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入出国審査の時間が短縮できるABTC(APECビジネストラベルカード)

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ABTC(APECビジネストラベルカード)

ABTC(APECビジネストラベルカード)

これで入出国審査が楽になる

頻繁にアジアを移動しているとチリツモになるのが入国審査・出国審査のレーン、あるいはインドネシアのように入国時にビザの支払いレーンに並ぶ場面。空いている日もあれば、とてつもなく混んでいる日もあり、結局は空港にある程度余裕をもって到着する段取りを考えざるをえません。また入国時も同様で、到着して延々と1時間近く入国審査のレーンで待たなければならないケースもあり、この時間が短縮できれば短めのミーティングを調整することもできるのにと思うこともあります。

ところが、ABTC(APECビジネストラベルカード)を取得すると、商用目的での入国の場合に限り、パスポートとABTCのみ、即ちビザなしで入国が可能です(ABTC参加国・地域のうちどれが自分に認められているかは、交付されたカードの裏面に記載あり。日本人でも入国時にビザを取得する必要がある国では、これが不要になります)。また入国審査・出国審査の際には専用レーンでの審査を受けることができ、大幅に入出国審査の時間が短縮されます。

外務省のWebサイトには、

APECでは、貿易・投資の円滑化のために、様々な措置をとっています。ビジネス関係者の域内の移動を容易にすることも、重要な課題です。その一つの工夫として、APECビジネス・トラベル・カード(ABTC)制度があります。これは、適正な経済活動を行っていると認められたビジネス関係者に関して、制度参加国・地域が相互に査証に関わる事務負担を減らす試みです。日本政府も、2002年10月のAPEC首脳会議の席上、小泉総理から参加を正式に発表し、2003年度から、この制度に参加しました。

と書かれており、日本は10年以上この制度に参加しているようですが、どうも私の周辺でABTCを持っている人はほぼ見かけません。また調べている限り、日本の外務省も積極的にはABTCの存在をアピールしているようには見られません。そもそも、日本国籍の場合には多くの国が短期商用目的の場合、ビザ不要で入ることができる国が多いという背景もあり、この存在を積極的にアピールする必要性は無いのかもしれませんが。。。

申請要件・手続きは

申請要件などは外務省のABTCに関するWebサイトに記載されているとおりですが、企業経営者や従業員のケースにおいては(やや乱暴にまとめると)「パスポートを持っていて、犯罪歴が無くて、APEC加盟国・地域内で出張を要する調査・交渉・連絡等の業務があり、会社でのAPEC加盟国・地域内での取引が1億円以上、または投資等が5千万円以上あること」となります。各国・地域は個別に発行要件や審査手順を定めていて、例えば北京市の場合、国営企業以外の民間企業に勤務する人は、地方の外時弁公室(外办)の審査を経た上で外交部の審査を受けることになっており、実質的にはかなり高いハードルです。これと比べると、日本での要件や手順のハードルは、一般にAPEC域内でのビジネスをしている企業にとっては決して高くはないといえるのではないでしょうか。

そして実際に私も申請し、相当このABTCの恩恵を受けています。以下、私の経験ですのでAPEC域内での出張が多い方は、参考にしてください。

  • 入出国審査の際には、パスポートと航空券に添えてABTCを審査官に渡すだけ。
  • 中国の入出国審査は確実にスムース。専用レーンは外交官などのレーンと同じであるため、深夜・早朝のフライトの入出国でも確実に対応される(夜中になると閉まっているということはない)。空港職員もABTCには慣れている。
  • The APEC Business Mobility Group (BMG)の公式Webサイトでは、中国は北京首都、上海浦東の2カ所のみに専用レーンで用意されているとしているが、実際には上海虹橋や成都でも利用可能。
  • 申請から受領までは半年程度とされる。
  • 私の場合、半年を過ぎても手続きが終わらないため外務省に問い合わせみたところ「ブルネイからだけ承認がおりていません」とのこと。何も指定しないと全ての対象国に手続きがまわるため、その中で手続きに時間がかかっている国からの承認が返ってこないと、発行がずっと待たされる模様。ブルネイへの仕事は今のところ可能性がないため、ブルネイを外してもらっても構わないとお願いしたところ、数週間程度でカードが到着。(申請書には、申請対象国には○を打ってくださいと書いてあり、確か絞ったはずでしたが、、)

なお、観光目的での入国や、報酬を伴う目的での入国時にはABTCを利用することは出来ませんので注意してください。

ABTC関連の追記

このページに多くの方が訪問いただいておりますので、ABTC関連についての他のエントリーをリストにしておきます。また、取得要件はこのポストの2014年当時と若干変更になっています。最新情報は外務省のサイトをご確認ください。

なお2018年2月現在、家本は3枚目のABTCを持っています(ABTCの期限切れでの更新、パスポート番号更新での更新)。更新の最中は返納が必要であるため、これがないまま中国と行き来するのはとても不便です。下のポストは、ABTCの更新は必要であるとして、出来ることならばパスポート番号は変えたくない、、という心の叫びです。

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