようにしている。以前、緊急脱出を経験した人から聞いた話で、荷物は持てないので何か一つあるとすればパスポートだよと言われて以来、なんとなく。

 さて、今回のパスポートにはどのような旅をさせられるのだろう。

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