シェアサイクル チャリチャリ 自転車

地域展開を考える

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2022年4月28日、いよいよ熊本でチャリチャリのサービスを開始します。福岡、名古屋、東京についで4都市めの展開です。これを書いているのは羽田から熊本に飛ぶフライトの上空で、38000ftあたりを向かい風を受けながら飛んでいます。

全国あちこちの都市でシェアサイクルの取り組みが進んでいます。この記事を書いている最中も、新潟や鹿児島で公募が出ています。少し前は横浜市内、さらにその前は北九州市でも出ていました。国もシェアサイクルを取り組む自治体を増やす目標を自転車活用推進計画の中でおき、各自治体もまた自転車活用の積極的に動き出しています。一方、こうした公募の大半は、いわゆる公設民営に近いモデルです。公設民営とは、自治体が事業主体、事業者が運営主体というものです。通常は導入時に自治体が費用負担をおこない、その後時間の経過と共に予算はゼロに近くなることが一般的です。

こうした中、neuetは現時点では公設民営の形態では展開しておらず、たとえば福岡市や熊本市とはいずれも共同事業としています。自治体とneuetは協定によりお互いの役割分担を決めたうえで協力しあって実行します。両自治体のいずれからも資金的な拠出は受けていません。

ここは考え方が様々あります。「事業収入だけでは成り立たない。一方で、シェアサイクルの必要性がある。であるから、予算によって自転車などの購入費用や設備費、さらに毎年の運営費の補助が必要だ」という考え方がまずひとつです。どうやっても事業収入だけでは採算がとれないが、公共性の高い移動手段として日常や観光の促進のために必要性がある一方、事業収入だけではどうやっても成り立たないということが考えられます。私たちが試算する限り、大都市圏以外のシェアサイクルと、観光地におけるレンタサイクル型のシェアサイクル(つまり数時間から半日の利用を想定する料金モデル)以外では、一日あたりの自転車の回転数が採算に乗ることはなく、何らかの予算措置が必要です。

例えば、1日2回、通勤と帰宅の時間帯に15分程度ずつ使われるということがその地域のシェアサイクルにおける利用平均だとする場合、事業収入だけで自転車や設備への投資、運営にかかわる固定費などを回収することは出来ません。成り立たせようとすると1分30-50円ぐらいの料金になり、とてもじゃありませんが日常的な移動手段で使うには程遠くなります。私たちもこれは望んでいません。

他方で、私たちの考え方は別です。日本の自転車のシェアリングにおける歴史をみると、自治体からの予算又は補助金に依存し続けてきたことが継続性の課題背景だと考えているからです。コミュニティサイクルとして全国あちこちではじまって以来10年近く。予算の切れ目が縁の切れ目、とまでは言いませんが、事業期間が終了すると共に終わってきた事業は数しれず。自治体としても延々と支出するわけにもいかず、ある程度「自立してほしい」という考え方もあります。

こうした中で、いかにドミナントで展開するか、そのためには展開する地域でどの程度の移動ニーズがあるかを予め十分に予測できるかも鍵になります。朝と夕方のご利用は、概ねどの地域でも見込むことができます。実際、地方のシェアサイクルの回転数は概ね2回転/日に留まることが多いのですが、これは朝と夕方の移動ニーズを平均的に受けとめられた結果だといえます。しかし、実際に採算が成り立つためには上述したように残念ながら足りません。平日の昼間にも平均的にご利用いただけるかどうかがキーです。

私たちはよく「昼間人口」を見ていると申し上げていますが、実際には昼間人口といっても昼間にオフィス内などに滞在している人が多いことと、人が出歩いている、すなわち移動ニーズが発生していることはまた別です。これだけはやはり街の中を見てみないとわからないわけです。

では、平日の昼間に人が出歩いていないところはシェアサイクルの展開が出来ないのかというとそうでもありません。サービスモデルが都市部と観光地などでは異なるため、それに合わせた展開をすればよいわけです。国交省で開かれているシェアサイクルの在り方検討委員会で、都市型のシェアサイクルと観光地型のシェアサイクルを一緒に見るのではなく整理すべきであるという趣旨を発言したことがありますが、同じサービスモデルで両方をカバーしようするのは逆にいえば難しいともいえます。

そのような中、私たちは、今は都市部におけるドミナント型の展開で街の移動を支えていこう、新しい習慣をつくっていこうとしています。今回の熊本展開で4都市めですが、ひとつひとつの街を愛する気持ちを深く持とうとするとそうたくさん手を拡げることはできません。丁寧に、着実に一つ一つの都市で皆さんに愛していただけるように、普及するように、これからも努力していくつもりです。

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